10万円台以下で選ぶ、おすすめ電動ベッド
この記事ではベッドメーカーで勤めていた筆者が「電動ベッド」をご紹介します。
前半では電動ベッドの特徴や種類、メリット・デメリット、選び方などをお伝えし、後半でおすすめの商品をご紹介しています。
「早くおすすめのベッドを知りたい」という方は下記ボタンを押せばその場所にジャンプします。
この記事を書いた人

ベッドメーカーに勤務後、当サイトを開設。国内・海外メーカーへの取材を重ね、レビューしたベッド&マットレスは100商品を超える。2020年に株式会社悠デザインを設立し、ベッド関連に特化したサービスを展開。ベッド・マットレスの専門家としてTBS「ラヴィット!」、ビジネス誌「プレジデント」、「gooランキング(NTTグループ)」などへの出演・取材協力も行う。
目次
電動ベッドとは
電動ベッドとは電気の力で背もたれや脚部分がリクライニングしたり、ベッド自体の高さが上下するベッドのことです。
介護用や高齢者向けのベッドとして人気ですが、ベッドの上でリラックスしたい人にもおすすめです。
電動ベッドと介護用ベッドの違い
電動リクライニング機能が付いたベッドを「電動ベッド」や「介護用ベッド」と呼びます。
一応、下記のとおり利用目的によって電動ベッドか介護ベッドに分けられます。
電動ベッド | 介護用ベッド |
---|---|
ベッドの上でリラックスして過ごすためのベッド | 介護を目的としたベッド |
ただし、厳密な定義はなく、電動ベッドとして売られている商品を介護用に使う場合やその逆もあり、あくまで利用者の目的によって呼び名が変わるのが実状です。
介護用で選ぶ場合は、介護者の状態を考えて、手すりや昇降リクライニング機能(3モーター式)など、必要な機能を備えたベッドを選びましょう。
「電動ベッドの中に介護ベッドがある」と言えるので、この記事ではまとめて「電動ベッド」としてご紹介します。
電動ベッドのメリット
要介護者が自分でできることを増やせる
介護用として電動ベッドを選ぶ場合のメリットですが、介護の負担を軽減する一番の方法は「要介護者が自分自身でできることを増やすこと」です。
普通の布団やベッドの場合、座ったり起き上がったりする動作は介護する側もされる側も体に負担がかかります。
しかし、電動ベッドならリクライニング機能や高さ調節機能、手すりなどが付いているので要介護者が自分で立ち上がれるサポートをしてくれます。
介護は長期にわたることが多いので、なるべく介護する側の人の負担を軽くすることが大切です。
ベッドの上で快適に過ごせる
背もたれや脚部がリライニングできる電動ベッドなら、睡眠以外にもベッドの上に居ながら読書や団らんなどが快適にできます。
リライニングの角度が微調整できるので、自分の楽な体制に調節できることもうれしい点です。
布団に比べて清潔に保てる
電動ベッドを使う要介護者は、基本的にベッドの上で過ごす時間が長いでしょう。
ベッド(マットレス)は敷き布団に比べて通気性が高く、カビにくいです。
また、床からの高さがあるため、ホコリを感じにくく清潔な状態を保ちやすいです。
電動ベッドのデメリット
普通のベッドに比べて高価
電動ベッドはリクライニングや介護に役に立つ様々な機能がついているため普通のベッドより価格が高めです。
20万円以上する電動ベッドも多いです。
大きいサイズが少ない
介護向けの電動ベッドは基本的にシングルサイズ(横幅97cm前後)です。
小柄~標準体型の人なら問題ありませんが、体格が大きい人だとシングルサイズはやや窮屈に感じます。
ゆったり眠りたい人は数は少ないですがセミダブルサイズ以上の電動ベッドもあるので、ご検討ください。

なぜシングルサイズが多いかというと、非課税対象の介護ベッドの規定が横幅100cm以下だからです。
備考:非課税対象のベッドとは?
介護向けの電動ベッドには非課税対象の商品があります。
これは厚生労働省が定めた「福祉用具」の中に介護ベッドがあり、その規格どおりであれば非課税(消費税がかからない)扱いとなるためです。
↓非課税対象の介護ベッドの条件
身体に障害を有する者が家庭において使用する寝台であって、身体に障害を有する 者の頭部及び脚部の傾斜角度が調整できる機能を有するもので、次に掲げる条件の全てを満たすものに限る。イ:本体の側板の外縁と側板の外縁との幅が百センチメートル以下のもの
ロ:サイドレールが取り付けてあるもの又は取り付け可能なもの
ハ:キャスターを装着していないもの
引用:厚生労働省
ここをチェック!失敗しない電動ベッドの選び方(5つのポイント)
ココがポイント電動ベッドの基本的な動き方は「背上げ・脚上げ・上下昇降」の3つです。そしてモーターの数によって動き方の制限などが変わります(モーターが多ければ多いほど、いろいろな動きができます)。
起き上がりに苦労する人は手すり、頻繁にベッドを移動したい人は折りたたみなどの機能も要チェックです。
睡眠の質はマットレスによって決まるといっても過言ではないので、マットレスは慎重に選びましょう。
1. 動き方の種類
電動ベッドの基本的な動きは以下の3つです。
背上げ | 脚上げ | 上下昇降 |
---|---|---|
![]() | ![]() | ![]() |
背上げは対応している商品が多いですが、脚上げ・上下昇降などは非対応の場合もあります。それぞれの動きの特徴は以下のとおりです。
背上げ
背もたれが上がる機能。起き上がる動作を補助するのに役立ちます。
読書や団らん時などにも便利なので、リクライニング目的で電動ベッドをご検討している場合にも必要な動きと言えるでしょう。
脚上げ
膝の角度を上げる機能。フットボード側へのずり落ちを防ぐのに役立ちます。足のむくみを和らげる効果もあります。
上下昇降
床面を上下できる機能。要介護者を立ち座りしやすい高さにしたり、介護する側にとって介助しやすい高さに調節するのに役に立ちます。
2. モータータイプの種類
電動ベッドの動き(リクライニングや昇降)はモーターの数の違いによって制限があります。
1モーター
1モーター(下記のいずれか) | ||
---|---|---|
![]() | ![]() | ![]() |
ひとつのモーターの駆動による電動ベッドで、最も価格が安いタイプ。
ひとつのモーターのため、背もたれだけのリクライニングだけか、背もたれと脚部が同時にリクライニングします(背と脚は独立して調整できません)。あるいは上下昇降のみという商品もあります。
2モーター
2モーター(別々の調整が可能) |
---|
![]() |
![]() |
2つのモーターの駆動による電動ベッド。2か所の独立した調整が可能です。「背上げ+脚上げ」か「背上げ+上下昇降」のいずれかが多いです。
3モーター
3モーター(別々の調整が可能) |
---|
![]() |
3つのモーターの駆動による電動ベッド。3か所の独立した調整が可能です。電動ベッドの中で最も機能性が高いタイプです。(その分価格は高めです)
3. 折りたたみ機能の有り無し
真ん中を折りたためるベッドフレームもあります。
折りたたみできると使わないときに収納しやすく、上の画像のように布団を干せる商品もあります。
一日中ベッドの上で生活する必要がない場合はご検討いただければと思います。
4. 手すりの有り無し
足腰が悪く、立ち座りに不安がある場合、手すり付きの電動ベッドがおすすめです。
商品によっては、手すり単品で売っている場合もあるので、必要に応じて後から買い足すことも可能です。
5. マットレスの種類と選び方
睡眠の質はマットレスで決まると言っても過言ではありません。
マットレスには様々な種類がありますが、大きくはクッション材にバネを使った「スプリングコイルタイプ」と、スプリング以外のクッショを使った「ノンコイルタイプ」に分かれます。
スプリングコイル | ノンコイル |
---|---|
![]() | ![]() |
スプリングコイルマットレスの特徴
クッション層にバネ(硬鋼線)を使ったマットレス。復元率・弾性率が高く、要するに耐久性が高い傾向があります。
スプリングコイルマットレスには以下の3種類があります。
種類 | ボンネルコイル | ポケットコイル | 高密度連続スプリング |
---|---|---|---|
画像 | ![]() | ![]() | ![]() |
電動ベッド用としては、基本的にポケットコイルマットレスが中心です。というよりも、スプリングコイルマットレス市場全体でポケットコイルが中心的な位置を占めています。

ポケットコイルはコイルひとつひとつが独立した構造をしていて、体を点で支えるため、体圧分散性が高く、日本人が好きな静かな寝心地と言われています。
一方、ボンネルコイルは、コイル同士が鉄線で連結しているので揺れやきしみを感じやすく、どちらかというと廉価モデル(低価格で作ることが目的)の商品が多いため、品質面も劣る傾向があります。
ポケットコイルとボンネルコイルの揺れ方の違いは以下の動画をご参考ください。(音は出ません)
また、高密度連続スプリングは構造上折り曲げにくい商品が多いため、電動ベッドには使いづらいマットレスの種類と言えます。

それぞれの違いについては以下の記事で詳しくご紹介しています。
ノンコイルマットレスの特徴
クッション層にスプリング以外の素材(ウレタンフォーム等)を使ったマットレス。比較的軽量で取り扱いやすい商品が多く、手軽にマットレスを買いたい人におすすめです。ただし、素材としての耐久性はスプリングコイルよりは低めです。
代表的なノンコイルマットレスの種類は以下の通りです。
種類 | ウレタンフォーム | ファイバー | ゲル |
---|---|---|---|
画像 | ![]() | ![]() | ![]() |
電動ベッド用としては、基本的にウレタンマットレスが中心です。
ウレタンマットレスは反発性の違い(低反発・高反発)や、耐久性(密度・復元率)など、商品によって特徴が大きく異なります。詳しくは以下の記事でご紹介しています。
低反発マットレスには要注意
低反発マットレスとは押して離すとゆっくり形状が戻る素材を使ったマットレスのことです。

体のラインにぴったりと沿ったフィット感があり、体圧分散性が最も高いことが特徴ですが、寝返りが打ちづらく、蒸れやすいというデメリットがあります。
寝返りを打つにはある程度力が必要ですが、力が弱い場合、思うように寝返りが打てず床ずれが発生してしまう可能性があります。
軽い力で寝返りを打つためには、マットレスにはある程度高い反発力が必要なので、特に介護用に使う人でベッドにいる時間が長い場合、低反発マットレスは避けた方が無難です。

マットレス全般の選び方(とおすすめ商品)については以下の記事で徹底解説しているので、ご参考くださいね。
・
・
・
【厳選】おすすめの電動ベッド(介護ベッド) 6選

上記ポイントを踏まえ、おすすめの電動ベッドをご紹介します。
電動ベッドは20万円を超える高価格な商品が多いですが、まずは10万円以内~15万円くらいまでのコストパフォーマンスが良いベッドを中心に厳選しています。
1. マットレスが選べる電動ベッド「nermu」(4万円前後~)
寝心地を重視したいならコレ
フレームとマットレスが分かれている電動ベッド。高密度タイプのポケットコイルマットレスや、イタリア製の高品質ウレタンマットレスが選べることが特長。低価格ながら本格的な寝心地が得られる逸品です。サイズバリエーションが豊富でセミシングル~ダブルサイズまで選べることも魅力です。
モーター | 2 |
---|---|
マットレス | ・ポケットコイル ・国産ポケットコイル ・イタリア製高反発 |
折りたたみ | 〇 |
手すり | × |
この電動ベッドを見てみる
(リンクはイタリア製マットレスセット)
2. 折りたたみ式電動ベッド(4万円前後)
低価格で買いたい人におすすめ
最安値レベルの電動ベッド。ウレタンマットレスは高反発なので寝返りも打ちやすいです。キャスター付きで動かしやすく、折りたたみ式なのでコンパクトに収納できます。軽度の介護用ベッドとしておすすめです。
モーター | 1 |
---|---|
マットレス | 高反発ウレタン |
折りたたみ | 〇 |
手すり | 〇 |
3. 組立不要 ポケットコイルが選べる電動ベッド(5万円前後)
設置が簡単
ポケットコイルマットレス付きの電動ベッドが5万円前後で買える高コスパ商品。組立不要の完成品で届くので簡単に設置することができます。
モーター | 1 |
---|---|
マットレス | ・ボンネルコイル ・ポケットコイル (選べる) |
折りたたみ | 〇 |
手すり | 〇 |
4. ひのき木製電動ベッド(7万円台)
布団派の人におすすめ
ひのきを使用したすのこタイプの電動ベッド。ひのきの香りはリラックス効果もあります。床板がすのこタイプなので布団でも使いやすいです。ボリュームタイプの敷布団と併せて使うことがおすすめ。マットレスより布団派の人に向けた電動ベッド。
モーター | 1 |
---|---|
マットレス | なし |
折りたたみ | 〇 |
手すり | オプション |

続いて、価格は高くなりますが、より安心感を求める人のために有名メーカーの電動ベッドをご紹介します。
5. サータ「MOTION PERFECT」(18万円前後)※フレームのみ
8年連続全米No1ブランド
サータといえば毎年発表される全米売上ランキング(ファニチャートゥデイ誌)にて、8年連続で全米売上No.1を獲得したことで有名。一流ホテルにも多く納入さていて信頼の実績とも言えるでしょう。世界が認めた寝心地を得たい人におすすめです。この商品はフレームのみですが、できればマットレスもサータでそろえることをおすすめします。(サータの電動向け用マットレスはこちら)
モーター | 2 |
---|---|
マットレス | フレームのみ (マットレス単品はこちら) |
折りたたみ | × |
手すり | × |
6. パラマウントベッド インタイム1000(30万円前後)
3モーター・マットレス付き
電動ベッドに強い「パラマウントべッド」の3モーター電動ベッド。背あげ・膝あげに加えて高さ調節機能がついているので、起き上がり・立ち上がりが抜群に楽です。長い期間介護が必要な人におすすめの電動ベッド。
モーター | 3 |
---|---|
マットレス | ウレタン |
折りたたみ | × |
手すり | × |
・
・
・
【厳選】電動ベッドと合わせて使いたい!おすすめマットレス 2選

電動ベッドでも使えるおすすめの単品マットレスをご紹介します。
マットレスが付いていない「ベッドフレームのみ」の商品と合わせて使いたい人におすすめです。
1. neruco「バリューポケットコイルマットレス」
1万円で選ぶならコレ
ベッド専門店「neruco(ネルコ)」のオリジナルマットレス。高密度仕様で豊かなクッション性が魅力のポケットコイルタイプです。マットレスの側面はすべてメッシュ構造になっているので通気性も抜群。
どちらかというとソフトな寝心地で特に女性におすすめですが、男性の筆者も心地よく感じた逸品。この優れた寝心地でシングルサイズ1万円は利益が取れているか心配になるほどのコストパフォーマンスの良さを感じました。なお、ネルコの電動ベッドにセット販売されています。
硬さ | ふつう |
---|---|
クッション材 | ポケットコイル |
価格 | 11,990円~ |
2. 日本ベッド「AJシルキーポケット」
とことん寝心地にこだりたいならコレ
仕立ての良さの評判が高い老舗国産メーカー「日本ベッド」の基幹マットレスブランドの「シルキーポケット」。そのとろけるような寝心地で「バネに直接眠れるマットレス」というコンセプトで生まれました。
シルキーポケットは日本のもの作りの精神が具現化されたようなマットレスで、迎賓館赤坂離宮や、帝国ホテル・星野リゾート(星のや軽井沢・東京)など有名ホテル・旅館への納入実績も豊富。睡眠の質にこだわりたい人には間違いなくおすすめの逸品です。
本商品(AJシルキーポケット)は、基幹シリーズであるシルキーポケットの電動ベッド用のマットレスという位置づけで、曲がりやすくなっています。
硬さ | やや硬め |
---|---|
クッション材 | ポケットコイル |
価格 | 170,500円~ |
電動ベッド(介護ベッド)おすすめメーカー&ショップ 3選

最後におすすめの電動ベッドメーカーとショップをご紹介します
1. フランスベッド(メーカー)
参照:フランスベッド
国内販売シェアNo.1の日本企業
フランスベッドは1956年に創立した日本のベッドメーカーです。「日本人に合ったものづくり、日本の風土にあったものづくり」というコンセプトで商品を展開しています。介護事業にも積極的で、電動ベッドの種類も他のベッドメーカーに比べて圧倒的に豊富です。
マットレスは高品質なので、寝心地やベッドの上で過ごす時間を快適にしたい人は間違いなくフランスベッドの電動ベッドがおすすめです。
2. ネルコ(ショップ)
参照:neruco
マットレスの取り扱いが豊富
ネルコはベッド専門の通販サイトです。常時6,000点以上の品ぞろえがあり幅広いラインナップから商品を選べることが特徴。価格は通販サイトの中でもトップクラスに安いです。有名ベッドメーカーの商品の取り扱いも豊富で、フランスベッドの商品も取り扱っています。
3. ベルメゾン(ショップ)
参照:BELLE MAISON
大手で安心、サポート充実
ベルメゾンは大手カタログ通販会社の千趣会が運営する通販サイトです。総合通販という位置づけでベッド以外もインテリア全般、アパレル、日用品等とても幅広い種類の商品を扱っています。大手ならではのサポート体制が良く、はじめて通販サイトを利用する人にとてもおすすめのショップです。家具引き取りサービスがあるので、ベッドを買い替える人にもおすすめです。
・
・
・
いかがでしたでしょうか。
電動・介護ベッドの選び方、おすすめ商品についてご紹介させていただきました。
介護は体力的にも精神的にも金銭的にもできるだけ負担がないようにしたいところ。
あなたの生活にぴったりあった電動ベッドが見つかったらうれしいです。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。