ポケットコイルの「配列」の話
(販売ページなどで)このマットレスのポケットコイルは、
- 並行配列だから通気性が良いです!
- 交互配列だから耐久性が高いです!
といった表現を見たり聞いたりしたことがある人もいるのではないでしょうか。
しかしながら、こうした機能性(通気性や耐久性など)に対して、配列はほとんど関係ありません。いわゆるポジショントークです。
この記事では、本質的な「配列の違い」についてご紹介するので、ポケットコイルマットレスで迷っている人はぜひご参考になさってくださいね。
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ポケットコイルの配列とは何か?
「ポケットコイル」は、バネを不織布(ポケット)に包んだコイルのことで、そのポケットコイルを敷き詰めて作り上げるのがポケットコイルマットレスです。
ポケットコイルマットレスは、ポケットコイルの配列の仕方が大きく2パターンあり、それが今回ご紹介する「並行配列」と「交互配列」です。
並行配列 | 交互配列 |
---|---|
なお、基本的にマットレス市場では並行配列が主流です。
大きな理由は、並行配列のポケットコイルの方が圧縮梱包化しやすい(=運送コストが抑えられる)ので、特にインターネットで販売されている低価格帯のポケットコイルマットレスのほとんどは並行配列です。
圧縮梱包 | 非圧縮梱包 |
---|---|
並行配列に多い(圧縮しやすい) | 交互配列に多い(圧縮しにくい) |
並行配列と交互配列の違いは?
まず、それぞれの違いをまとめると以下のとおりです。
配列 | 並行配列 | 交互配列 |
---|---|---|
画像 | ||
硬さの傾向 | ソフト | ハード |
感触 | ふわっとしたクッション性 | ピタッとジェル的 |
特徴 | 弾力がある寝心地 | 静かな寝心地 |
価格 | 安価に作りやすい | 高価になりやすい |
なお、同じ面積でコイルを敷き詰めた場合、交互配列の方がコイルが密集します。※上の画像では、同じ面積の場合、並行配列は9個のところ、交互配列は約12個(約1.3倍)ほどのコイルが入っていますね
この「密集」の違いにより、以下の特徴が生まれます。
- 交互配列の方がコイルが密集するため、硬く作りやすく、ジェル的な寝心地に感じやすい
- 並行配列の方がコイルが密集しない分、やわらかく作りやすく、弾力を感じやすい寝心地に感じやすい
なお、交互配列のポケットコイルマットレスの方が、製造等のコストがかかりやすいため、価格が高くなりやすいです。
並行配列と交互配列、どっちが良い?
結論から言うと、配列の差で優劣はありません。
配列は、そのマットレスが実現したい寝心地によって決まります。要するに使い分けの問題です。
使い分けで多いのは、硬さのバリエーション違いがあるマットレスシリーズ(ソフト・レギュラー・ハードなど)において、やわらかめ(ソフト)を並行配列、硬め(ハード)を交互配列といった形で仕様を変えている例です。
また、高密度タイプにしたい場合は交互配列、コイル同士に適度な間隔を設けたい場合は並行配列、といった使い分けもあります。
「通気性」「硬さ」「耐久性」に関する誤解
商品の販売ページなどでは、配列のメリット(やデメリット)として、「通気性」「硬さ」「耐久性」をアピールしていることが多いですが、気にしないで大丈夫です。
通気性については『交互配列は通気性が悪いから並行配列がおすすめ』という表現を見たりしますが、実用上、交互配列が原因でカビが発生するといったことはほぼありません。
硬さについては、上記で『交互配列は硬め、並行配列はやわらかめ』と書きましたが、これはあくまで傾向です。交互配列であってもコイルの線径を細くすればやわらかめになりますし、そもそも最終的な寝心地はコイルの上の詰め物などによって調節されることが多いです。
耐久性については、メーカーによって立場が変わるので、双方『うちの配列の方が耐久性が高い』と紹介していたりします。(いわゆるポジショントークですね)
例えば、
A社(並行配列メーカー) | B社(交互配列メーカー) |
---|---|
交互配列はコイル同士が擦れるから、並行配列の方が耐久性が優れている | 並行配列は隙間が多く、コイルひとつあたりの負荷が高まるため、交互配列の方が耐久性が優れている |
などです。
なお、耐久性は、配列の違いよりもバネや詰め物の品質・グレード、仕立ての良さ(生産品質)などが大きく影響するので、こうしたポジショントークは特に気にしないでください。
並行配列と交互配列の選び方(どんな人におすすめ?)
では、どんな人が、どの配列が合うのでしょうか?
結論を言うと、配列だけでマットレスを選ぶのは少しナンセンスで、そのマットレスが表現したい寝心地を捉えることに集中した方が良いです。
例えば、「硬さ」を例に挙げると、硬くするために交互配列にする以外にも、以下のような選択肢(アプローチ)もあります。
- 太いバネを使う
- ポケットコイルの圧縮率を高くする
- 詰め物に硬い素材(ウレタンやフェルト)を使う
専門的な人であれば、仕様で寝心地がある程度イメージできますが、一般の人が仕様(配列など)の情報だけで寝心地を判断するのはかなり難しいです。(ポケットコイルマットレスは特に複雑です)
それでもあえて大雑把に分けるとしたら、次のとおりです。
並行配列が合う人 | 交互配列が合う人 |
---|---|
ふんわりしたクッション性が好きな人 | しっかりとした寝心地、静かな寝心地が好きな人 |
コイルの感触としては、並行配列は動きを感じやすいですし、逆に交互配列はきめ細やかに反応するため、静かな寝心地に感じやすいです。
とはいえ、詰め物の仕様などで、寝心地は大きく変わるので、一概には言えません。あくまで参考程度に留めておいてください。
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まとめ
いかがでしたか。
ポケットコイルの配列(並行配列と交互配列)の違いについてご紹介しました。
改めて、それぞれの違いをまとめると以下のとおりです。
配列 | 並行配列 | 交互配列 |
---|---|---|
画像 | ||
硬さの傾向 | ソフト | ハード |
感触 | ふわっとしたクッション性 | ピタッとジェル的 |
特徴 | 弾力がある寝心地 | 静かな寝心地 |
価格 | 安価に作りやすい | 高価になりやすい |
ただし、配列そのものにフォーカスしすぎるのも良くありません。
大事なのは、そのマットレスが表現したい寝心地を捉えることで、配列はその手段のひとつです。
もし、配列による寝心地を存分に味わいたい場合は、以下のマットレスがおすすめです。
- 並行配列なら、シモンズ「ビューティレストプレミアム ゴールデンバリュー」
- 交互配列なら、日本ベッド「シルキーポケット」
両方とも非常に素晴らしいマットレスなので、近くにショールームがあるようでしたら、ぜひ体験してみてくださいね。
また、低価格帯なら源ベッド「咲夜レアル」が良いです。
咲夜レアルは硬さが3つ選べますが、ソフトとレギュラーは並行配列、ハードは交互配列と使い分けています。配列の違いによる寝心地の差がよく感じられるマットレスです。※配列の他にバネの太さ(線径)も変えて硬さを調節しています
ポケットコイル自体の性能もとても良いので、低価格帯で探している人は、一度ご検討いただくと良いと思います。
マットレスをもっと知りたい人は、選び方全般と予算別のおすすめのマットレスを以下の記事でまとめているので、よろしければご参考になってくださいね。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。