掛け布団

掛け布団の選び方とは?

健康な睡眠を得るためには睡眠のメカニズムや、寝室の環境(音や光りな)を整えることが重要ですが、寝るときに使う寝具・寝装品も大きな影響を与えます。

つまり、掛け布団やまくら、カバー類などの寝装品やパジャマなど、自分の身体に触れるアイテムを、季節や温度・湿度の変化に応じて適切なものを選ぶ必要があります。

この記事では主に「掛け布団」について、その役割と素材ごとの特徴、選び方などを詳しくご紹介させていただきます。

この記事を書いた人

管理人当サイトの管理人。ベッドメーカーに7年ほど勤めた後、ベッド専門情報サイト(当サイト)を運営。国内・海外メーカーへの取材を重ね、レビューしたベッド&マットレスは100商品を超える。

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寝床内環境とは?

寝床内環境

寝床内環境(しんしょうないかんきょう)とは、布団に寝たときに、掛け布団と敷き布団(マットレス)で囲まれた小さな空間の環境のことを言います。

快適な睡眠を実現させるためには、寝床内を快適な温度、湿度に保つ必要があります。

寝床内の温度は、当初室温と同じ(体温よりも低いことが多い)ですが、人が布団に入ると体から発する温熱によって急上昇を始めます。

そして、次第に布団が暖められて、皮膚から発散される熱量と布団から放出される熱量の間にバランスが保たれ、寝床内温度もほぼ一定となり、33℃±1℃の時が快適と言われています。

湿度(相対湿度)は人が布団に入った直後から放出される汗によって、急激に上昇しますが、すぐ温度の上昇にしたがって低下し、温度とともに安定状態になり、50%±5%(RH)の時が最も快適な環境となると言われています。

つまり、就寝時の寝床内環境は温度・湿度が目まぐるしく変化(基本は上昇)していくため、その変化を安定させるため寝具・寝装品には適切な保温性や調湿性などが求められます。

掛け布団に必要な性能とは?

掛け布団

すぐ上でご紹介したとおり、掛け布団には「保温性」「調節性」が求められる他、「軽さ」や「ドレープ性(フィット性)」なども必要です。

また、それらの機能は睡眠中の生理現象とも関係します。

保温性

人間の体温は体内時計(概日リズム)にしたがって、ほぼ1日周期で温度が上下します。

具体的には夜になると体温が下がり始め、明け方まで下がり続け午前5時ごろに最低レベルに達します。そのため、毛布や布団を掛けずに寝てしまったら風邪をひいてしまう危険があるでしょう。

つまり、睡眠時の体温変化や、冷気から体温を保持するためには、掛け布団などを使い、保温性を得る必要があります。

調湿性(吸湿・透湿・放湿)

人間の汗には水蒸気と液体の2種類あります。汗をかくことは深部体温をスムーズに低下させるなど、睡眠の安定化などに重要な役割を果たしています。

したがって、掛け布団には十分な吸湿(水分を吸うこと)と、湿度が高くなりすぎることによる「蒸れ」を防ぐために、透湿・放湿(水分を発散させること)が必要です。

軽さ

人は一晩のうちに約20回ほどの寝返りを繰り返します。寝返りは、血液の循環を良くしたり、温度を調節したり、蒸れを解消させるのに必要な動作です。

つまり、掛け布団には寝返りや体動がスムーズにできるように、ある程度の軽さが必要と言えます。

逆に重すぎる掛け布団は、身体に負担をかけ、寝返りのたびに睡眠を妨げる可能性があります。特に高齢の方にとって重い掛け布団は心臓への負担が大きくなると言われているので注意が必要です。

ドレープ性(フィット性)

寝床内の暖かさを逃さないためにも、身体に沿いやすい柔らかさ(ドレープ性)が必要です。ドレープ性が優れた掛け布団は、なめらかなフィット感があり、寝返りを邪魔しにくいです。

掛け布団の種類

掛け布団には以下の種類があります。

  • 一般掛け布団
  • 肌掛け布団
  • 夏掛け布団

一般掛け・肌掛け・夏掛け

主な違いはボリューム感です。ボリューム感がある順に一般掛け>肌掛け>夏掛けとなります。

一般掛け布団(冬用)

一般掛け

最も詰め物のボリューム感があるタイプ。詰め物には羽毛や羽根などの動物繊維、綿などの植物繊維、ポリエステルなどの化学繊維など様々な素材が用いられています。

なお、羽毛(ダウン)が50%以上入っているものを「羽毛布団」、50%未満のものを「羽根布団」と呼びます。

肌掛け布団(春秋用)

肌掛け

一般掛け布団より詰め物の量が少なく軽く作ってあるため、春・秋用をメインとするタイプ。

夏にも夏掛け布団の代用だったり、真冬は一般掛け布団と重ねて使うなど幅広い用途で使えます。

詰め物はポリエステルや、羽毛・羽根、羊毛などが多い傾向です。

夏掛け布団の特徴

夏掛け

真夏など特に暑い時期に使われる最も薄手なタイプ。詰め物の量を少なくして、側生地もさやわかなサラッとしたもの(麻やポリエステル)が使われます。

掛け布団の「素材」の特徴

続いて、掛け布団で使われることが多い以下の代表的な素材の特徴をご紹介します。

羽毛・羽根

グース(鵞鳥)

羽毛布団とは、グース(ガチョウ)・ダック(鴨)などの水鳥の羽毛を使った布団のことです。グースの方がダックよりも高値です。

羽毛とは水鳥の胸に生えている芯がないふわふわとしたタンポポの綿毛のようなもので「ダウン」と言います。一方、芯があるものは「フェザー」(羽根)と言います。

なお、ダウン率50%以上のものを羽毛布団、ダウン率50%未満のものを羽根布団と定義されいてます。

羽毛布団のメリット

羽毛布団のメリットは以下の5点です。

1. 軽くて暖かい

ダウンはタンポポの綿毛のような形状で、空気をたっぷりと包み込む構造をしているため、軽くて暖かく睡眠中の身体への負担が少ないです。

2. 蒸れにくい

羽毛布団は吸湿性・放湿性に優れています。寝床内では発汗による湿気を吸収・放出を繰り返すため、蒸れを感じにくいです。

3. フィット感が良い

羽毛布団は、体に添うようになじむため、暖かい空気を逃さず冷たい空気の進入を防ぎ、特に寒い真冬には心地よい寝心地が得られます。

4. 手入れが簡単

羽毛布団は弾性回復性(元に戻る性質)・吸湿放湿性(湿気をためこまない性質)に優れているため、頻繁に日干しする必要はありません。ただし、保温性を高めるためには月に1~2回程度日干しをしましょう。

5. ダニが発生・侵入しない

羽毛の原料は洗浄後、100℃前後で乾燥させるため、布団の中からダニが発生することはありません。また、羽毛布団の側生地は高密度で織られているため、外部からダニが進入しにくい構造になっています。

羽毛布団のデメリット

一方、羽毛布団の主なデメリットは以下の2点です。

1. 羽毛が吹き出す

羽毛布団本来の機能を生かすために、通気性が必要なことから、羽毛が吹き出すこともあります。

2. 臭い

羽毛には「羽毛本来の臭い」と「その他の臭い」があります。

本来の臭いとは、動物性繊維のため、タンパク質と臭いと油脂の臭いがまじりあった臭いです。ただし、この臭いは使用し続けることによって、徐々に和らいでいきます。

一方、その他の臭いとは、洗浄が不十分のため、不純物による臭いと、菌の発生による排せつ物の臭いのことです。不純物による臭いは徐々になくなっていきますが、菌の繁殖による臭いは自然となくなることはなく、クリーニング等で対応する必要があります。

羽毛布団のリフォーム

長年使用した羽毛布団はボリューム感が減ったり、片寄りや吹き出しが発生しやすく、羽毛布団ならではの特性(保温性や調湿性など)を発揮できなくなってしまいますが、リフォームすることで性能を復活させることができます。

リフォームの方法は以下の2パターンがあります。

1. プレミアムダウンウォッシュ

羽毛を取り出して、洗浄し、新しい側生地に詰める方法

2. ダウンウォッシュ

布団を丸洗いして、羽毛を取り出し、新しい側生地に詰め替える方法

※リフォーム会社によって、細かい製法は異なります。

羊毛

羊

羊毛は、ヨーロッパで百年以上も前から布団の素材として使われています。

羊毛は独特のちぢれ(クリンプ)があり、この形状が優れた保温性や吸湿・放湿性、弾力性を作り出しています。

羊毛は外部の湿度に応じて水分量を調整する機能があり、汗をかいたときのベトツキ感が少なく、しかも冷たさを感じさせません。

羊毛布団のメリット

羊毛布団の主なメリットは以下の通りです。

1. 暖かい

羊毛はたくさんの空気を含み、熱伝導率が低いため、外部の冷たい空気が寝床内に伝わりづらいです。また、羊毛は湿気を与えると自然と熱を出す性質があるので、睡眠中の汗を湿気として吸収して暖かくなります。

2. 夏は涼しい

羊毛は吸湿性が優れていて、吸収された湿気を放出すると気体となり、熱を取る作用があるため夏は涼しく感じます。

3. 燃えにくい

羊毛は難燃性の素材で、火がついても火元がなくなれば燃え広がずに炭化するため、安全性が高い素材と言えます。

羊毛布団のデメリット

1. ニオイ

羊毛は動物性繊維のため、多少の臭いを感じる場合があります。風通しが良いところで乾燥させることで、自然と臭いは薄れますが、多少の天然の臭いが残ることもあります。

綿

コットン

綿(めん)は、ワタ(棉)の実から採った繊維のことです。衣類などにもよく使われる天然素材として有名です。

綿布団のメリット

綿布団のメリットは以下の通りです。

1. 保湿性・保温性が優れている

中空構造と天然のよじれがつくる繊維のすき間には空気を多く含み、柔らかく保温性・保湿性に富みます。また、夏は汗を吸収するので使用感がさわやかです。

2. クッション性がある

綿はよじれがあることで弾力性があり、寝姿勢を保ちやすいです。また、寝返りが打ちやすい適度な硬さとクッション性があります。

3. 日干しでふっくらと回復する

綿布団を日干しするとたくさんの空気を繊維のすき間に含んで膨らむため、クッション性が回復します。

綿布団のデメリット

一方、デメリットは以下の通りです。

1. クッション性が戻りにくい

綿は日干しするとふっくらと形状が戻り、クッション性が回復しますが、一度つぶれたバネ機構は完全には復活しづらく、使っていくうちにヘタっていきます。

合繊(ポリエステル綿)

化学

合繊(ごうせん)とは「合成繊維」の略で、合繊布団は、一般的にポリエステル繊維のわたを使用した布団のことです。

合繊布団のメリットとデメリット

ポリエステル一般の特徴としては、軽くて安い点がメリット、保温性・吸湿性が少ないことがデメリットと言えます。

しかし、布団で使うポリエステルには加工方法によって様々な種類があるので、一概にメリットやデメリットはまとめられません。

たとえば、ポリエステル自体に保温性なくとも、かさ高性に富んだ合繊布団は保温性が優れています。吸湿性が少ないという点も、合繊布団はわたとわたの繊維の周りから湿気を透湿する性能があるので、比較的蒸れを感じることは少ないです。

また、合繊布団は「ほこりが出にくい」という点もメリットです。ポリエステルは繊維そのものが強いので、摩擦や折りたたみを繰り返しても切れにくく、わたぼこりがほとんど出ません。さらに、雑菌が増える原因にもなりにくく洗濯もできるので、ぜんそくやアレルギー体質の方にも適しています。

掛け布団のサイズは?

日本寝具寝装品協会において定められている掛け布団のサイズ(JBA規格)は以下の通りです。

サイズ略号幅×長さ
シングルS150×200
シングルロングSL150×210
セミダブルSD170×200
セミダブルロングSDL170×210
ダブルD190×200
ダブルロングDL190×210
クイーンロングQL210×210
キングロングKL230×210

上記の通り、JBA規格では長さが2パターン(200cmと210cm)あります。

ただし、商品によってはJBA規格表記を無視し、長さがすべて210cmとなっている場合があります。(JBA規格のロングサイズが通常サイズになっている)

つまり、メーカーや商品によって同じサイズ名称でも若干異なることがあるので注意しましょう。

知っておきたい!掛け布団の機能性加工

布団用の生地には主に衛生面を補強する目的で機能性を持たせる加工を施すことがあります。

以下で掛け布団でよく使用される機能性加工の種類をご紹介します。

防菌防臭加工

繊維状の細菌の増殖を抑制して防臭効果を示す加工。JIS規格において、抗菌活性値2.0~2.2未満の抗菌効果があり、「菌菌の繁殖をイヤなにおいが発生しない程度に抑える加工」のことです。

制菌加工

防菌防臭加工と同じく、最近の増殖を抑制する加工。抗菌活性値が2.2以上と、防菌防臭加工よりも抗菌性が高く「菌をそれ以上に増やさない加工」です。

消臭加工

繊維が臭気成分と触れることで不快臭を減少させる加工。ニオイの成分を吸着するタイプと分解するタイプがあります。

光触媒効果(光が当たることにより酸化力が発生することで有機物を分解する効果)を用いた消臭加工もあります。

防ダニ加工

特殊な薬品を付けてダニが寄り付かないようにする「忌避タイプ」と。ダニの侵入を物理的に阻止する「高密度織物タイプ」があります。

掛け布団の手入れ方法は?

使い方

掛け布団本体の痛みや汚れを防ぐために、カバーやシーツをかけましょう。

干し方

寝床内環境は湿気が高くなりがちなので、掛け布団は日干しか、乾燥機などでよく乾燥させることがおすすめです。

掛け布団の干し方のコツは以下の通りです。

  • 天気の良い乾燥した日の湿度の低い時間帯(10~15時頃)がおすすめ
  • 両面を干す(全面に日を当てる)
  • 布団本体の生地が傷まないようにカバーやシーツをかけて干す
  • 布団たたきなどで強くたたかない(詰め物を傷める可能性とダニやホコリが舞い上がりアレルギーの原因になる)

洗い方

部分的な汚れなら、すぐにつまみ洗い(指先でつまんで汚れをこする)をし、乾燥させます。

クリーニングが必要な場合は、専門の業者に依頼しますが、『ウォッシャブル』表示がある布団なら家庭での水洗いが可能です。

ウォッシャブル掛け布団の洗い方は洗濯機や素材(羽毛・羊毛・綿・合繊など)によって異なるので、取扱説明書などをしっかり読んだうえで行うようにご注意ください。

保管方法

掛け布団はしばらく使わない場合、一度日に干してから、カバーやシーツを外し湿気の少ない場所に保管してください。

また、ダニやカビを防ぐために、保管中でもときどき日に干し、押し入れなどの収納棚も乾燥させるようにしてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

掛け布団に求められる性能や種類・素材の特徴などをご紹介させていただきました。

快適な睡眠を得るには適切な掛け布団の選び方・使い方が必要です。季節に応じた厚さや、羽毛・羊毛・綿などの素材ごとの特徴を理解し、あなたにぴったりな掛け布団を選んでみてください。

最後までお読みいただき誠にありがとうございました。