
耐荷重は「低さ」を見る
私は耐荷重を、丈夫さを比べる数字というより、体重と寝具の重さが上限を超えないか確認するために見ています。
耐荷重が足りない商品は選ばない。耐荷重を選ぶ目安は、体重と寝具の合計を上回り、メーカーの使用条件も満たすことです。そのうえで、強度試験の内容や、実際の揺れ・きしみまで確かめる。これが、ベッドメーカーで100を超えるベッドの企画に関わってきた私の考え方です。
椚 大輔(くぬぎ だいすけ) ベッド・マットレス専門家。ベッドメーカーに勤務後、当サイトを開設。国内・海外メーカーへの取材を重ね、100商品以上のレビューを続ける。専門家としてTBS「ラヴィット!」、ビジネス誌「プレジデント」、楽天市場「マットレスの選び方」などの出演・監修も行う。> プロフィールはこちら耐荷重とは(注意点も解説)

耐荷重とは、メーカーが示す条件のもとで、何kgの荷重まで耐えられるかを表す数値です。
ベッドフレームにかかる重さは、使用者の体重+マットレス+掛け布団・まくらなどの合計です。
たとえば「体重80kg、マットレス25kg、その他の寝具5kg」なら、合計110kg。この条件の場合、耐荷重100kgと指定されているベッドでは、上限を超えてしまいます。
なお、メーカーが「使用者の体重」の上限として案内している場合は、その条件に従います。寝具込みの重さか、体重だけの制限かを、最初に確認しましょう。
耐荷重ってどうやって計測するの?
一般的には、床板に「垂直方向の荷重」を加える強度試験の結果などをもとに設定されます。
たとえば、床板の中央に当て板を置き、上から静かに力を加えます。その状態を一定時間保ち、割れや折れなど、使用上の問題が生じないかを確認する試験です。

強度テストのイメージ
試験で加える力は「N(ニュートン)」という単位で示されます。3,000Nなら、約300kgの重さに相当する力、と考えるとイメージしやすいでしょう。
ただし、すべての商品が同じ条件で試験されるわけではありません。床板単体か完成品か、荷重を加える範囲や時間なども確認したいところです。参考:ボーケンの試験解説
静止荷重の試験は「動き」を想定していない
静止荷重の試験は、静かに荷重を加えた状態を確認するものです。しかし、実際に使うときは、寝返りを打ったり、起き上がったりしますよね。
静止荷重の試験結果からは、こうした動作で生じる揺れやきしみまでは分かりません。 まして、飛び乗るような衝撃に耐えられることを示す数字ではありません。
耐荷重表示は「メーカーで異なる」
試験結果から耐荷重を何kgと表示するかは、メーカーによって異なります。
たとえば、同じ条件で「3,000Nの強度試験をクリアした」場合でも、考え方によって、次のような表示する数値の違いが生まれます。
| メーカー | 耐荷重の表示例 |
|---|---|
| A社 | 約300kg |
| B社 | 約150kg |
この場合、A社の方がB社より2倍丈夫だとは言えません。同じ試験結果でも、使用時の余裕をどの程度見込むかなどによって、表示する数値が変わるからです。

3,000Nの強度試験をクリアして、耐荷重150kgと表示している例
だからこそ、購入者が勝手に「表示の倍まで使える」「半分にすれば安心」と読み替えてはいけないのです。
耐荷重が高いほど、丈夫なベッドとは限らない

耐荷重が高いと、それだけで安心したくなりますよね。でも、表示方法や試験条件が異なる以上、数字の大小だけで商品を順位付けすることはできません。
また、「丈夫なベッドが欲しい」場合、単に重さを支えられるか(静止荷重試験の結果)だけではないでしょう。寝返りのたびに揺れないか、ギシギシ鳴らないか、長く使えるか。こうした点も含まれていると思います。
つまり、上からの荷重に強いこと(耐荷重)と、横揺れやきしみが少ないことは、分けて確認する必要があります。 荷重試験の結果も大切ですが、それ一つで丈夫さのすべてを説明できるわけではありません。
耐荷重は「低さ」を見る

耐荷重を見るときに注目したいのは、高い数字よりも低い数字です。「何kgまで」という使用上の制限は、必ず守る必要があるからです。
たとえば、体重と寝具の合計が110kgなら、耐荷重100kgのベッドフレームは候補から外します。高い数字を追いかけるより、足りない商品を除外する。これが、私のいう「低さを見る」です。
私なら、上限ぎりぎりの商品も選びません。体重や使う寝具が変わることを考え、余裕を持たせたいからです。
丈夫なベッドの見極め方

正直にいうと、ベッドフレームの構造で丈夫さを見極めるのは難しいです。太い脚や厚いすのこは手掛かりになりますが、それだけでベッド全体の強さは決まりません。
細く見えてもしっかりした商品はありますし、部材が太くても、接合部や組み立て状態によっては揺れます。よって、「この部分が太ければ大丈夫」というのは安易な判断です。
私は、以下のとおりに考えます。
- 荷重に耐える強さは試験内容で確認
- きしみにくさは組み立て方や実際の使用感も含めて判断
荷重に耐える強さは、試験内容を見る
販売ページでは、試験した部分・加えた荷重・結果を見ます。「頑丈設計」という説明だけでなく、試験方法まで公開されている商品の方が判断しやすいです。
床板だけの荷重試験では、脚や接合部の強さまでは分かりません。検査機関名や「JISに準じた試験」という言葉だけで判断せず、試験の対象を見ましょう。詳しい内容がなければ、販売元に問い合わせる方法もあります。
組み立てのシンプルさ
私の経験上の話ですが、「自分で組み立てる接合部分が少ないベッド」は、きしみを感じることが少ない傾向があります。たとえば、少ない部材で組み立てられるすのこベッドや、BOX構造の引き出し収納ベッドなどです。単純に言うとパーツが少ないか多いかがひとつの判断材料です。
| パーツが少ないベッド | パーツが多いベッド |
|---|---|
![]() |
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きしみは、接合部分がゆるんだり、部材同士がこすれたりすることで発生します。組み立てる接合部分が少なければ、締め付け不足などが起こる箇所も少なくなります。
ただし、パーツが少なければ丈夫、というわけではありません。補強材や金具を増やして、しっかり支えているベッドもあります。あくまで、私がきしみにくさを考えるときの判断材料のひとつです。
口コミ(レビュー)を見るときの注意点

販売ページの口コミに「きしむ」「壊れた」と書かれていても、その内容だけでベッドの強度は判断できません。きしみや破損には、組み立て方が影響することもあるからです。
ネジの締め付けが弱ければ、接合部分が動いてきしみやすくなります。部品の向きや取り付け位置を間違えれば、本来の強度が出ないこともあります。また、床の傾きによって、ベッドががたついている場合もあるでしょう。
一方で、複数の購入者が同じ部分のきしみや破損を指摘している場合は、注意が必要です。たとえば、次のような問題が考えられます。
- 床板の耐荷重は高いが、脚や接合部分が動きやすい
- 部品の精度にばらつきがある
- 組み立てが複雑で、正しく固定しにくい
- 使用後にネジがゆるみやすい
私が口コミを見るときは、レビュー全体の件数や投稿時期も見ながら、同じ不具合が繰り返し書かれているかを確認します。
迷ったら基準にしたい丈夫なベッド3選
ここからは、私が実際に使い、安定感を高く評価したベッドを3つご紹介します。使用経験とメーカーが公開している情報を合わせて、選んだ理由をお伝えします。
1. neruco「バノン」
低価格で選ぶならコレ
ベッド通販専門店「ネルコンシェルジュ(neruco)」のオリジナルすのこベッド。私の検証スタジオで約3年間使い続け、移動や持ち運びが多い中でも故障はありませんでした。低価格で丈夫なベッドを探すなら、まず候補にしたい商品です。
表示耐荷重は約350kg。フレームや床板を支える横桟の補強に加え、荷重試験の結果と耐荷重の設定理由も公開されています。
棚がないため、スマホや時計を置くならサイドテーブルなどが必要です。それでも、余計な機能がなく部屋に合わせやすいところも含め、私は高く評価しています。
| サイズ | セミシングル~キング (ロング・ショート丈あり) |
|---|---|
| 表示上の耐荷重 | 約350kg |
| 公開されている試験荷重 | 約700kg |
| 価格 (Sサイズ) |
16,990円 |
| おすすめマットレス | neruco「バリューポケットコイル」※セットで選べる |
2. コアラ「ミライカスタムベッドフレーム」

120日のお試し期間付き
コアラマットレスで有名な「コアラスリープ」のオリジナルベッドフレーム。3段階の高さ調節機能があるので、ライフステージの変化にも対応しやすいです。
私のスタジオでは、バノンの後に導入し、2023年12月からマットレスの検証に使っています(バノンが壊れたから変えたわけではありません)。これまで、きしみなどのストレスを感じたことはありません。
一方、商品固有の耐荷重は公表されていません。コアラの共通FAQでは、主要部品に最大240kgの静荷重試験を行ったと案内されていますが、試験した部品や詳しい条件までは分かりません。ベッドフレームには珍しい120日のトライアルがあるため、自宅での揺れやきしみ、高さや使い勝手を試せることも魅力です。
| サイズ | シングル~キング |
|---|---|
| 表示上の耐荷重 | 表示なし |
| 公開されている試験荷重 | 主要部品に最大240kgの静荷重試験を実施 |
| 価格 (Sサイズ) |
49,900円 |
| おすすめマットレス | コアラマットレスプラス PLUS |
3. 源ベッド「国産ひのきすのこベッド TCB234」

国産ひのき材を使用した国産ベッド
国産ベッドメーカー「源(みなもと)ベッド」のすのこベッド。国産ひのき材を贅沢に使用し、かつ、国内生産品にもかかわらず4万円台で買えるコストパフォーマンスの良さが魅力の商品です。
私はこの商品含め、源ベッドのひのきベッドを何台も試しましたが、どれもしっかりした構造で、寝たときにきしみやぐらつきは感じられませんでした。ただし、表示された耐荷重は守る必要があります。サイズと使用するマットレスによって条件が変わるため、購入前に確認してください。
また、源ベッドと言えばマットレスが素晴らしく、セットで選べる「咲夜レアルマットレス」は当サイトでイチオシのマットレスです。
| サイズ | シングル~クイーン |
|---|---|
| 表示上の耐荷重 | 【シングル】100kg/マットレス使用時120kg 【セミダブル】120kg/マットレス使用時200kg 【ダブル】150kg/マットレス使用時200kg 【クイーン】150kg/マットレス使用時200kg ※マットレス使用時の耐荷重は源ベッドのマットレス使用時の場合 |
| 公開されている試験荷重 | 記載なし |
| 価格 (Sサイズ) |
45,990円 |
| おすすめマットレス | 咲夜レアルマットレス ※セットで選べる |
その他、ベッドの耐荷重に関する情報
ロフトベッド・二段ベッドは、人数と寝具の厚さも確認
耐荷重が、上段・下段それぞれの数値なのか、ベッド全体の数値なのかを確認します。さらに、荷重が収まっていても、一人用と指定された寝床を二人で使うことはできません。
マットレスの厚さにも指定があります。厚すぎると寝る面が高くなり、体がサイドガードを乗り越えやすくなるためです。
耐荷重・人数・寝具の厚さは、それぞれ守る条件です。詳しい選び方は、大人用ロフトベッドの記事でまとめています。
マットレスの耐荷重も確認する
ベッドフレームが十分な重さを支えられても、マットレスまで同じ条件で使えるとは限りません。
体重が重い人は、マットレスメーカーが案内する使用者体重の目安も確認してください。記載がなければ、体重と使用人数を伝えて相談しましょう。
なお、マットレスを載せて荷重の伝わり方が変わっても、フレームの耐荷重を超えて使ってよいとは考えません。
耐荷重が書いていないベッドは避けるべき?
記載がないだけで、避ける必要はありません。耐荷重を数値で公表せず、独自の品質基準で通常使用に支障がないことを確認しているメーカーもあります。
体重が重い人や、重いマットレスを使いたい人は、購入前にメーカーへ確認するとよいでしょう。
シングルやダブルで、耐荷重の目安は変わる?
耐荷重が変わる商品もあれば、同じ商品もあります。幅が広くなると補強や脚の配置を変える場合もあるため、サイズ名だけで耐荷重は決まりません。
販売ページでは、購入するサイズの仕様を確認してください。ダブルを二人で使う場合は、二人分の体重と寝具の重さを合計します。
耐荷重以内なのに、きしむのはなぜ?
横方向に揺れやすい構造で、部材が動いたり擦れたりする場合があります。また、ネジの緩みや部品の取り付け違いなど、組み立て状態が原因になることもあります。
きしみだけで直ちに壊れるとは限りませんが、まずは説明書に従って点検しましょう。割れや変形、大きなぐらつきがある場合は使用を控え、販売元に相談してください。
耐荷重以内という理由だけで、実物の異常を見過ごさないことが大切です。
まとめ

耐荷重は、数字が大きいほど丈夫という意味ではありません。まずは、体重とマットレス、その他の寝具を合計し、その重さを上回る商品を選びましょう。
ただし、耐荷重の範囲内なら、揺れやきしみまで少ないとは限りません。試験した部分や条件、組み立て方、実際に使った人の感想も判断材料になります。
私なら、高い数字を追いかけるより、耐荷重が足りない商品を候補から外します。そのうえで、試験内容や実際の使用感まで見て、安心して長く使えそうなベッドを選びます。





