3分割のファイバートッパー
この記事では「スリープエンリッチ ノアール」をご紹介します。
なお、今回はメーカーさんから体験レビュー用に商品をご提供いただきました。> PRポリシーについて
実際の体験・検証・調査を踏まえて、良いところだけでなく、悪いと思ったところも素直に書いているので、ぜひご参考くださいね。
当サイトではレビュー記事を作成するにあたり、撮影スタジオを作り、セットの中で商品を徹底的に体験・検証しています。一般的な家の雰囲気と異なるのはそのためです。
この記事を書いた人
※この記事にはアフィリエイトリンクが含まれ、発生した広告収入をサイトの運営費に充てています
目次
スリープエンリッチ ノアールの基本情報
メーカー | ライフェンリッチ |
---|---|
サイズ | シングル~セミダブル |
主な素材 | ポリエチレンファイバー |
硬さ | やや硬め~硬め |
価格(シングル) | 59,800円 |
メーカーの「ライフェンリッチ」 とは
ライフェンリッチは、パソコン周辺機器で有名なバッファローを傘下に持つメルコホールディングスの完全子会社です。
『より豊かなライフスタイルを!』というビジョンを掲げ、寝具ブランド「Sleepenrich(スリープエンリッチ)」を立ち上げました。
なお、ライフェンリッチとは、Life(ライフ=人生)+Enrichment(エンリッチメント=豊かにする)という言葉から作られた社名です。
【まず結論】スリープエンリッチ ノアールの評価は?
当記事では以下のような項目をチェックし、商品を評価しております。
- 寝姿勢による寝心地は?(仰向き・横向き)
- 寝返りのしやすさは?
- 通気性が良いか?(ムレを感じないか)
- クッション材の品質はどうか?
- 詰め物の質感・ボリュームはどうか?
- バネ当たりや底付きがないか?
- 価格相応の寝心地と言えるか?(総合評価)
体験を通じ本商品を以下のように評価しました。
▼ スリープエンリッチ ノアールの評価 | |
---|---|
総合評価 | 3.16 |
仰向き寝 | 3.5 |
横向き寝 | 2.5 |
沈み込みにくさ | 5.0 |
寝返り | 4.0 |
通気性 | 5.0 |
素材の品質 | 4.0 |
耐久性 | 3.0 |
衛生面 | 4.0 |
取り扱いやすさ | 3.0 |
価格 | 2.25 |
※目安は「3.50」以上が高評価です
【総評】マットレスか、トッパーか、中途半端さがもったいない(品質は良いのに)
スリープエンリッチ ノアールは、厚さ5cmのファイバーマットレスです。
しかし、マットレス単体として使うには、薄すぎます(寝心地が硬すぎます)。※公式サイトでは単体利用OKと記載されています
また、マットレスの上に乗せる「トッパー」として使うには、3分割タイプなので、使用感にややデメリット(分割部分の寝心地の悪さなど)があります。
要するに、マットレスとしてもトッパーとしても最適とは言いにくい、どっちつかずな仕様に感じました。
とはいえ、ファイバーならではの反発性や通気性の高さ、寝姿勢保持性(立っている時と同じような体のラインを実現できる性能)、2層構造によるリッチな寝心地や、硬さ調節機能、品質の高さなど、スリープエンリッチ ノアールには良い面がたくさんあります。
しかし、最終的な製品のポジショニング(マットレスかトッパーか)という点で、どっちつかずな印象があり、もったいないように思いました。
厚さ10cm未満は、基本的に「トッパー」としてお考え下さい。※薄すぎるとマットレスとしての十分な性能が得られません
【補足】トッパーに求められる性能とスリープエンリッチ ノアールの懸念点
トーパーとは、敷き寝具(主にマットレス)の上に敷いて、寝心地を高めるためのアイテムです。
トッパーは体に最も近い場所に来るため、体圧分散(フィット感)や、高感触、反発サポートといった性能が期待されます。
よって、単純に言えば「なめらかさ」がトッパーにとって大切です。
以上を踏まえ、スリープエンリッチ ノアールの気になる点は、3分割のファイバーという仕様です。
基本的にファイバー素材は、しなやかさが少ない素材です。
ファイバー | ウレタンフォーム |
---|---|
上の画像のとおり、ファイバー(左)は樹脂を編み込んで固めている構造のため、曲げると樹脂が折れることで折り目がいくつもできます。一方、ウレタンフォーム(右)の場合だとカーブにしなやかに反応します。
特に、3分割×ファイバーという組み合わせはトッパーには合いにくいと感じます。
なぜなら、ファイバーはしなやかに形状が変化しないため、分割部分に違和感を感じやすいからです。(圧迫感の原因にもなります)
よって、ファイバーをトッパーで使うなら、基本的に1枚タイプ(分割されていないタイプ)の方がストレスを感じにくいでしょう。
以上、辛口なコメントをしてしまいましたが、スリープエンリッチ ノアールは基本的には良い製品です。
ファイバーならではの反発性や通気性の高さを存分に感じられ、素材自体の作りも良質です。
そして、人によって感じ方も大きく変わるので、筆者が感じたデメリットは気にならない人も多いと思います。
実際、公式サイトでは非常に満足されている口コミが中心を占めます。また、90日の返品保証付きなので、気になった人はぜひ試してみはいかがでしょうか。
・
・
・
スリープエンリッチ ノアールの特徴・メリットは?
1. ファイバータイプ
ファイバーとは、樹脂(ポリエチレン)を水の中で網目状に固めた素材のこと。
ファイバー素材は、2007年にエアウィーヴが釣り糸を製造する技術を応用して開発・発売したことで一気に有名になりました。
ファイバー素材は空気の層が非常に多いため、通気性が高く、多方向に反発するので、寝返りしやすいことが大きな特徴です。
通気性の良さと反発性能の高さ、これがファイバーの大きな特徴です。なお、スプリングコイルなどでは、基本的に上方向(1方向)にしか反発しません。
2. 寝返りしやすさを追求した「ラダーバウンステクノロジー」
スリープエンリッチ ノアールの最大の特徴は、反発性(硬さ)が違う2つのファイバーをストライプ状に合わせた「ラダーバウンステクノロジー」です。
こうした反発力(硬さ)が異なるファイバー素材を、ラダー(はしご)状に配列するため、荷重がかかるとやわらかい場所が圧縮されます。
すると、体の動きに対して横方向の反発力が強まるため、寝返りがしやすくなるという構造です。※当サイトの解釈です
ファイバーならではの特徴を上手に使った面白いテクノロジーです。
3. 硬さ調節可能な「3ブロック構造」
スリープエンリッチ ノアールの芯材は「やや硬め」×2枚と、「硬め」×1枚の3ブロック仕様で、このブロックを入れ替えることで、硬さのアレンジが可能です。
さらに上層が「ソフト」、下層が「ハード」という2層構造を採用しています。
芯材をひっくり返すことで、さらなる硬さ調節ができ、最大16パターンの硬さアレンジが可能です。
ソフト面 | ハード面 |
---|---|
余談ですが、ファイバーマットレスの硬さは、ファイバーの太さや密度(編み込み量)で調節しています。
よって、ファイバーマットレスにおいては、硬くなるほど耐久性が高くなる(プチプチ切れにくく、ヘタリにくい)傾向があります。
4. 科学的なデータの裏付けがある
スリープエンリッチ ノアールのキャッチコピーは「科学する寝具」で、実際に様々な効果が科学的に実証されています。
また、公式サイトの口コミを見ると、睡眠への満足感が高いコメントが多く寄せられています。
しっかりエビデンスを取り、販売ページにも詳細を表示するのは素晴らしいです。
5. 90日の返品保証付き
スリープエンリッチ ノアールには購入してから90日間の返品保証(お試し期間)があります。
自分に合ったマットレス選びというのは本当に難しいものですが、これだけ長い期間試せるなら安心ですね。
なお、返品時の送料は自己負担となり、集荷や梱包も自分で行う必要があるため、お届け時の段ボールなどは保管しておいた方が良いでしょう。
最近では、お試し期間(トライアル)付きのマットレスが多くなっていますが、条件はメーカーによって差があります。
手数料(返送費の自己負担)なしのメーカーもありますので、気になる人は以下の記事もご参考くださいね。
・
・
・
スリープエンリッチ ノアールのデメリット・注意点
1. 直置きは寝心地が良くない
【総評】でも触れましたが、以下のとおり、公式サイトでは、「フローリングの上」や「畳の上」など直置き使用も可能とあります。
たしかに、スリープエンリッチ ノアールは、直置きしても底付きはありませんでしたが、底付きを感じない理由は硬いからです。
要するに、1枚(直置き)で使った場合の寝心地は硬すぎます。
仰向けの場合はマットレスと腰の間に隙間ができますし、横向きでは肩や腰あたりの圧迫感が強いので、基本的にトッパーとして使うのがおすすめ商品と言えるでしょう。
1枚のマットレスとして使える厚さの目安は10cm以上です。
2. 「16通りのカスタマイズ」は現実的ではない
公式サイトによると、硬さが異なるブロックをアレンジして16通りのカスタマイズが可能とあります。
たしかに、可能ではあるのですが、基本的にストレスない寝心地が実現しやすいのは、センターハード(基本設定)の2パターンのみかと思います。
例えば、上記のように、荷重が重い背中部分に「硬め」、落ち込みやすい腰(おしり)部分に「ふつう」、圧力を感じやすい踵(かかと)部分に「やや硬め」といったパターンは違和感が強い寝心地です。
とはいえ、人によって好みがあるので、いろいろなパターンを調節できるのは、やはりメリットと言っても良いかもしれません。
3. なめらかさがイマイチ(3分割のファイバー)
【総評】でもご紹介したとおり、トッパーで「3分割×ファイバー」の仕様ため、分割部分の寝心地が悪いと感じました。
なお、いろいろな硬さのマットレスで試しましたが、硬くないマットレス(ふつう~やわらめの寝心地)の上で使うと各ブロックが特に動きやすかったです。
また、カバーに詰め物がなく、表生地も厚くないので、芯材をダイレクトに感じやすく、圧迫感が強い場所もあります。
スリープエンリッチ ノアールは、硬めのマットレスの上で使うのがおすすめです。
4. ラダーバウンステクノロジーの違和感
ラダーバウンステクノロジーは「寝返りしやすさ」を狙ったものです。
しかし、ストライプの谷(やわらかい場所)に、寝返りの支点となる踵(かかと)が落ち込むことで、寝返る力がスムーズに伝わりづらいという現象がありました。
また、わずかですがデコボコ感が背中あたりでも感じます。
こうした違和感から、ラダーバウンステクノロジーによって明らかに寝返りがしやすくなる感じはしませんでした。(むしろ一般的なファイバーマットレスや高反発ウレタンマットレスの方がスムーズにも感じます)
・
・
・
【体験レビュー】スリープエンリッチ ノアールを実際に試してみた
実際のお届け時の様子や具体的な使用感をご紹介します。
開梱・設置
こちらはシングルサイズです。
芯材が3つに分かれてビニール袋に入っています。
中身は芯材とカバーと取扱説明書の3点です。
シングルサイズ(商品本体)で約5.8kgとそれほど重くないので、力が弱い人でも安心です。
設置方法をご紹介します。
まず、カバーの白い生地(表生地)を下にしてファスナーを開けます。
芯材の黒い(硬い)面が上になるように設置します。
ひとつだけ「硬め」のブロックがあり、黄色いタグが付いているのが目印です。
硬めブロックは、基本的に真ん中(センターハード)にします。これは、荷重のバランス的に腰部分が沈み込みやすいからです。
なお、表生地(白いカバー)が下になっているので、この設置パターンは「ハード面が裏、ソフト面が表」です。
ファスナーを閉じます。
こちらは裏面です。
表にひっくり返して完成です。
特に困ることなく、とてもシンプルな仕組みです。
外観のチェック
厚さはこのくらいです。
芯材の厚さが5cm(公表値)ですが、カバーを含めると約6cmの厚さがありました。
続いてカバーをご紹介します。
ポリエステル100%のサラッとした肌触りです。
伸縮性が高いニット生地なので、体へのフィット感も高いです。
生地のアップはこんな感じです。
フット面やサイド面に「Sleepenrich」(スリープエンリッチ)のロゴがあります。
カバーは、表側でのみで寝られる「片面仕様」です。
表面 | 裏面 |
---|---|
裏面生地はメッシュ生地です。
メッシュはとても通気性が高い生地なので、芯材のファイバーとの組み合わせはまさに通気性抜群です。
なお、サイド面もメッシュ生地になっているので、より蒸れにくい仕様です。
内部構造
カバーを開けて内部構造をご紹介します。
芯材とカバーです。
カバーには取扱注意ラベルが付いてます。
芯材(ファイバー)の様子を詳しく見ていきます。
ファイバーの厚さは公表値どおり5cmです。
スリープエンリッチ ノアールのファイバーは、分割部分が固められた仕様となっています。
ファイバーは端からちぎれやすいですが、こうした固める加工を施すことで、ちぎれにくくなります。
芯材のちぎれにくさは耐久性の良し悪しにもつながるので、ファイバーマットレスを選ぶ上でチェックすべきひとつのポイントです。
固める加工あり(本商品) | 固める加工なし(別商品) |
---|---|
ただし、スリープエンリッチ ノアールは長辺(サイド面)は、固める加工をしていなく、切りっぱなしになっています。
端に限らず、ファイバーマットレスは、ファイバーがちぎれるほど、反発力や硬さが失われます。
そして単純に言うと、ちぎれやすいのは、樹脂の線が細く、密度が低い「やわらかめのファイバー」です。
スリープエンリッチ ノアールの場合、ソフト面を手(こぶし)で強く押すと、プチプチとちぎれる音が多く聞こえました。
よって、上に立つなどの集中した荷重をかけることは避けた方が良いでしょう。
・
・
・
【詳細解説】スリープエンリッチ ノアールの評価について
この記事の冒頭で評価した以下のポイントを詳しくご紹介します。
▼ スリープエンリッチ ノアールの評価 | |
---|---|
総合評価 | 3.16 |
仰向き寝 | 3.5 |
横向き寝 | 2.5 |
沈み込みにくさ | 5.0 |
寝返り | 4.0 |
通気性 | 5.0 |
素材の品質 | 4.0 |
耐久性 | 3.0 |
衛生面 | 4.0 |
取り扱いやすさ | 3.0 |
価格 | 2.25 |
※目安は「3.50」以上が高評価です
1. 仰向き寝は?
仰向き寝は沈み込みが少なく接触面積が広いという特徴があるので、満遍なく荷重を受け止め、体圧を分散させることが重要です。
なお、日本人の約60%が仰向き寝と言われているので、最もオーソドックスな寝姿勢と言えます。
評価は「星3.5」。
ファイバーならではの豊かな反発性があり、変な落ち込みもなく、寝姿勢がしっかりと整っている印象です。
わずかに背中あたりにラダーバウンステクノロジー(硬さが違うストライプ構造)の違和感がありましたが、大きなストレスには感じないレベルです。
特にソフト面を上にした状態は、快適な体圧分散性と寝姿勢保持性が味わえ、非常に寝心地が良く感じました。
分割部分の違和感が少しあったことはマイナスですが、仰向け寝が中心の人にはおすすめできる寝心地だと思います。
2. 横向き寝は?
横向きの寝姿勢は肩や臀部の沈み込みが深くなることと、接触面積が少なく、荷重が集中しやすいため、底付きなどを感じやすいという特徴があります。
つまり、深く沈み込んでも無理のない寝姿勢になることと、荷重による圧迫・底付きを感じないようなクッション性が大切です。また、不安定な寝姿勢でもあるので、揺れ過ぎないような衝撃吸収性もポイントです。
評価は「星2.5」。
特に脇下あたりに分割部分の圧迫感があります。
横向きは体のラインの起伏が大きいので、接地面をしっかりとフィットさせる必要があります。
スリープエンリッチ ノアールの場合は、肩からくびれの大きなカーブに分割部分が当たるため、体のカーブに十分にフィットしません。
結果的に、脇下の分割部分(特に頭位置のブロック)がフィットせずに押し上がるように動くことで圧迫感がありました。
とはいえ、ファイバーの高反発らしい寝姿勢保持性の良さは感じられるので、変に沈み込むことがないことは良い点です。
3. 沈み込みは?
トッパーは沈み込み過ぎると下のマットレスの硬さや反発性などの影響を大きく受けます。よって、トッパー本来の性能を発揮するには、沈み込み過ぎないことが大切です。また、沈み込み過ぎると寝姿勢が崩れやすいので、寝姿勢保持が難しくなります。
評価は「星5.0」。
「ハード面」のファイバー層がかなり硬いため、沈み込み過ぎることはありません。
また、2層構造ならではの硬すぎず・沈み込み過ぎない寝心地のため、寝姿勢保持・寝返りサポートなど性能が十分に発揮でき、素晴らしいです。
4. 寝返りのしやすさは?
クッション材や詰め物で使われている反発性によって、体の動きやすさが変わってきます。少ない力で寝返りを打てた方がストレスは感じにくいですが、寝返りがしやすい=良い寝心地とは限りません。
寝返りの大変さにストレスを感じている人は高反発タイプなどの寝返りしやすいマットレスが良いですが、寝返りが多すぎることで中途覚醒が多い人は、逆に寝返りの回数を抑えるような低反発タイプを選ぶと良いでしょう。
評価は「星4.0」。
ファイバーならではの高い反発性を十分に感じられるので、簡単にコロコロと寝返りが打てます。
マイナス点は、すでにご紹介したとおり、ラダーバウンステクノロジー(硬さが違うストライプ構造)の谷に踵(かかと)が落ち込むことで、寝返り時の支点に力が少し入りづらいことです。
とはいえ、大きなストレスを感じるほどのレベルではないでしょう。
5. 通気性は?
睡眠中は汗や体温を放出するので、蒸れやすいマットレスはストレスを感じることも。メッシュ生地や、側面から排気できる構造など、通気性に工夫があるかどうかをチェックします。
評価は「星5.0」。
ほとんど空気の層のファイバー素材は、数ある芯材の中で最も通気性が高いです。
さらにカバーの側面・裏面がメッシュ生地なので、これ以上ないほどの通気性の高さがある仕様と言えるでしょう。
6. 耐久性は?
密度や耐久試験(復元率)をベースにチェックします。また両面仕様で表裏のローテーションが可能な商品は加点します。
評価は「星3.0」。
ファイバーマットレスでは、復元率の表示義務はありませんが、基本的にファイバー素材は復元率が低いです。※復元率はウレタンマットレスで表示義務があります
復元率が低い=ヘタリやすい(形状の劣化が早い)ため、特に体重が重い人の場合、あまり長期使用の期待ができないでしょう。
また、スリープエンリッチ ノアールの場合、上層(ソフト面)のファイバーがかなり細いので、強い荷重によってちぎれやすいです。
一方、良い面は、ファイバーの端部分を固めて耐久性を強化するなどの工夫がされていることです。
余談ですが、(他のメーカーさんも含め)「8万回の圧縮試験に合格」という表現をされていますが、実は「合格」の基準はありません。
なお、ファイバーマットレスの場合、「復元率(ヘタリにくさ)」や「硬さ保持率(硬さの劣化のなさ)」を公表している商品は耐久性に自信がある場合が多いです。
7. 素材の品質は?
ここでは工場レベルの品質管理レベルをチェック。いくら素材のスペックが良いからと言って作りが粗雑だと良質な寝心地・使用感を得られません。
ウレタンフォームの品質の良し悪しは「形成のきれいさ」に現れます。歪みが大きいと(素材が持つ本来の性能が発揮されにくいという点で)寝心地やヘタリにも影響があるので、歪みがなく、ピシッときれいな形状が望ましいです。
評価は「4.0」。
大きな歪みもなく、ファイバーの裁断面もとてもきれいです。
ラダーバウンステクノロジーを作るのにも技術が必要ですが、きれいにストライプ状に固められていました。
カバーもほつれや縫製のズレなどもなく、しっかりと品質管理されている印象です。
8. 衛生面は?
抗菌防臭や防ダニなどの加工の有無やそのレベルなど、衛生面に工夫があるかどうかをチェックします。
評価は「4.0」。
カバーに抗菌防臭・防ダニ加工が施されています。
また、芯材もシャワーで水洗い(60℃以下)可能なので、清潔に保ちやすい点もメリットです。
9. 取り扱いやすさは?
トッパーは、移動しやすさ(重さ・折りたたみの可否)や、マットレスに置いた時のズレにくさなどが日常の使用感に影響します。
評価は「星2.0」。
重量はシングルサイズで約5.8kgですが、トッパーとしては特に軽いわけではありません。
また、折りたたんだり巻くこともできないので、保管や移動もしにくいです。
なお、一応、三つ折りはできますが、カバーが三つ折りに適した仕様でないため、長い時間の保管はおすすめできません(カバーが伸びだり、芯材が痛む原因になります)。
また、マットレスと固定できるバンドなどがなく、カバーに滑り止めもありません。
ただし、トッパーにしては重めなので、重量によってズレは気になりませんでした。
10. 価格は?
絶対的な価格と、マットレス市場の全体的な相場からチェックします。価格に応じた寝心地が実現されているかも大切なポイントで、総合評価へつながります。
評価は「星2.25」。
シングルサイズで59,800円は、トッパーとして考えた場合は「やや高め」の価格帯です。
約6万円の予算があれば、それなりに良いマットレスを買い替えられます。
とはいえ、今使っている寝具を活かしたい人や、手軽に寝心地を改善したい人にはスリープエンリッチ ノアールのようなしっかりとした品質があるトッパーがおすすめです。
また、ファイバーの先駆者であるエアウィーヴの3ゾーン仕様のトッパー「エアウィーヴ 02」は価格が11万円(シングル)と考えると、約半額で買えるため、コストパフォーマンスは良いとも言えるでしょう。
11. 硬さは?
ウレタンフォームのN(ニュートン)数、綿のボリューム感、ポケットコイルの線径・巻き数等の仕様から客観的な硬さと、実際に寝たときに感じた主観的な硬さをお伝えします。
スリープエンリッチ ノアールは、ソフト面は「やや硬め」、ハード面は「硬め」くらいの寝心地です。
ソフト面を表にした場合の硬さ
ファイバーは基本的に硬めの寝心地が多いですが、スリープエンリッチ ノアールのソフト面は樹脂が細く、けっこうやわらかめに感じました。
しかし、ソフト層は2cmのため、体の沈み込みは下層のハード面にすぐに到達します。
ハード面はかなりしっかりした硬さです。
よって、体当たりはやさしく、沈み込んだらしっかりとグッと支えられる理想的なバランスに感じました。
結果、ソフト面を表にした場合は「やや硬め」くらいの寝心地に落ち着きます。
ハード面を表にした場合の硬さ
ハードはかなり硬めの感触ですが、厚さが3cmということもあり、下層のソフト面が潰れるような形で荷重が吸収されます。
よって、結果的に硬すぎない「硬め」くらいの寝心地に落ち着きます。
なお、基本的に上層よりも下層が柔らかい場合、下層が潰れるため、上層のフィット感(体の凹凸に沿うサポート性)は少なくなります。
上の画像のとおり「面」で支える性質が強くなるため、敷布団やボンネルコイルマットレスのような寝心地に近づきます。(優劣ではなく、好みの問題です)
・
・
・
似ている商品との比較
スリープエンリッチ ノアールの特徴のトッパー・ファイバー・3ゾーンという条件で似た商品と比較します。
商品 | ①スリープエンリッチ ノアール (本商品) | ②エアウィーヴ 02 | ③ブレインスリープ マットレス フロート |
---|---|---|---|
画像 | |||
メーカー | ライフェンリッチ | エアウィーヴ | ブレインスリープ |
タイプ | 3ブロック | 1枚もの | 3ブロック |
厚さ | 5cm | 7cm | 5cm(脚部9cm) |
重量 (Sサイズ) | 5.8kg | 約7kg | 非公表 |
層構造 | 2層 | 1層 | 3層 |
返品保証 | 90日 | 30日 | × |
価格 (Sサイズ) | 59,800円 | 110,000円 | 88,000円 |
リンク | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
【比較商品②】エアウィーヴ 02 とは
3ゾーンで寝姿勢をサポート
ファイバーマットレスの元祖「エアウィーヴ」のトッパー。肩・腰・脚の3部位に適したサポート性(硬さ・反発力)が発揮できるゾーニング仕様です。
1枚タイプなので、滑らかな寝心地が得られるので、トッパーとしての使用感が良いです。ただし、価格がシングルサイズで11万円と高額な点がデメリットです。(このくらいの予算があればかなり良いマットレスを買い替えることも可能です)
【比較商品③】ブレインスリープ マットレス フロート
脚を高く上げる「中立姿勢」
ブレインスリープは「スタンフォード式最高の睡眠」の著者である日本睡眠学会専門医の西野精治氏が代表を務める寝具メーカーです。
ブレインスリープマットレスの最大の特長はNASAが提唱する「中立姿勢」へと促すための「フロートテクノロジー」です。
中立姿勢とは、無重力空間において人間が自然となる体勢で、身体に最も負担が少ない姿勢とされています。
ブレインスリープマットレスでは、この中立姿勢を実現するために、マットレスを3つのブロック(脚ブロック・腰ブロック・肩ブロック)に分け、それぞれ異なる仕様を施しています。
どれがおすすめ?
「トッパーとしての寝心地の良さ」を大切に考えるならエアウィーヴ 02がおすすめです。1枚ものでなめらなか寝心地が得られます。
「ほとんど仰向きで寝る人」はブレインスリープもおすすめです。脚が持ち上がることで血液循環が良くなり、むくみや疲れの解消効果を狙った構造です。実際に体験したところ、本当に脚が暖かくなる(血液が循環されているような)感じがしました。ただし、構造上、横向きの寝姿勢には合いにくいです。
「コストパフォーマンスが重要な人」はスリープエンリッチ ノアールがおすすめです。比較商品と同等の品質で、価格がかなり安いです。さらに90日の返品保証も付いているので、気軽に体験できることもメリットです。※返品時の送料は自己負担です
・
・
・
まとめ
いかがでしたか。
スリープエンリッチ ノアールをご紹介しました。
2層タイプのファイバートッパーです。
硬さが違う2層のファイバーによって、体当たりはやさしく、沈み込んだらグッと支えてくれる理想的なバランスに感じました。
また、3ブロックの硬さも異なり、それぞれを入れ替えることで、硬さ調節ができます。
一方、ファイバーの3ブロック仕様のため、分割部分の寝心地が悪いことがデメリットでした(特に横向き寝の場合)。気になった場合は厚手のパッドなどで調整しましょう。
とはいえ、素材や品質は良質に感じましたし、競合商品と比較した場合のコストパフォーマンスの高さは魅力です。
さらに90日の返品保証付きなので、気になった人はぜひ試してみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。