
スプリングコイルマットレスの「線材」の話
販売ページなどで、

といった表現を見たことがある人もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、線材の種類(SWRH 72 B C など)だけでマットレスの優劣は決められないので、そこまで気にする必要もない仕様です。
なお、線材の話は、JIS規格など工業的な話も入ってくるので、少しわかりにくいかもしれませんが、なるべく嚙み砕いてご紹介するので、マットレス選びの予備知識としてご参考になさってください。
本当にマットレス選びに知っておいて欲しい情報は、こちらの記事でまとめているので、ご参考になってくださいね。
椚 大輔(くぬぎ だいすけ) ベッド・マットレス専門家。ベッドメーカーに勤務後、当サイトを開設。国内・海外メーカーへの取材を重ね、100商品以上のレビューを続ける。専門家としてTBS「ラヴィット!」、ビジネス誌「プレジデント」、楽天市場「マットレスの選び方」などの出演・監修も行う。> プロフィールはこちら目次
スプリングコイルマットレスの線材(線種)とは何か?
スプリングコイルマットレスとは、芯材にバネ(スプリング)を使用したマットレスの総称で、以下のとおり大きく3種類あります。
| ボンネルコイル | ポケットコイル | 高密度連続スプリング® |
|---|---|---|
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線材とは、スプリングの材料の種類のことで、商品やメーカーによって採用している線材は異なります。
線種の考え方

線種とは、スプリング(バネ)自体の仕様・品質を現す「記号(JIS規格)」のことです。

線種が意味するもの
例えば上記のような「SWRH 72 B C」という表示は以下のとおりに解釈[1]します。
| 表示例 | 分かること | 意味 | JIS規格 |
|---|---|---|---|
| SWRH | 線材 | Steel Wire Rod Hard(=硬鋼線材)を使用 | JIS G3506(硬鋼線材) |
| 72 | 炭素含有量 | 数値が高いほど反発力が高い | |
| B | マンガン含有量 | AよりもBが多く、バネが折損しにくくなる | |
| C | 引張り強さ | A<B<Cの順で強度が高い | JIS G3521(硬鋼線) |
細かく見ていきましょう。
1. SWRH(エス・ダブリュ・アール・エイチ)
硬鋼線に使われる「硬鋼線材(材料)」に関する表示です。マットレスのスプリングは基本的に硬鋼線材(Steel Wire Rod Hard)を使用しています。
よって、基本的にほとんどのスプリングコイルマットレスの線材は「SWRH」と表示されています。
なお、少数ですが硬鋼線材(SWRH)よりも厳しい規格のピアノ線材(SWRS)を使ったマットレスもあります。(ビーナスベッドやアンネルベッド など)
2. 反発性(炭素含有量)
72、82などの数字による「炭素(カーボン)含有量」に関する表示です。例えば「72」は、炭素成分が0.72%前後であることを示しています。
炭素含有量が多いほど、引張りに強く、たわみも大きくできるため、結果として反発力が強まります。

たわみと反発力と強度(粘り強さ)の関係 ※簡単に
3. 耐久性(マンガン成分量)
マンガンは「引張り強さ」に加え「粘り強さ」にも影響します。要するに、マンガンが多い方が粘り強くなるため、荷重をかけた際にバネが折れにくくなります。
なお、線種におけるマンガンの表示はAとBの2つがあり、Bの方が耐久性が高いです。
| 線種表示 | マンガン成分 |
|---|---|
| A | 0.30~0.60% |
| B | 0.60~0.90% |
4. 強度
強度はA、B、C(正確にはSW-A、SW-B、SW-C)の規格があり、バネの太さ(線径)が同じであれば、A<B<Cで強くなります。
なお、この場合の強度も「引張り強さ」のことです。また、強度が強いほど、たわみが大きくでき、結果的に反発力も高まります。
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線種の目安

傾向としては、高価格なマットレスほど、高いレベルの耐久性や反発力を持った線種が使われます。大まかな目安は以下のとおりです。
| 線種 | レベル | 代表メーカー |
|---|---|---|
| SWRH 72 B C 以下 | 低価格帯 | 1~3万円くらいの安いメーカー |
| SWRH 82 B C | JIS最高クラス | 源ベッド、ドリームベッド など |
| SWRH 82 B C より上 | JIS最高以上の品質 | シモンズ など |
しかし、線種だけではマットレスの耐久性や反発性は判断できません。
たとえば、線種のレベルが低くても、高密度や高圧縮で作ったり、耐久性や反発性が高い詰め物を使うなどで、マットレス自体での評価はまるで変わってきます。
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まとめ

いかがでしたか。
スプリングコイルマットレスにおける「線種(線材の種類)」についてご紹介しました。
線種はJIS規格(主にJIS G3506とJIS G3521)を掛け合わせて表示した記号です。わかることは、線材(主に硬鋼線材)と、バネ自体の反発性・耐久性・強度です。
スプリング自体が高品質であれば、マットレス自体の品質もある程度安心できると思います。
しかし、例えばスプリングの圧縮率や密度(スプリング数)、そもそもの線径(バネの太さ)、によって、耐久性や反発力は変わるので、線種だけで、そのマットレスが優れているかどうかは判断できません。
しかしながら、販売ページなどでは線種を紹介(アピール)する例が多いので、予備知識としてこの記事をお役立ていただければ幸いです。
マットレスをもっと知りたい人は、選び方全般と予算別のおすすめのマットレスを以下の記事でまとめているので、よろしければご参考になってくださいね。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。
脚注






