このページでは当サイトのマットレスレビュー時に行う「スプリングコイルマットレスの評価方法(チェックポイント)」について詳しくご紹介します。

当サイトにおける「スプリングマットレス」の評価項目

マットレスの検証風景

評価項目
  1. 仰向き寝(バネ当たり・底付きも含める)
  2. 横向き寝(バネ当たり・底付きも含める)
  3. 端の沈み込み
  4. 通気性
  5. 寝返り
  6. 耐久性
  7. 衛生面
  8. 取り扱いやすさ
  9. 価格
  10. 硬さ

1. 仰向き寝は?(底付き・バネ当たりもチェック)

仰向き寝

ココをチェック

仰向き寝は沈み込みが少なく接触面積が広いという特徴があるので、万遍なく荷重を受け止め、体圧を分散させることが重要です。また、寝返りに力が必要なので、寝返りサポート性も大切です。

なお、過去にフランスベッドが行った統計によると、日本人の約60%が仰向き寝と言われているので、最もオーソドックスな寝姿勢と言えます。

大切に思っているのは「違和感がない寝心地」です。何かしらの違和感を感じるとスムーズに入眠ができないため、減点方式のような感じで評価をします。

また、バネ当たり(寝ていてバネの存在を感じてストレスに感じること)や底付き(寝ていて床の存在や、床からの圧力を感じること)の有無も、寝姿勢評価時にチェックします。

2. 横向き寝は?(底付き・バネ当たりもチェック)

横向き寝

ココをチェック

横向きの寝姿勢は肩や臀部の沈み込みが深くなることと、接触面積が少なく、荷重が集中しやすいため、底付きなどを感じやすいという特徴があります。

つまり、深く沈み込んでも無理のない寝姿勢になることと、荷重による圧迫・底付きを感じないようなクッション性が大切です。また、不安定な寝姿勢でもあるので、揺れ過ぎないような衝撃吸収性もポイントです。

仰向け寝と同じく「違和感がないか」を重要視します。

特に横向きの場合は、「背骨のラインがまっすぐか」、「脇腹あたりに圧迫感がないか」といった点をしっかりと確かめます。

3. 寝返りのしやすさは?

寝返り

ココをチェック

クッション材や詰め物で使われている反発性によって、体の動きやすさが変わってきます。少ない力で寝返りを打てた方がストレスは感じにくいですが、寝返りがしやすい=良い寝心地とは限りません。

寝返りの大変さにストレスを感じている人は高反発タイプなどの寝返りしやすいマットレスが良いですが、逆に寝返りが多すぎることで中途覚醒が多い人は、逆に寝返りの回数を抑えるような低反発タイプを選ぶと良いでしょう。

基本的には高反発素材(高弾性ウレタンフォームなど)を詰め物に使っているマットレスほど、寝返りはしやすい傾向があります。ただし、寝返りの打ちやすさだけを追求するのはおすすめしません。

寝返りが打ちやすいマットレスは、基本的に「硬い高反発マットレス」です。

しかし、硬すぎると体圧分散が不十分になることで、そもそもの睡眠時の姿勢(仰向け・横向き等)での違和感を感じる原因になります。

寝返りに関しては「ストレスを感じないレベル」くらいであることが好ましいと思います。

4. 端の沈み込みは?

端の沈み込み

ココをチェック

一般的にマットレスの端部分はそれ以上荷重を分散できないので落ち込みやすいです。端部分の落ち込みが少ないマットレスは全面を目いっぱいに使えるので、それだけで使用感が良いものになります。

なお、高級モデルなどでは落ち込みを解消するように端部分にワイヤーを入れたり、コイルを硬めにしたりすることもあります。

基本的に端が落ち込まないマットレスの方が良いです。

硬めのマットレスであれば端でも落ち込みにくいですが、硬すぎない寝心地の場合、端部分は落ち込みやすいため、エッジサポート(エッジハード)といった仕様を採用したりします。

端強化(エッジサポート)のマットレス
端強化(エッジサポート)のマットレス ※青い部分が硬いコイル

たとえば、同じ線径(バネの太さ)で全面を作った場合でも、端部分は沈み込みやすいのでやわらかく感じます。

よって、端強化=マットレス全面が同じような硬さで支えられる=どこで寝ても安定感がある寝心地に感じられます。

エッジサポートあり エッジサポートなし
エッジサポートあり エッジサポートなし

なお、単に端を硬くすれば良いというわけではなく、エッジサポートとして効果がある仕様としては以下のとおりです。

密度(コイル数/Sサイズ) 線径
中密度(500個前後) 2.2mm以上
高密度(700個前後) 1.9mm~2.1mm以上
超高密度(1,000個以上) 1.4mm以上

ただし、ポケットコイルの圧縮率や線種の仕様によっても硬さの感じ方が異なります。なお、当サイトでは、総合的に(圧縮率や線種等も含めて)評価しています。

5. 通気性は?

通気構造

ココをチェック

睡眠中は汗や体温を放出するので、蒸れやすいマットレスは不快に感じることもあります。メッシュ生地や、側面から排気できる構造など、通気性に工夫があるかどうかをチェックします。

なお、スプリングコイルならポケットコイルよりもオープンコイル(ボンネル・高密連続スプリング)の方が通気性が優れていると言われますが、実用上そこまで変わりません。

スプリングコイルマットレスの場合は、カバーや詰め物などの「表層の仕様」が特に通気性に影響します。

なので、蒸れを感じた場合は、調湿性が高い素材を使ったシーツやパッドを使うことで、通気性が改善できるので、マットレス自体に通気性を追求しすぎないでも良いでしょう。

また、硬さも影響します。やわらかいマットレスは沈み込みが深くなるため、体のラインにフィットすることで、蒸れを感じやすいです。

6. 耐久性は?

耐久性(マットレスを手で押す)

ココをチェック

保証期間や耐久試験をベースにチェックします。また両面仕様で表裏のローテーションが可能な商品は加点します。一方、詰め物が多い商品は減点します(詰め物で多く使われてる綿やウレタンフォームはクッション材よりも早くヘタリやすいため)。

スプリングコイルマットレスで行われている耐久試験(JIS S 1102)は、8万回の加圧試験ですが、そこまでハードな試験でもなく、合格ラインを決める程度のものです。

また、1万円レベルのマットレスでも合格できる試験でもあるため、耐久性の優劣としてはあまり参考にはなりません。

よって、スプリングコイルマットレスにおいては、

  1. 詰め物(主にウレタンフォーム)の密度
  2. ポケットコイルの圧縮率、線種
  3. 両面仕様か片面仕様か

といった仕様をもとに、耐久性の評価をするのが適していると考えます。

7. 衛生面は?

衛生面

ココをチェック

抗菌防臭や防ダニなどの加工の有無やそのレベルなど、衛生面に工夫があるかどうかをチェックします。

衛生加工していないマットレスが多い(基本)と考え、衛生加工なしでも3.0(ふつう)の評価を付けています。

あとは衛生加工のレベル(例えば、「抗菌防臭」より「制菌」の方が高評価)といった形で、評価をします。

8. 取り扱いやすさは?

マットレスのハンドリング

ココをチェック

持ち運びしやすいか、市販のボックスシーツ(多いのは30cmマチ)が入るサイズ感か、お届け時の梱包状態はどうか、捨てやすいかなどをチェックします。

特に力の弱い人は、厚すぎるマットレスを選んでしまうと移動するときに苦労することも多いです。

お届け時が「圧縮」か「非圧縮」で、搬入や受け取りの難易度が大きく異なります。

圧縮 非圧縮
圧縮梱包 非圧縮梱包

圧縮の場合は、宅配便で届けられるため、日時指定ができ、搬入経路も気にする必要ありません。

一方、非圧縮の場合、特殊な大型配送便でお届けするため、時間指定できず、搬入経路にも注意が必要です。

あとは重量ですが、私の感覚だと25kg以上になってくると、持ち運びなどの移動が大変になってくる印象です。よって、力が弱い人は重量にもご注意ください。

9. 価格は?

マットレス

ココをチェック

絶対的な価格と、マットレス市場の全体的な相場からチェックします。価格に応じた寝心地が実現されているかも大切なポイントで総合評価値につながります。

どこまでの範囲を平均値に取るかは難しいところですが、「シングルサイズで5万円」をふつう(3.00)評価を基本としています。

価格に見合った(それ以上の)寝心地が実現されているかが重要で、評価値はあまり気にしないでも良いですが、価格評価は総合評価(コストパフォーマンス)に大きな影響を与えます。

11. 硬さ(総合評価に関係しない)

硬さのチェック

ココをチェック

ウレタンフォームのN(ニュートン)数、綿のボリューム感、ポケットコイルの線径・巻き数等の仕様から客観的な硬さと、実際に寝たときに感じた主観的な硬さをお伝えします。

10段階中「10」を「最も硬い」として評価します。

ウレタンフォームのニュートン数やコイルの線径など情報が公開されている場合は、まずはその数値に基づいた硬さを評価します。

とはいえ、特にスプリングコイルマットレスは、仕様で判断するのは複雑なので、主観的な硬さの感じ方も大切になってきます。

※硬さはマットレスの良し悪しには関係しないので、総合評価に影響しません

総合評価の倍率について

上記で評価した項目はすべて同じ比重ではなく、倍率を変えて総合評価を出すようにしています。

マットレスの評価表(一部非公開)
マットレスの評価表(一部非公開)※評価倍率は社会状況を受けて都度変更しています

以下より、上記項目についてどのように考え、チェックを行っているか詳しくご紹介しています。

倍率が「高い」項目

以下の項目は総合評価値に大きく影響します。

  • 価格(の安さ)
  • 底付き(のなさ)
  • バネ当たり(のなさ)
  • 端の沈み込み(のなさ)
  • 耐久性(の高さ)

「価格」は安ければ安い方が良いので、ずば抜けた倍率を設定してます。こうすることで、寝心地が良い高価格な商品の総合評価値が上がりすぎないようにしています(高価格で寝心地が良いのはあたりまえです)。

要するに、価格(低価格であればあるほど良い評価)の倍率を高く設定することにより、コストパフォーマンス(費用対効果)の良さ=総合評価値として知ることができます。

「底付きのなさ」や「バネ当たり」の倍率が高いのは、マットレスとして最低限の品質があるかどうかの大切なポイントだからです。

「底付き」とは荷重をかけた際に床の存在を感じること。「バネ当たり」はスプリングコイルマットレスの場合に限るのですが、寝ていて芯材のスプリング(ポケットコイル等)の存在を感じることです。

底付き・バネあたりがないかのチェック
底付き・バネ当たりがないかのチェック

底付き・バネ当たりを強く感じる商品は、マットレスとしての基本的な性能である「体圧分散・荷重分散・寝姿勢保持」の点でストレスを感じる寝心地となるので、評価としては大きなマイナスとしています(よって、高倍率としています)。

「端の沈み込み」の倍率も高めです。マットレスは端部分が最も沈み込みやすいですが、沈み込みづらさは商品によって異なります。端が沈み込みにくい商品はマットレス全面の寝心地が変わらないため、それだけで使用感が良いものになります(広々優雅に眠れます)。

端ギリギリで寝ても沈み込み過ぎないかのチェック
端ギリギリで寝ても沈み込み過ぎないかのチェック

倍率が「低い」項目

以下の項目は総合評価値への影響が低めに設定しています。

  • 通気性
  • 衛生面

「通気性」「衛生面」の倍率が低い理由は、そもそもマットレスはシーツやカバーをかけて使うので、そのシーツやパッドの質によって使用感が大きく左右されるためです。

抗菌防臭等の機能綿を使ったマットレスは高評価
抗菌防臭等の機能綿を使ったマットレスは高評価

倍率が「ふつう程度」の項目

以下の項目の総合評価への影響は普通程度です。

  • 取り扱いやすさ
  • 横向き寝(の寝心地)
  • 仰向き寝(の寝心地)

「取り扱いやすさ」は普通程度の倍率です。マットレスの厚さや重量によって移動のしやすさなどが変わりますが、その人の力の強さ・弱さによって感じ方が変わるためです。

持ち運びやすさのチェック
持ち運びやすさのチェック

また、生地がカバーリングのマットレスは洗濯のしやすさという点では取り扱いやすいと言えますが、基本的にマットレスにかぶせているシーツやパッドを洗濯すれば良いので、カバーリングが必須条件でもありません。

カバーリングのマットレス
カバーリングのマットレス

「仰向き寝」や「横向き寝」などの寝心地面においては、どうしても筆者の体型・習慣・好み等が多少なりとも影響してしまうため、大切なチェックポイントではありますが、普通程度の倍率に設定しています。(一応、ベッド業界に10年以上いる経験者なので、客観的な視点はある程度持ち合わせていると思っております)。

仰向き寝 横向き寝
仰向き寝 横向き寝

なお、横向き寝よりも仰向き寝の倍率を少し高めているのは日本人の基本寝姿勢が仰向き寝が中心のためです。

「返金・返品保証あり」は加点

長期間の返金・返品保証(トライアル・お試し期間)が付いている商品は0.1~0.2ポイントを最終評価に加点しています。※返品条件に難易度によって点数に差をつけています

マットレスはある程度長い期間使ってみないと自分の体に合うかわからないものなので、長期の返金・返品保証がある商品を選ぶことで、マットレス選びが金銭的にも失敗しにくいと考えるためです。

ただし、メーカーや商品によって保証の条件(返送費用はどちらの負担か?最低使用期間はあるのか?など)が異なるので、必ず販売ページをよくご確認いただけますようお願いいたします。

目安は「3.5以上」が高評価

マットレスの検証風景

各評価項目や総合評価は「3.5以上」が高評価とお考えください。

特に総合評価は、目安として以下のような感覚で考えています。

総合評価値とその感覚
  • 3.7以上:個人的にもぜひ買いたいレベル
  • 3.5~3.69:多くの人におすすめできるレベル
  • 3.30~3.49:条件によってはおすすめできるレベル
  • 3.10~3.29:積極的におすすめしない
  • 3.09以下:より積極的におすすめしない

    以上、あくまで個人的な意見です。人によって好みは異なるので、あくまで当サイト基準としてお考えいただければと思います。

    まとめ

    マットレスの内部構造

    いかがでしたか。

    当サイトでの、スプリングコイルマットレスをレビューする際に用いてる評価基準をご紹介しました。

    マットレスは、感覚的なもの(心地よさなどは主観的なもの)なので、要素に分解して評価するのはナンセンスだという思いもありますが、そうはいっても客観性・平等性を担保しないかぎり、正当で納得感のあるレビュー(評価)にならないと思います。

    よって、当サイトでは、すべてのスプリングコイルマットレスにおいて、上記でご紹介した項目の検証をし、それぞれに倍率を定めて、総合評価を出すことにしました。

    これからも、できるだけ公平なサイト運営を心掛けていきますので、何卒よろしくお願いいたします。

    株式会社 悠デザイン
    代表取締役
    椚 大輔(くぬぎ だいすけ)