この厚さで9,000円はすごい(ただし、デメリットもある)
この記事ではタンスのゲン「ポケットコイルマットレス(3Dメッシュ・厚さ22cm)」についてご紹介します。
この記事を作成するにあたり、商品を購入し、使用感を詳しくレビューしました。
実際の体験・検証・調査を踏まえて、良いところだけでなく、悪いと思ったところも素直に書いているので、ご参考いただけますと幸いです。
当サイトではレビュー記事を作成するにあたり、撮影スタジオを作り、セットの中で商品を徹底的に体験・検証しています。一般的な家の雰囲気と異なるのはそのためです。
この記事を書いた人
※この記事にはアフィリエイトリンクが含まれ、発生した広告収入をサイトの運営費に充てています
目次
このマットレスの基本情報
本商品のサイズや価格等の情報は以下の通りです。
メーカー | タンスのゲン |
---|---|
サイズ | セミシングル~クイーン |
クッション材 | ポケットコイル |
カラー | ホワイト、ブラック |
価格(Sサイズ) | 8,999円 |
保証期間 | 1年 |
外観を詳しく知りたい方は、以下の動画もご参考くださいね。(音声なし)
メーカーの「タンスのゲン」とは?
このマットレスを作っている「タンスのゲン」は、福岡県大川市に本社を構えるタンスのゲン株式会社が運営するインテリア専門のネットショップです。
会社設立は昭和39年で、婚礼家具メーカーとして始まりました。2002年よりネット通販事業として「タンスのゲン」を立ち上げ、以降、楽天やAmazonを中心に展開し、2021年には年商200億円を突破するという成長ぶり。ネット通販事業会社の中では大手と言えるので安心感が高いです。
なお、ショップ名が「タンスのゲン」ですが、タンス以外の商品も豊富で(むしろタンス以外が多い )、テーブルやベッド・家電などのインテリア総合を取り扱っています。
価格設定はかなり安いので「とにかく低価格で家具を探している」という人はぜひチェックしてみてくださいね。
【まず結論】このマットレスの評価は?
当記事では以下のような項目をチェックし、商品を評価しております。
- 寝姿勢による寝心地は?(仰向き・横向き)
- 寝返りのしやすさは?
- 通気性が良いか?(ムレを感じないか)
- クッション材の品質はどうか?
- 詰め物の質感・ボリュームはどうか?
- バネ当たりや底付きがないか?
- 価格相応の寝心地と言えるか?
始めに結論からお伝えすると、体験を通じ本商品を以下のように評価させていただきました。
▼ このマットレスの評価 | |
---|---|
総合評価 | 3.05 |
仰向き寝 | 2.0 |
横向き寝 | 1.5 |
端の沈み込み | 3.0 |
通気性 | 4.0 |
寝返り | 2.0 |
底付きのなさ | 3.0 |
バネ当たりのなさ | 1.5 |
耐久性 | 1.5 |
衛生面 | 3.0 |
取り扱いやすさ | 3.0 |
価格 | 5.00 |
※目安は「3.50」以上が高評価です。
(総評)コスパは一見よさそうだが、目に見えにくいデメリットも多いマットレス
「厚さ22cmの高密度ポケットコイル(しかもメッシュ生地)で約9,000円」というのはすごく魅力的で、この条件で考えるとコストパフォーマンスは抜群に高いと言えそうです。
しかし、実際の寝心地はポケットコイルならではのフィット感や体圧分散性が感じられず、荷重に対して歪みやすいため、沈み込みやすさを感じます。
さらに、販売ページに書いてある本来搭載されているはずのフェルト(硬い層)がなぜかないことで、バネ当たりを感じやすく、裏面(ポケットコイルの下)が薄い不織布2枚だけという頼りない構造のため、当サイトの体験中にポケットコイルのバネが飛び出してしまうというアクシデントもありました。
メッシュ生地による「通気性の高さ」と厚さが22cmあることによる「底付きのなさ」という点は高評価ですが、その他の評価項目は高い点数とはなりませんでした。
ただし、それでもこの仕様(厚さ・メッシュ生地・線種など)のポケットコイルマットレスが9,000円で買えるのは大きなメリットと言えるでしょう。
「とにかく最安値をマットレスを探している」という人にこそ、本記事をご参考いただけますと幸いです。
以下より、本商品の特徴や使用感などを詳しくご紹介します。
このマットレスの特徴・メリット
ポケットコイル
本商品はクッション材にポケットコイルを使用した「ポケットコイルマットレス」です。
ポケットコイルとは、コイルをひとつひとつ不織布で包んでいる芯材(スプリングコイル)のこと。
ポケットコイルは、コイルが独立した動きができるため、振動が伝わりづらいことや、体のラインに細かくフィットすることで寝姿勢が整いやすく、高い体圧分散性を実現できるというメリットがあります。
また「静かな寝心地」と評され、特に日本人はポケットコイルの寝心地が好きだと言われています。
ポケットコイルを詳しく解説本当におすすめのポケットコイルマットレス13選 | コスパ抜群モデルや人気メーカー商品もご紹介
ただし、本商品はポケットコイルならではのフィット感や体圧分散性は感にくい寝心地でした。この理由は後ほど詳しくご紹介します。
ポケットコイルの仕様(読み飛ばしてもOKです)
ポケットコイルの仕様は商品によって異なり、メーカー各社、販売ページでセールスポイントとして訴求していたりします。
細かい話なので、個人的には「そこまで気にしないでも良いかな?」と思うレベルですが、念のためご紹介します。(なので、ご興味なければ読み飛ばしてOKです)
- 線種
- 密度(いくつコイルを使っているか)
- 配列(並行か交互か)
- 線径(バネの太さ)
本商品で使っているポケットコイルの仕様は以下の通りです。
▼ 本商品の仕様 | |
---|---|
線種 | SWRH72B-C |
密度 | 495個 |
配列 | 並行配列 |
線径 | 1.8mm(端一列のみ2.0mm) |
なお、密度・配列・線径などの仕様は、基本的に優劣ではなく、そのマットレスが表現したい寝心地を作るためものです。
以下より本商品で採用されているポケットコイルの仕様について詳しくご紹介します
バネの品質は?(線種)
ポケットコイルで使われているバネは主に硬鋼線(こうこうせん)という鉄線で作られ、その品質はメーカーや商品によって異なります。
本商品の硬鋼線の線種は「SWRH 72 B C」。これは1~3万円くらい低価格帯の商品の中では比較的良質な仕様です。
なお、線種表示は以下のように解釈します。
表示例 | 意味 |
---|---|
SWRH | マットレスのコイルは基本的に硬鋼線(SWRH)を使用 |
72(反発性) | 数値が高くなればなるほど反発力が高い |
B(耐久性) | マンガン含有量(AよりもBが多く、耐久性がある) |
C(強度) | A<B<Cの順で強度が高い |
ちなみに、2017年に品質表示法の改正があり、線種などの表示義務はなくなりました。これは「バネの品質は実際の寝心地や耐久性を知るうえでそこまで重要な情報ではない」ということが示されたと言えます。
ただし、バネそのものが高品質であればそれだけ長持ちしやすいですし、シモンズやサータ等の有名メーカーもバネの品質には相当こだわりをもっているので、依然としてポケットコイルマットレスを選ぶ上で気に留めておくべきポイントとも考えられます。
配列の特徴は?
ポケットコイルマットレスの配列は「並行配列」か「交互配列(「千鳥配列」とも言います)」のどちらかです。
並行配列 | 交互配列 | |
---|---|---|
画像 | ||
硬さの傾向 | ソフト | ハード |
跳ね感 | 強い | 弱い |
特徴 | 寝返りがしやすい | 静かな寝心地 |
耐久性 | △ (部分的には弱め) | 〇 |
価格 | 安価に作りやすい | 高価になりやすい |
本商品は「並行配列」を採用しています。
並行配列はバネの動きが出やすいため、寝返りのサポート性があり、比較的ふんわりとソフトな感触が特徴です。本商品でもそのような特徴的な寝心地が感じられました。
なお、販売ページで「並行配列の方が隙間が多いので、通気性が優れています!」というアピールを見ることが多いですが、実用上では大きな差はないので気にしないで大丈夫です(交互配列だからと言って通気性が著しく悪いということはありません)。
密度の特徴は?
密度とは「面当たりのポケットコイルの量」のことです。
本商品はシングルサイズあたり「495個」の密度です。これはやや高密度とお考え下さい。
とはいえ、1万円以下のモデルとして考えると「かなり高密度」と言えます。
現在のポケットコイルマットレス市場はコイルの数量(密度)をセールスポイントにすることが多いですが、密度のレベルの違いを超大雑把にご紹介すると以下の通りです。
密度 | 意味合い |
---|---|
300個台 | 低密度(耐久性が不安&バネ当たりも感じやすいので避けた方が良い) |
400~600個台 ★本商品 | 中密度(バネの動きが出やすく寝返りサポート性が得られる) |
700~1,000個 | 高密度(線径が細く、コイル高も高くなるので、ふんわりとした寝心地) |
1,000個以上 | 超高密度(ジェル的で静かな寝心地・バネを感じにくい) |
基本的にポケットコイルマットレスは、密度が低いほどコイルひとつあたりにかかる負荷が高くなるため、特に300個レベルの低密度タイプでは実用上の耐久性に支障が出る可能性も高くなります。
とはいえ高密度であるほど良いというわけではなく、筆者の感覚では耐久性としての適切な密度レベルは450個以上で、それ以上であれば耐久性に特に大きな差はなく(あとはバネの品質や生産加工レベル・詰め物など、密度以外の問題によって耐久性が決まります)、むしろ寝心地の差(跳ね感orフィット感、ソフトorハード)が生まれます。
本商品はバネの動きが出やすいように、495個ほどの密度に抑えて、ポケットコイルの動きをより感じられるように仕上げています。
線径とは?
線径とは「バネの太さ」のことです。
線径は、太いほど反発力が高まり、しっかりとした寝心地になります。逆に細いほど荷重に対してしなやかに反応するという特徴があります。
寝心地の目安としては以下の通りです。
線径と寝心地(目安)
- 線径1.9mm以下:しなやかな寝心地
- 線径2.0mm以上:しっかりとした寝心地
本商品は基本は1.8mmで、端一列のみ2.0mmです。
要するに、基本的にはしなやかな寝心地を作りつつ、端部分では沈み込み過ぎないようにしっかりとした寝心地となっています。
(読み飛ばして大丈夫な)細かい話はここまで!
「エッジサポート」で端を強化
本商品は端の1列が硬め(線径2.0mm)に作られていて、沈み込みづらい「エッジサポート仕様」になっています。※青色のポケットコイル部分がエッジサポート
マットレスは端が特に沈み込みやすいですが、このようにエッジサポートがあることで端部分まで優雅に使え、ワンサイズ上の寝心地が得られることがメリットです。
しかしながら線径2.0mmという仕様は、エッジサポートにしてはやや頼りない太さのため、端の沈み込みづらさにそこまで過度な期待はしない方がよいでしょう。(エッジサポートとしての線径は2.2mm以上あると効果を感じやすいです)
厚い(22cm)
本商品の厚さは22cm。
これは一般的なベッドマットレスの中では比較的厚めで、1万円以下で買える商品としてはかなり分厚いタイプです。
厚みがあるマットレスは底付きを感じにくいので、安心して体を預けることができます。
安い(超激安)
本商品は厚さ22cm×高密度ポケットコイル仕様にも関わらずシングルサイズで約9,000円から買える抜群の低価格さが最大の魅力です。
「ポケットコイルマットレスの最安値」と言っても過言ではありません。
もちろん、これだけの低価格にすることで、寝心地面は少なからず犠牲にされているところもありますが「できるだけ低価格にマットレスを買いたい」という人にうれしい商品と言えます。
このマットレスのデメリット
ポケットコイルにしては「振動が伝わりやすい」
ポケットコイルのわりに振動が伝わりやすい印象を受け、さらに、どちらかというとボンネルコイルのように「面」で体を支えられている感覚がありました。
他メーカー製の低価格帯のポケットコイルマットレスとの衝撃吸収性(揺れにくさ)の差は以下の通りです。※記事後半で比較商品として登場する2モデルです
本来、独立コイルのポケットコイルであれば、衝撃を「点」で吸収し、端まで振動が伝わりづらいはずですが、本商品はマットレス中心の荷重が端まで伝わり、反り返っていることがわかります。
この理由は、おそらく接着剤の量と質です。ポケットコイルマットレスは基本的には不織布とコイルを接着剤で固定させる作り方をしますが、本商品は特に接着剤の量が多い&硬めで、コイルと不織布が頑丈に固定されていました。
結果的に、荷重を「面」(不織布にしっかり固定されたポケットコイル)で受け止めるような構造となり、端まで衝撃が伝わっているようです。
ちなみに、別のスプリングの種類に「ボンネルコイル」がありますが、ボンネルコイルはコイルを金属で固定している作りで「面」で荷重をささえることが特徴です。
つまり、本商品は「ボンネルコイルのような寝心地のポケットコイル」とも言えます。
以下の動画のとおり、本商品は明らかにボンネルコイル(画像右)と近い動きをしていることがわかります。
これが寝心地の特徴でも表れ、ポケットコイルにしてはフィット感が少なく、体圧分散性・寝姿勢保持性に少しストレスを感じた理由です。(詳しくは後述します)
片面仕様(表裏のローテーションできない)
本商品は表面にしか詰め物が施されていない「片面仕様」。よって、表面でしか寝れません。
表面 | 裏面 |
---|---|
片面仕様のマットレスは表裏のローテーションがNGです。
ローテーションとは、マットレスの上下や表裏を定期的に回転させてマットレスの寝心地を長持ちさせる技のこと。
両面仕様の場合は、上下に加えて表裏もローテーション可能なのでヘタリに強いです。つまり、両面仕様よりも片面仕様はヘタリやすいと言えます。
とはいえ、1~3万円ほどで買える低価格マットレスは、片面仕様の場合が多いので、本商品だけのデメリットというわけでもありません。
【体験レビュー】タンスのゲン「ポケットコイルマットレス(3Dメッシュ・厚さ22cm)」を実際に試してみた
実際のお届け時の様子や具体的な使用感などレビューします。
開梱・設置
こちらはシングルサイズです。
梱包状態の重さは、18.55kg(シングル)でした。
一人で持ち運ぶのは「そこまでストレスがない」といったところでした。
段ボールを開封していきます。
このようのマットレスがロール状に圧縮されてビニールに入っています。
ロール状に巻かれていることで、コンパクトになり、搬入経路が狭い家でも安心です。
続いて、マットレス本体を開封していきます。
開封の様子は以下の動画をご参考ください。(音声なし・4倍速)
上の動画のとおり、ロール状に圧縮されてビニールに巻かれて届きます。ビニールにハサミを入れると膨張が始まり、元の形への復元されます。
外観のチェック
開封直後は大きめの歪みがありますが、ボリューム感があるので、すぐにでも寝ることができます。
取扱説明書によると「マットレスが完全に形を取り戻すのに1日ほどかかる」とのことで、開封直後と3日経過したマットレスを比較したアニメーションを作りました。
このアニメーションのとおり、厚みが復元されていることがわかるかと思います。
マットレスの厚さはこのくらいです。
公表値は22cmでしたが、最大で約23cmでした。※個体差があるかもしれません
これは厚みがあるタイプのマットレスです。
カバー表面のエコテックス®認証(世界最高水準の安全性)の素材を使用。ポリエステル100%のさらっとした触り心地です。
ニット生地仕様なので、伸縮性が高く、体へのフィット感が優れます。
生地のアップはこんな感じです。
カバーにはキルティングが施されているので、立体感によって通気性が高まります。
カバー下には厚さ20mmのウレタンフォーム+綿が入っているので、キルティングにボリューム感があります。
ただし、詰め物はそこまで品質が高いものではないので、押すとバネの存在感を少し感じます。
サイド面はメッシュ生地で外周を囲われています。
メッシュ生地はマットレスカバーで採用される生地の中で最も通気性が良いです。
マットレスの裏面には詰め物が施されていなく、寝ることができません。(つまり「片面仕様」です)。
裏面は不織布の簡易的なカバーです。(コイルの形もはっきりと分かるくらい薄くて頼りないです)
滑り止めなどもないため、多少のズレやすさはあります。気になる人は滑り止めシートなどを購入しましょう。
内部構造
内部構造をチェックするために、一部解体してみます。
中身のポケットコイルと、詰め物です。
本商品の構造は以下の通りです。
- 表生地(ポリエステル)
- ポリエステル綿
- ウレタン 10mm
- ウレタン 10mm
- 不織布
- ポケットコイル 200mm
- 不織布
- 裏生地(不織布)
詰め物を詳しくご紹介します。
表生地のすぐ下にあるのは「ポリエステル綿」です。
ふんわりとした感触により体圧分散性を高めています。
続いてウレタンフォームが2層に分かれて入っています。(計20mm)
ウレタンフォームは蒸れやすい素材ですが、このように多層構造にすることで通気性が高まります。
なお、このウレタンフォームの密度は20Dという仕様で、耐久性としてはそこまで高くはありません。
ウレタンフォームの下には不織布があります。
なお、キルティングがウレタンフォームを貫通して縫製されているので、詰め物が偏ったりズレたりする心配がありません。
ポケットコイルの高さは約200mmでした。これはかなり高さがあるタイプです。
コイル高が高いマットレスはふんわりとした豊かなクッション性が得られます。
【注意】販売ページと違います!(フェルトが入っていません)
詰め物の仕様が、以下の通り、販売ページで書いてある構造と異なります。
販売ページ | 実物 |
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|
以上のとおり、ウレタンフォームの下にあるはずの圧縮フェルトがありません。代わりに?ウレタンフォームの上にポリエステル綿入った構造になっていました。
本来、フェルト(硬い層)を中間に入れることでバネ当たりを軽減させることができますが、本商品はフェルトがなく、さらにウレタンフォーム等の仕様も高くないため、バネ当たりを感じます。
・
・
・
【詳細解説】このマットレスの評価について
この記事の冒頭で星付けして評価させていただいた以下のポイントをここでは詳しくご紹介します。
▼ このマットレスの評価 | |
---|---|
総合評価 | 3.05 |
仰向き寝 | 2.0 |
横向き寝 | 1.5 |
端の沈み込み | 3.0 |
通気性 | 4.0 |
寝返り | 2.0 |
底付きのなさ | 3.0 |
バネ当たりのなさ | 1.5 |
耐久性 | 1.5 |
衛生面 | 3.0 |
取り扱いやすさ | 3.0 |
価格 | 5.00 |
※目安は「3.50」以上が高評価です。
1. 仰向き寝は?(底付き・バネ当たりもチェック)
仰向き寝は沈み込みが少なく接触面積が広いという特徴があるので、満遍なく荷重を受け止め、体圧を分散させることが重要です。
なお、日本人の60%が仰向き寝と言われているので、最もオーソドックスな寝姿勢と言えます。
評価は「2.0」。
この記事の上でも触れたとおり、本商品は「点」で支えるポケットコイルの寝心地というよりも、「面」で支えるボンネルコイルのような寝心地です。(理由はおそらく「接着材の質と量」です)
つまり、体の凹凸に応じたフィット感と、荷重に応じた体圧分散性という点では乏しいです。
具体的には、背中~臀部(おしり)を中心に折り曲がるような感覚があり、寝姿勢としてはややストレスを感じました。
詰め物が比較的厚めでキルティングによるボリューム感もあるため、バネ当たりはあまり気にならないレベルです。(とはいえ、指先で少し強めに押せばバネの存在感を感じるので、人によっては気になるかもしれません)
マットレス自体の厚さは22cmもあるので、底付き感はありませんでした。
2. 横向き寝は?(底付き・バネ当たりもチェック)
横向きの寝姿勢は肩や臀部の沈み込みが深くなることと、接触面積が少なく、荷重が集中しやすいため、底付きなどを感じやすいという特徴があります。
つまり、深く沈み込んでも無理のない寝姿勢になることと、荷重による圧迫・底付きを感じないようなクッション性が大切です。また、不安定な寝姿勢でもあるので、揺れ過ぎないような衝撃吸収性もポイントです。
評価は「1.5」。
ポケットコイルは体のラインの凹凸がハッキリと表れる横向きの寝心地が良い点が魅力ですが、やはり本商品はポケットコイルならではフィット感がないために、荷重が集中する肩あたりに強めの圧迫感を感じます。
マットレスの面が突っ張っているような感じです。
また、感覚が敏感な脇腹はバネ当たりが気になります。
なお、バネが気になる場合は少し厚めのシーツやパッドを敷けば改善できます。
3. 寝返りのしやすさは?
クッション材や詰め物で使われている反発性によって、体の動きやすさが変わってきます。少ない力で寝返りを打てた方がストレスは感じにくいですが、寝返りがしやすい=良い寝心地とは限りません。
寝返りの大変さにストレスを感じている人は高反発タイプなどの寝返りしやすいマットレスが良いですが、寝返りが多すぎることで中途覚醒が多い人は、逆に寝返りの回数を抑えるような低反発タイプを選ぶと良いでしょう。
評価は「2.0」。
詰め物の品質が高くないため、荷重は芯材(ポケットコイル)にすぐに伝わります。
言い方を変えると、バネの反発性をダイレクトに感じやすいため、寝返りサポート性(反発力)としては、高めに感じます。
ただし、本商品はポケットコイルのわりに揺れやすいため、寝返り(寝姿勢変化)の際に不安定さを強めに感じ、少しストレスがありました。
4. 端の沈み込みは?
一般的にマットレスの端部分はそれ以上荷重を分散できないので落ち込みやすいです。端部分の落ち込みが少ないマットレスは全面を目いっぱいに使えるので、それだけで使用感が良いものになります。
なお、高級モデルなどでは落ち込みを解消するように端部分にワイヤーを入れたり、コイルを硬めにしたりすることもあります。
評価は「3.0」。
端を強化したエッジサポート仕様なので、落ち込みにくいタイプです。
端ギリギリで寝ても沈み込みづらく、ストレスは感じませんでした。
とはいえ、エッジサポート部分は線径2.0mmと、あまり太くないため、座姿勢ではかなり沈み込みます。
5. 通気性は?
睡眠中は汗や体温を放出するので、蒸れやすいマットレスはストレスを感じることも。メッシュ生地や、側面から排気できる構造など、通気性に工夫があるかどうかをチェックします。
なお、スプリングコイルならポケットコイルよりもオープンコイル(ボンネル・高密連続スプリング)の方が通気性が優れていると言われますが、実用上そこまで変わりません。
評価は「4.0」。
サイド面がメッシュ生地&多層構造のウレタンフォームを使った詰め物という点で、通気構造としては優れています。
特にメッシュ生地は、生地の中で最も通気性が優れていて、芯材内部の湿気をスムーズに外部へ排気してくれます。
実際に寝た感じでも、特に蒸れなどは感じませんでした。
6. 耐久性は?
保証期間や耐久試験をベースにチェックします。また両面仕様で表裏のローテーションが可能な商品は加点します。一方、詰め物が多い商品は減点します(詰め物で多く使われてる綿やウレタンフォームはクッション材よりも早くヘタリやすいため)。
評価は「1.5」。
販売ページ上には、第三者機関による耐久性テストの結果は非掲載です。
線種は比較的高品質のものを使っているので、スプリング自体の耐久性には問題はないかと思います。
しかしながら、実物を使用していて、すぐに裏面の不織布が破れ、バネが飛び出てきました。
本商品は芯材(ポケットコイル)の下には薄い不織布が2枚しかありません。
よって、簡単に底面のカバー(不織布)が破けてしまったのだと思います。
一方、同等の価格帯の商品では、底面に厚めのフェルトを搭載し、底面が破けないような工夫をしている商品もあります。
裏面(底面)の仕様は見落としがちですが、ポケットコイルの下にしっかりしたフェルトや詰め物があるほうが、スプリングにかかる荷重をさらに分散できるのでマットレスの耐久性は高まります。(よって、裏面に詰め物がある「両面仕様」の方がスプリング自体も長持ちしやすいです)
本商品には1年間の保証が付いているので、もし同様の損傷があった場合は、カスタマーサポートに相談しましょう。
7. 衛生面は?
抗菌防臭や防ダニなどの加工の有無やそのレベルなど、衛生面に工夫があるかどうかをチェックします。
評価は「3.0」。
マットレスの衛生加工に多い「抗菌防臭・防ダニ」等の機能はなく、その他衛生面へのプラス材料はありません。
しかしながら、低価格帯のマットレスはそもそも衛生加工がない商品も多いので、「ふつう程度」の評価となります。
8. 取り扱いやすさは?
持ち運びしやすいか、市販のボックスシーツ(多いのは30cmマチ)が入るサイズ感か、お届け時の梱包状態はどうか、捨てやすいかなどをチェックします。
特に力の弱い人は、厚すぎるマットレスを選んでしまうと移動するときに苦労することも多いです。
評価は「3.0」。
重量はシングルサイズで約17kg。これは一般的なベッドマットレスの中ではふつう程度(どちらかと言えば軽い)です。
よって、力の弱い人でも移動にそこまでストレスは感じないでしょう。
ただし、お届け時は圧縮梱包でコンパクトに届くので、搬入経路が狭い人にはメリットを感じられるでしょう。
また、厚さは22cmなので、市販のボックスシーツも使いやすいです。
捨てやすさについては、スプリングコイルマットレスは、基本的には粗大ゴミとなるため、捨てにくいと言えます。
9. 価格は?
絶対的な価格と、マットレス市場の全体的な相場からチェックします。価格に応じた寝心地が実現されているかも大切なポイントで、総合評価へつながります。
評価は「5.00」。
シングルサイズで8,999円という価格は、マットレス市場全体から考えると「激安レベル」の価格帯です。
冒頭でご紹介したとおり「ポケットコイルマットレスの最安値」と言っても過言ではありません。価格最優先で探されている人にはおすすめです。
口コミ・評判のまとめ
本商品の口コミをまとめると以下のような意見が見られました。
良い口コミ | 悪い口コミ |
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口コミに関する解説
楽天市場店における口コミ全体は5点満点で4.43の高評価です。(記事公開時点)
全体的に寝心地に満足されているユーザーさんが多い印象です。
コスパに満足
何度も言うように「シングルサイズで約9,000円」はポケットコイルマットレスの最安値レベルです。
これだけの低価格なので、寝心地にそこまで期待していなかったユーザーの方も多いようでしたが「良い意味で裏切られた」という趣旨の口コミが特に多かったです。
デメリットの多数は「柔らかすぎる」
一方、デメリットの多数を占めるのは「柔らかすぎるため、体が沈み込む」という感想です。
確かに、本商品は硬いタイプではないのですが、仕様と実際の寝心地を踏まえ、筆者の感覚で言うと10段階中では5くらいの硬さです(つまり、そこまで柔らかすぎるタイプではありません)。
なぜ、ここまで「柔らかすぎる」というコメントが多いかというと、おそらく「沈み込みやすさ」だと思います。
厳密に言えば「沈み込みやすい=柔らかい」とは一概には言えず、ふつう程度の硬さであっても、仕様・構造によっては、荷重が集中する部分において「沈み込みやすさ」を感じてしまうことがあります。
つまり、沈み込みやすさを強めに感じることで「柔らかすぎる」と表現されているユーザーさんが多いと考えています。
この記事の上でも触れているとおり、本商品はポケットコイルにしては「面」で支えるような感覚を受け、体圧分散性は乏しいタイプです。
そして、荷重が集中する背中~おしりを中心として折れ曲がるような姿勢になるため、結果的に「沈み込みやすい」という印象が生まれるのでしょう。
よって、本商品の寝心地の特徴を当サイト流で表現すると「硬さはふつうだが、体圧分散性が乏しいため、荷重が集中する背中~臀部が沈み込みやすい」という感じです。
似ている商品との比較
本商品と同じ「格安タイプのポケットコイルマットレス」という特徴を備えた他メーカー製の2モデルと比較します。
メーカー | ①タンスのゲン | ②アイリスオーヤマ | ③neruco「バリューポケット」 |
---|---|---|---|
画像 | |||
厚さ | 22cm | 20cm | 20cm |
重量 (Sサイズ) | 約17kg | 約15.2kg | 約20kg |
コイル数 (Sサイズ) | 495個 | 512個 | |
配列 | 並行 | ||
線種 | SWRH72 B C | 非公表 | SWRH72 B B |
線径 | 1.8mm(端のみ2.0mm) | 非公表 | 2.0mm |
メッシュ生地 | 〇 | ||
詰め物 | ポリ綿 ウレタン20mm | ウレタン20mm | ウレタン15mm フェルト |
片面/両面 | 片面仕様 | ||
保証期間 | 1年 | 5年 | |
サイズ | SS~Q | S~D | SS~Q ※ショート・ロングあり |
価格 (Sサイズ) | 8,999円 | 9,380円 | 12,990円 |
リンク | 商品リンク | 商品リンク | 商品リンク |
比較商品の特徴
②アイリスオーヤマの特徴は?
①タンスのゲンのドンピシャの競合商品といえばコレ。価格・仕様(メッシュ生地・コイル数495個など)もかなり似ていて、Amazon・楽天などを見てみると比較検討している人が多い印象です。
アイリスオーヤマ製(②)のデメリットは詰め物の薄さによる「バネ当たり」と寝返りの際にポケットコイルに直接的な衝撃が伝わることによって「ポコポコ」という音がするという点です。
ちなみに、当サイトが今まで検証してきた中で最もバネ当たりが強く感じました。
良い点は、激安モデルにも関わらず、ポケットコイルならではの体圧分散性・衝撃吸収性(振動の伝わりづらさ)の高さが実現されている点です。
つまり、このマットレスの弱点は詰め物(の薄さ)なので、厚手の敷パットやトッパーを使うことで寝心地が大きく改善されるでしょう。
単体として使うにはあまりおすすめできませんが、「ポケットコイルマットレス」ならでは寝心地という点においては、①本商品(タンスのゲン)よりも、おすすめできる商品です。
③neruco「バリューポケットコイル」の特徴は?
①タンスのゲン・②アイリスよりも少し価格が高いけど、仕様が良いのが③neruco「バリューポケットコイル」です。※価格はシングルサイズで12,990円
コイル数が少し多く(512個/Sサイズ)、線径も太いしっかりした仕様です。
一番の違いは詰め物。この③neruco「バリューポケットコイル」は、ポケットコイルの上に硬めのフェルトを施しているので、バネ当たりが感じにくい仕様となっています。また、ウレタンフォームの密度も21Dと比較的高密度仕様なので耐久性も優れています。
寝返り時にもポケットコイルのポコポコとして嫌な音はせず、もちろんポケットコイルならではの体圧分散性・衝撃吸収性が他の2商品に比べると格段に高いと感じました。
クッション性が高いふんわりとした寝心地なので、人によっては柔らかく感じやすいですが、部分的な沈み込みはなく、ストレスない寝姿勢が実現されていると思います。
もちろん、価格が少し高いので寝心地が良いのは当然と言えば当然ですが、筆者としてはいくら低価格を求めるとしても、やはりこのくらいの寝心地を得られるマットレスをおすすめしたいです。
よって、当サイトでは「最安値レベルで買えるマットレスとして最もおすすめできる商品」として他の記事でもご紹介しています。
衝撃吸収性の比較
参考までに、3つの比較商品の衝撃吸収性(振動の伝わりづらさ)を検証した動画をご共有します。
テスト内容は「中央部分に集中的な荷重をかけた際に、端部分がどの程度、その衝撃に影響されるか?」といったものです。
この画像を見るとわかりますが、動画中央の本商品(タンスのゲン)のマットレスは、中央の荷重に対して、両端が反り返るような動きをしています。
寝姿勢に置き換えて考えた場合、荷重が集中する背中~臀部(おしり)あたりを中心に折れ曲がるようなマットレスの形状になるということがわかるでしょう。(この点はすでにこの記事で何回もお伝えしている懸念点です)
このマットレスの廃棄方法は?
スプリングコイルマットレスのため、自分で裁断・分解が難しく、基本的に粗大ゴミに出すことになります。
参考までに神奈川県横浜市の場合、スプリングコイルマットレスの粗大ゴミ廃棄費用は2,200円です。
タンスのゲンのマットレスはどこで買うのがお得?
タンスのゲンの商品は公式サイトと以下のモール店舗で買えます。
価格や条件に特に差はありません。強いて言えばモールごとにポイントバック率やキャンペーンに差が出る場合あるので、すべてをチェックしてみた方が良いかもしれません。
まとめ
いかがでしたか。
タンスのゲン「ポケットコイルマットレス(3Dメッシュ・厚さ22cm)」をご紹介させていただきました
厚さ22cmのポケットコイルマットレスが約9,000円!というのは一見コストパフォーマンスが抜群に良く感じますが、ポケットコイルならではの寝心地が得にくく、バネ当たりを感じやすく、底面の仕様が頼りないため耐久性に不安を感じる商品です。
正直、寝心地の良さを求める人にはあまりおすすめはできませんが、別の言い方をすると「約9,000円で寝心地の良さや耐久性の高さまで求めるのはかなり無茶な要求」とも言えるでしょう。
むしろ、約9,000円という価格でこのマットレスが作れるというのがタンスのゲンさんの素晴らしい努力の結晶だと感じます。
「耐久性や寝心地には多少目をつむるから、とにかく低価格でマットレスを探している」という人はぜひご検討いただけますと幸いです。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。