※「ムアツ ふとん」は完売しました
2023年3月1日より、ムアツふとんがフルリニューアルし、商品名も「ムアツ マットレス」に変更しました。
新モデル「ムアツ マットレス」に関しては以下の記事で詳しくご紹介しているのでご参考くださいね。
ここから下の内容は、旧モデルの特徴と寝心地をご紹介しています。
ムアツふとんを徹底解説
この記事ではウレタンタイプの敷き布団「ムアツふとん(昭和西川)」についてご紹介します。
良いところも、そうでないところも、素直にまとめまていますので、ご参考いただけますと幸いです。
この記事を書いた人
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目次
【まず結論】ムアツふとんの評価は?
当記事では以下のような項目をチェックし、商品を評価しております。
- 寝姿勢による寝心地は?(仰向き・横向き)
- 寝返りのしやすさは?
- 通気性が良いか?(ムレを感じないか)
- クッション材の品質はどうか?
- 詰め物の質感・ボリュームはどうか?
- バネあたりや底付きがないか?
- 価格相応の寝心地と言えるか?(総合評価)
始めに結論からお伝えすると、体験を通じ本商品を以下のように評価させていただきました。
▼ ムアツふとんの評価 | |
---|---|
総合評価 | 3.51 |
仰向き寝 | 4.0 |
横向き寝 | 2.5 |
端の沈み込み | 3.0 |
通気性 | 4.0 |
寝返り | 4.0 |
底付きのなさ | 3.0 |
素材の品質 | 5.0 |
耐久性 | 3.0 |
衛生面 | 4.0 |
取り扱いやすさ | 5.0 |
価格 | 3.34 |
※目安は「3.50」以上が高評価です。
なお、当サイトで検証したうえで、特にコストパフォーマンスが優れていると感じた「本当におすすめのマットレス」は以下の記事でもご紹介しています。
それでは以下より、ムアツふとんの特徴をご紹介します。
ムアツふとんとは
ムアツふとんとは、昭和西川株式会社の代表ブランド「muatsu(ムアツ)」の敷きふとんタイプの商品で、1971年に発売開始し、2015年には累計販売数400万台を達成した大ヒットロングセラー商品として有名です。
ムアツふとんは中材に2層のウレタンフォームを使った多層構造タイプの敷き寝具で、いわゆる「布団」というよりも「マットレス」と同じような構造です。(といっても布団とマットレスの厳密な違いは曖昧なのですが)
なお、昭和西川株式会社は、「西川」と付いていますが、老舗寝具メーカー「西川株式会社(東京西川・西川産業・西川リビング等)」のグループではなく、ライバル企業的な位置づけです。
ムアツふとんの開発エピソード・歴史
ムアツふとんはもともと医療用として、床ずれ防止のために開発されました。床ずれは体の同じ部分が圧迫を続けることによっておこるため、床ずれ対策としての敷き寝具にはその圧力を分散する力(体圧分散性)と寝返りサポート力が必要になります。
褥瘡(床ずれ)対策に必要な性能
- 体圧分散性
- 寝返りサポート性
そこで昭和西川は、大きな圧力がかかるロケットや新幹線の先端の形状(タマゴ型)からヒントを得て、上からの圧力に強いタマゴ型の突起物を高密度に敷き詰めることで、体圧分散性と寝返りサポート性が優れた敷き寝具として「ムアツふとん」を開発したのです。
以降、医療用だけでなく、一般家庭用にも普及しました。
なお、ムアツふとんは1971年に販売開始しました。約50年もの歴史がある布団ブランドはムアツふとんの他に見当たりません。
ムアツふとんの3つの特長
ムアツふとんの芯材はウレタンフォームですが、単なるウレタンフォームではなく、表面がタマゴ型の凹凸が無数にある「プロファイル加工」をしていることが特徴です。
プロファイル加工を施したウレタンマットレスは他社製でも多いですが、ムアツふとんはそのパイオニアです。以前はこの製法が特許で守られていたのですが、その特許が切れたことで、多くの会社が真似しだしたのです。多くの会社に真似されるということはそれだけ優れたアイデア・寝心地とも言えるでしょう。
この凹凸構造によって得られる主なメリットは次の3つです。
- きめ細やかに体をサポート
- 適度な体圧分散性
- 通気性が良い
以下で詳しくご紹介します。
1. きめ細やかに体をサポート
無数の凹凸がある構造のため、体をきめ細やかに「点」で支えます。
点で支えることにより、体の部位の重さの違いに応じて、きめ細やかにサポートできます。
また、点構造は横に振動が伝わりづらいので、静かな寝心地で二人で寝るのにも適しています。
2. 適度な体圧分散性
点構造は荷重がかかる部分ごとに支持する力が変わるため、寝姿勢が整います。つまり、荷重を集中させないことで、マットレスから体にかかる圧力を分散(体圧分散)させるというコンセプトです。
「体圧分散性がどれほどだと体に良い」という科学的な根拠は存在しませんが、ムアツふとんは筆者が寝た場合に適度な体圧分散性と感じました(体の部位ごとに異なる敏感・鈍感の差に対して、ちょうどよい圧力を感じました)。
3. 通気性が良い
波を打ったような凹凸構造は、一般的な平面構造のフォームよりも体に触れる面積が少なくなります。
そのため通気性が良く、ウレタンマットレスのデメリットでありがちな「蒸れ」を改善し、湿気や汗などの水分を速やかに発散してくれます。
カバーは「ポリジン加工」で衛生的
ムアツふとんのカバーは、スウェーデンの大手化学薬品メーカー「ポリジン社」が開発した抗菌・防臭加工(ポリジン加工)を施しています。
睡眠中はコップ一杯の汗をかくと言われ、寝具に汗や皮脂が付着することによって、ニオイの元なるバクテリアが成長・繁殖し、ニオイが発生します。
ポリジン加工は天然の銀イオンにより、微生物やバクテリアの成長を抑制し、ニオイの発生を抑える効果があります。
なお、ポリジン加工は半永久的な加工なので、何度洗濯しても効果は衰えません。
専用シーツもポリジン加工
今回は専用シーツ「ムアツシーツ」(別売)も届けていただいたのですが、このシーツの使用感がとてもよかったです。
ムアツシーツもポリジン加工が施されているので、さらに衛生的な環境で眠ることができます。
シーツはさらっとした光沢がある生地で触り心地が気持ち良いです。
ムアツシーツはムアツふとんを使うならぜひ揃えたい寝装品。おすすめです。
ムアツふとんの価格・仕様
サイズと価格
サイズ | 幅×長さ | 価格(税込) |
---|---|---|
シングル | 91×200cm | 41,800円 |
セミダブル | 120×200cm | 58,300円 |
ダブル | 140×200cm | 69,300円 |
ムアツふとんの反発性は?
ウレタンマットレスでは「低反発」や「高反発」といった反発性(反発弾性)をセールスポイントにしている商品も多いですが、ムアツふとんは特に反発弾性を公表していません。
参考までに以下がムアツふとんの反発性をテストした動画です。(音は出ません)
跳ね返り方としては高反発タイプのような感じですが、すごく反発性が高いというわけではありません。
低反発・高反発、それぞれの特徴については以下の記事をご参考ください。
低反発マットレスの特集記事おすすめの低反発マットレス8選&間違いやすいメリット・デメリットも徹底解説
高反発マットレスの特集記事本当におすすめできる高反発マットレス9選&選び方ガイド
ムアツふとんの耐久性は?
耐久性を確認するには「復元率」と「密度」が参考になります。ムアツふとんでは以下の通りです。
- 復元率:96%
- 密度:非公表
ムアツふとんの復元率テストの内容は詳しく公開していませんが、一般的なマットレスの復元率テストは8万回押圧によるJIS規格試験を実施します。
簡単に言うと、マットレスの半分の厚さまで押して離すを8万回繰り返した後のひずみの少なさ(復元されているか)を確かめる試験です。
ムアツふとんの「復元率96%」という結果は、仮に寝返りに例えると、一晩あたり25回(平均値)を約8年繰り返しても3~4%(2~3mm)くらいしかヘタらないという計算です。
ただし、ウレタンフォームは経年劣化しやすい素材のため、押圧テストの結果によって8年後もほぼヘタリがないとは言い切れないのでご注意ください。
とはいえ、復元率:96%という結果は、良好な数値だと思います。
また、素材の密度も耐久性に関係します。密度が高ければ高いほど耐久性は高まりますが、ムアツふとんでは非公表です。
ムアツふとんの体験レビュー
ムアツふとんを実際に使ってみました。開梱から使用感などをレビューします。
1. 開梱
開梱前の様子。こちらはシングルサイズです。
本体は折りたたまれて入っています。
最近のマットレスは圧縮梱包になっていることが多いですが、ムアツふとんは圧縮されずにそのまま収納袋に入っています。
シングルサイズのサイズ感はこんな感じです。
少しかさばりますが、一人で持てる軽さです(シングルサイズの重さは約5.2kgです)。
2. 設置
収納ケースから取り出すと3つ折りにたたまれています。
マジックテープ(2か所)で止まっているので、ほどきます。
戻る勢いが強すぎるわけでも弱すぎるわけでもないので、安全・簡単に開けます。
3. 外観
カバーはさらっとした触り心地です。繊維はポリエステルを使用しています。
カバーの表面はメッシュ構造をしているので通気性が良いです。
上面(ベージュ)よりも、サイド面以下(ブラウン)の方が、メッシュが粗いため、側面からの通気性がより良い工夫がなされています。
裏面は特に滑り止めなどはなく、折りたたみ時に止めるマジックテープが付いているバンドが無造作状態です(すこし残念なところ)。
カバーは脱着可能です。
なめらかに動くL字ファスナー仕様ですが、中材のウレタンフォームにカバーがなかったので、摩擦が起きやすく、脱着がやや大変でした。
カバーは家庭洗濯が可能です。
マットレスの中材です。
凹凸構造(プロファイル加工)のウレタンフォームです。凹凸のすき間によって通気性が高められています。
タマゴのような凹凸がひとつひとつ規則正しく丁寧に裁断されています。
点で体を支えるため、振動が横に伝わりづらく、静かな寝心地が得られます。
芯材は上下で素材が異なります。
下層は「無膜加工」といって、ウレタンの膜を飛ばして通気性を高めています。
また、以下とおり上層と下層で硬さが異なります。
- 上層:160N
- 下層:220N
N(ニュートン)数が高くなるほど硬い寝心地になります。つまり、この場合、下層の方が硬い寝心地ということです。
4. 寝心地
続いて実際の寝心地についてご紹介します。
まず、仰向きで寝てみます。
取扱説明書では「ややソフト」となっていたのですが、思ったよりもしっかりとした硬めの寝心地です。
「幅広い層に合うマットレスの寝心地」というよりは、和布団の寝心地が好きで平坦な体つきの人に合いやすいのではないかと思いました。
日本人の過半数は仰向き寝と言われ、さらに寝返りも仰向きの姿勢を必ず通るため、仰向き寝による寝心地は特に重要です。
続いて、横向きで寝てみます。
上の画像では、かなり端に寝てみましたが、最も沈み込みがある肩部分においても底付きがなく、安定感があります。
しかし、特に肩部分は硬さによる圧迫感があり、やや横向き寝にはそぐわない感じがしました。
実際に就寝してみましたが、筆者の場合、横向きでは寝づらいと感じました。
続いて、寝返りを打ってみました。(動画は音がでません)
適度な反発性・点構造による動きのせいか、滑らかに姿勢が移動でき、寝返りはスムーズだと感じました。
実際に使ってみてよかったところ
ほどよい硬さ
薄型のマットレスは、味気ない寝心地の商品も少なからずありますが、ムアツふとんは2層構造のため、上層フォームの凹凸による適度な体圧分散と、硬めの下層フォームによるクッション性によって、リッチな寝心地が得られます。
特に仰向きで寝るには心地よく、沈み込み過ぎないので変な寝姿勢にはなりませんでした。
薄いのに底付き感がない
底付き感とは、沈み込んだときに床の存在を感じることです。底付き感がある商品は、体圧分散・荷重分散・寝姿勢保持といったマットレスの基本的な性能を発揮しづらいので、避けた方が良いでしょう。
筆者の経験上、10cmを下回るマットレスやふとんは底付きを感じることが多いです。
しかし、ムアツふとんの厚さは8cmという薄さにも関わらず、底付きを感じません。起き上がりや寝返り等の局所的な荷重をかけた場合でも、ほぼ底付きは感じられませんでした。
ウレタンの品質が良い
ウレタンフォームを使った敷き寝具は、数千円台から買えるものもありますが、商品によっては形成が雑だったり、異臭がきついものも多くあります。
ムアツふとんのウレタンフォームは、形成が丁寧でヘタリや歪みもなく、異臭もほぼ感じられませんでした。
また、中材はウレタンフォームを保護する目的で不織布などで覆われていることが多いのですが、ムアツふとんは表のカバーを開けるとむき出しのウレタンフォームが現れます。
ムアツふとん | 他社製品 |
---|---|
こうした点も品質に対する自信がうかがい知れます。
実際に使ってみて気になったところ
横向き寝には向かない
上の画像でも分かる通り、横向き寝の場合は肩や臀部が下層フォーム(硬め)まで沈み込みが到達しています。さらに下層フォームも圧縮されることによってより硬く感じやすく、横向きの姿勢では圧迫感があり寝苦しく感じます。
これは硬めの薄型マットレス特有のデメリットとも言えます。
基本の寝姿勢が横向き寝の人は、もっと厚めで柔らかめのマットレスが合いやすいでしょう。
また、体重が重い人も要注意です。体重が重い人はそれだけ各部位の重さもあるため、ムアツふとんのような薄型のマットレスで寝ると肩・背・臀部などに圧迫感を感じやすいです。
シングルサイズが狭い
通常のマットレスの横幅サイズは97cmですが、ムアツふとんのシングルサイズの横幅は91cmです。
つまり、一般的なマットレスとサイズが異なるので、ベッドフレームなどで使おうと思っている人は注意が必要です。
また、97cmと91cmはわずか6cmの差ですが、体感的にはかなり小さく感じるので、体格が大きい人はセミダブルかダブルサイズを選ぶことをおすすめします。
長さも注意
ムアツふとんの長さは200cmです。一般的なマットレスの長さは195cmのためムアツふとんの方が5cmほど長いです。ベッドフレームで使うと、少しはみ出てしまいます。
点の存在が少し気になる
ウレタンフォームが凹凸構造のため、寝ている時に点の存在を少し感じます。特に荷重が重くかからない指先や足先などは感じやすいです。
とはいえ眠りを妨害するほどの存在感ではありませんし、実際に中途覚醒なく眠れています。ただし、敏感な人は注意した方が良いかもしれません。
表裏のローテーションができない
マットレスのヘタリを軽減するには、定期的なローテーション(位置を変えること)が必要です。
マットレスのローテーション方法には、「表裏」と「上下」の2パターンがありますが、非対称な2層構造であるムアツふとんは上下のみしかローテーションができません。
ムアツふとんの口コミ・評判は?
ムアツふとんの口コミは公式サイトを確認すると星4以上(星5が満点)をつけているユーザーの方が多く、口コミ点数だけで考えると良い評価を得ています。※2020年10月時点
口コミの内容を眺めてみると、以下のような意見が多かったです。
良い口コミ | 悪い口コミ |
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マットレスの口コミは判断が難しい
マットレスは体に合う合わないが顕著に表れやすく、人によって感じ方がバラバラです。
口コミでよく書かれている「腰痛」や「肩こり」などの改善効果についても注意が必要で、万人の腰痛や肩こりを改善できるマットレスなどありません。腰痛や肩こりの原因は人それぞれ、そして体型も人それぞれ異なるからです。
また、硬さについても同様で、今までせんべい布団を使ってきた人がムアツふとんで寝るとふんわり柔らかく感じやすいですが、筆者のように普段から一般的なマットレス(厚さ20cm程度)のクッション性がある寝心地に慣れている人にとっては硬く感じると思います。
マットレス選びは口コミや星の数にはあまり頼らないほうが無難です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ムアツふとんの特徴や実際に使ってみた感想などを詳しくご紹介させていただきました。
ムアツふとんの特長をまとめると以下の通りです。
- 薄いのに底付き感がない
- 点で支えるので適度な体圧分散性と静かな寝心地
- 通気性が良い構造
一方、注意したいのが以下の点です。
- 薄く硬いタイプなので横向き寝や体重が重い人には合いにくい
- 腰痛・肩こりに効果があるという証拠はない
最後に、体験を通じて筆者が考える「ムアツふとんはこんな人に合う」という意見を以下にまとめます。
- 平均的な日本人体型
- 体重が軽め~標準的
- 和布団からの買い替えを考えている
- 仰向き寝が中心
- 今寝ている寝具が寝苦しく感じる(蒸れやすい)
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。