
専門家から見た、nerucoの強みと弱み
私がneruco(ネルコンシェルジュ)を知ったのは、2016年頃です。
当時の印象は、ベッドやマットレスを幅広く扱うインターネット通販店。価格は安いものの、現在ほどオリジナル商品の存在感は強くありませんでした。
その後、2019年に運営会社を取材し、収納ベッド「ZESTO」の共同開発にも参加しました。また、主力マットレスを製造する中国工場の経営者とも話したことがあります。

左から私、納所執行役員(neruco)、野田課長(neruco)
商品を使うだけでなく、作る側まで知ったことで、nerucoに対する見方は変わりました。
nerucoの特徴を一言でまとめると、「寝心地や使い勝手を保ちながら、買いやすい価格に落とし込むのが得意」です。特に強いのは、1~3万円前後のベッドフレームとマットレスです。
この記事では、取材、共同開発、実際の商品検証、他社との比較をもとに、nerucoの特徴を評価します。
椚 大輔(くぬぎ だいすけ) ベッド・マットレス専門家。ベッドメーカーに勤務後、当サイトを開設。国内・海外メーカーへの取材を重ね、100商品以上のレビューを続ける。専門家としてTBS「ラヴィット!」、ビジネス誌「プレジデント」、楽天市場「マットレスの選び方」などの出演・監修も行う。> プロフィールはこちらネルコンシェルジュ nerucoとは

ネルコンシェルジュ neruco(以下「neruco」)は、株式会社インテリアオフィスワンが運営する日本のベッド・マットレス通販専門店です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ショップ名 | ネルコンシェルジュ neruco |
| 運営会社 | 株式会社インテリアオフィスワン |
| 設立 | 2003年 |
| 主な事業 | 家具・インテリア製品の企画・開発・販売 |
| 企業グループ | ニッケグループ |
インテリアオフィスワンは、2023年に東証プライム上場企業の日本毛織株式会社(ニッケ)のグループ会社になりました。個人店ではなく、上場企業グループとして明確な経営基盤を持つ会社が運営しています。
なお、経営陣には、ベッド・マットレス業界で長く経験を積んだ人が多く、業界に精通しています。
企業としての信頼性と、ベッド・マットレスに関する深い知識を併せ持っていることも、nerucoを利用するうえでの安心材料です。
【結論】本質的なコストパフォーマンス(価格に対する価値)を追求する姿勢

nerucoは、むやみに安さを追求するショップではありません。
最安値を目指すだけなら、材料や機能を減らすことで価格は下げられます。しかし、削る場所を間違えると、ベッドの安定感や使いやすさ、マットレスの寝心地や耐久性まで損なわれます。
nerucoが得意なのは、「削る部分」と「残す部分」を見極めることです。
使ったときの満足度に関わる仕様は残し、そのうえで、価格を抑えられる部分を調整しています。
同社が商品開発の指針として掲げる「快適性・機能性・適正価格・品質」は、私が複数の商品を検証した範囲でも、実感できることが多かったです。
絶対的な安さではなく、コストパフォーマンス(価格に対する価値)を追求する。これが、私が考えるnerucoの特徴です。
nerucoの強み

1. 1~3万円前後の商品に強い
nerucoの特徴が最も表れやすいのは、1~3万円前後の価格帯です。代表的な商品には、次のようなモデルがあります。
| 商品 | 種類 | 主な特徴 | 価格帯 |
|---|---|---|---|
| Banon | すのこベッド | シンプル構造、耐荷重350kg、高さ4段階 | 1万円台~ |
| ZESTO | 収納ベッド | 引き出し、棚・コンセント付き | 2万円台~ |
| バリューポケットコイル | マットレス | 定番モデル | 1万円台~ |
| バリュースーパーハード | マットレス | 太めのコイルを使った硬め仕様 | 1万円台~ |
| バリューハイカウント | マットレス | 超高密度コイル仕様 | 2万円台~ |
代表的なのは、耐荷重と高さ調節にこだわったすのこベッド「Banon」、引き出しと枕元の機能を備えた収納ベッド「ZESTO」、格安マットレスの決定版と私が評価した「バリューポケットコイルマットレス」です。
いずれも、「削る部分」と「残す部分」を見極めながら仕上げたnerucoの特徴が表れています。nerucoのベッドの選び方については以下の記事で詳しくまとめています。
2. サイズバリエーションが豊富
定番のベッドフレームやマットレスにおいては、サイズバリエーションが非常に豊富です。セミシングル~キングに加え、商品によっては、ロングやショートの取り扱いもあります。
「部屋が狭い」「身長が高い」「2台を並べたい」といった条件に合わせやすいことは、ベッド専門店ならではの強みです。
ただし、すべての商品で全サイズを選べるわけではありません。対応サイズは商品ごとに確認してください。
3. 低価格帯でもデザインが単調ではない
nerucoは、木製の定番ベッドだけを扱うショップではありません。ファブリックベッド、スチールベッド、ロフトベッドなど、他店では見つけにくいデザインもあります。
低価格帯の商品は、売りやすい形や色に集中しやすいものです。その中でも、選ぶ楽しさを残していることはnerucoの特徴です。
nerucoの弱みと注意点
1. 他店が安い場合もある
同じような見た目の商品だけを比べると、タンスのゲン、モダンデコ、アイリスプラザなどの方が安い場合があります。価格を最優先する人は、仕様を含めてよく比較検討しましょう。
2. 実物を確認してから購入できない
nerucoはネット通販専門店です。商品を直接確認したり、マットレスを試し寝したりできる実店舗は基本的にありません。
また、コアラマットレスやNELLマットレスのような、長期間の自宅お試し制度もありません。
イメージ違いなどの購入者都合による返品は原則不可で、開封後・使用後の商品も返品対象外です。
3. 組み立てと搬入の確認が必要
ベッドフレームの多くは、購入者による組み立てが必要です。特に収納ベッドやロフトベッドは部品数が多く、ひとりでの組み立てが難しい場合があります。
また、ベッドは設置場所の近くで組み立てることが基本です。完成後に動かせるとは限らないため、設置位置も先に決めておきましょう。
4. 予算が上がるほど他社比較が重要になる
4~5万円以上になると、国産メーカーやお試し期間付きのブランドも候補に入ります。
もちろん、この価格帯であってもnerucoのコストパフォーマンスの高さは健在ですが、幅広く検討できる価格帯であることも確かです。
競合ショップとの違い

ベッド通販各社は、似た価格帯の商品を扱っていても、主な強みが異なります。
| 特徴(強み) | ショップ・ブランド |
|---|---|
| 最安値レベルを追求 | タンスのゲン・モダンデコ・アイリスプラザ |
| ライフスタイル・空間提案 | RASIK・LOWYA |
| なるべく妥協しない低価格 | neruco |
| 国産品質が適正価格 | 源ベッド |
| 店舗網と幅広い価格・商品選択肢 | ニトリ |
| お試し期間付き | コアラ・NELL・エマ |
これは、各社を完全に分類するものではありません。私が商品やサービスを比較して感じる主な違いです。
購入価格を優先するなら、タンスのゲンやモダンデコなども候補です。部屋全体の見せ方を重視するなら、RASIKやLOWYAに強みがあります。
源ベッドは国産品や寝心地を重視する人、ニトリは実店舗で確認しながら幅広い価格帯から選びたい人に向いています。
その中でnerucoは、低価格帯でもベッドやマットレスの仕様を妥協したくない人に合うポジションです。
nerucoが向いている人・向いていない人
| 条件 | 相性 |
|---|---|
| 1~3万円で仕様の良い商品を探している | 良い |
| ショート・ロングなどの特殊サイズが必要 | 良い |
| 収納力や耐荷重も重視したい | 良い |
| 低価格でもデザインを選びたい | 良い |
| 実店舗で確認してから購入したい | 合いにくい |
| マットレスを自宅で長期間試したい | 合いにくい |
| 購入価格だけを優先したい | 他店との比較が必要 |
| 高価格帯の国産品を探している | 国内メーカーとの比較が必要 |
取材・共同開発を通じて感じたこと

私とneruco阿比留社長
1. 業界と商品への理解が深い
実は、有名なブランドであっても、ベッドやマットレスの構造については、それほど詳しくない会社もあります。(そうしたブランドは販売や広告に強い傾向があります)
一方、nerucoは経営陣を含め、ベッド・マットレス業界で経験を積んだ人が中心のため、長い時間軸に由来した知見・洞察があります。
これは、私がZESTOなどを共同開発していく中で、非常にスムーズで頼りになるパートナーとして実感した部分でした。
こうした「経験の深さ」がnerucoの商品開発を支えていると言っても過言ではありません。
2. 工場のレベルが高い
私は、バリューポケットコイルなど、主力のマットレスを製造する中国工場の経営者と直接話をしたことがあります。
非常に詳しく、誠実な対応が印象的でした。要望に対して、いろいろな選択肢を提示してくれて、行動も早い。実際に出来上がったものを見ても、一般的な低価格帯の商品と一線を画す仕上がりの商品も多いと感じます。

バリューハイカウント(超高密度コイル×低反発ウレタン×高反発ウレタンで2万円台~)
他の海外工場では事情が異なる可能性もありますが、少なくとも主力のマットレス工場に関しては、直接話した印象では、安心感を持ちました。
3. 「良い商品を作りたい」という軸がある
nerucoの人たちと話して感じるのは「良い商品を作りたい」という思いです。
たとえば、バリューポケットコイルや、Banonなど、この価格帯の商品で考えると、こだわりの熱量がすごく、かなり細かく設計しています。マニアックな追求の仕方とも言えるでしょう。

すのこベッドBanonでは、極太の補強板を使うことで強靭な耐久性を実現している
「この価格なんだから、そこまでやる必要があるの?」という声も聞こえてきそうです。
そうしたこだわりを価格ギリギリで攻めて形にしているというのが、nerucoの商品を検証するとヒシヒシと伝わってくるのです。
青臭いかもしれませんが、「良い商品を作りたい」という気持ちは、商品開発に必要です。
小売店からメーカーに近づいている

私がnerucoを知ったのは2016年頃ですが、当時と比べてショップの方向性は変わっています。
以前は他メーカーからの仕入れ商品が中心で、小売店としての要素が強いショップでした。現在は仕入れ商品を減らし、自社のプライベートブランド「neruco Original」の取り扱いを増やしています。
そのため、現在は一般的な小売店というより、ニトリなどのSPA(製造小売業)に近い要素が強まっています。
社員の方からも、今後はプライベートブランドの比重を高める方針だと聞いています。nerucoは今後、さらにベッドメーカーに近い立ち位置へ進んでいくと考えています。
寝具業界内でも肯定的な評価が多い

私は複数のベッド・マットレスメーカーを取材していますが、話の中でインテリアオフィスワンの名前が出ることがあります。
寝具業界は意外に狭く、メーカーや販売店の担当者同士が顔見知りであることも珍しくありません。その中で、インテリアオフィスワンに対しては、好意的な反応が多いです。
たとえば、私が取材したある老舗メーカーは、インターネット通販店への卸売りに慎重でした。それでも、インテリアオフィスワンについては、信頼できる取引先として商品を供給していました。
公開されている例では、nerucoはフランスベッドの正規販売代理店で、マットレスの共同開発(IFM-002)も行っています。
取引先からの評価だけで、すべての商品の良し悪しは判断できません。ただし、長く取引できる会社か、商品を任せられる相手かを考えるうえでは、ひとつの安心材料になります。
まとめ
nerucoは、むやみに安さを追求するショップではありません。
使ったときの満足度に関わる仕様を残しながら、価格を抑えられる部分を調整する。このこだわりが、nerucoの強みです。
特に1~3万円前後では、価格と仕様のバランスに優れたベッドフレームやマットレスが見つかります。特殊サイズや、低価格帯では珍しいデザインを選べることも特徴です。
一方、実店舗での商品確認や、マットレスの長期お試しはできません。購入価格だけを比べると、他店の方が安い場合もあります。
nerucoは、最安値だけを求める人ではなく、「価格を抑えながら、寝心地や耐久性、機能性にもこだわりたい人」に向いています。


