寝姿勢測定機のススメ
マットレスは頻繁に買うようなアイテムではないので、「自分に合った寝心地」を本気で知ろうとすることは少ないと思います。
そして、いざ買おうとしたときに、迷走しやすいのもまたマットレスです。
実は、万人におすすめのマットレスなどありません。
よって、ある記事や販売店で「おすすめ」と書かれていたとしても、それは基本的に「あなたにとって」という意味ではありません。
しかし、マットレス選びはこの「あなたにとって」が決定的に大事です。
この記事では「あなたの寝姿勢に合う寝心地を知る方法」として、かなり有効だと考える寝姿勢測定機(ねしせいそくていき)をご紹介します。
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マットレスにおいて「硬さ選び」は超重要
マットレスは硬さ選びが肝心です。
自分に合わない硬さの場合、いくら仕様が優れたマットレスでも快適に眠れません。
よって、まずは自分に合う硬さを知るのが重要で、硬さ選びの手助けとなるのが今回ご紹介する「寝姿勢測定機」というわけです。
寝姿勢測定機とは
寝姿勢測定機とは、自分の「年齢・性別・身長・体重・姿勢」などの情報をもとに、自分に最適なマットレスの硬さ(や、まくらの高さ)を導き出してくれるシステムです。
導入しているメーカーは限られていて、日本では「フランスベッド」と「シモンズ」のショールームにあります。(それぞれ別のテクノロジーを用いた測定機です)
フランスベッド | シモンズ |
---|---|
以下より、それぞれのメーカーの寝姿勢測定機の特徴、および測定方法などを実際の体験を元にご紹介します。
フランスベッドの場合
フランスベッドは1956年設立の日本最大規模の寝具メーカー。
日本の風土にあったものづくりを得意とし、通気性・耐久性が抜群の「高密度連続スプリング®」を搭載したマットレスが代表的です。
フランスベッドの寝姿勢測定機は(身体測定時に)身長・体重を測る機械のような見た目をしています。
測定方法
まず台の上に乗って、背筋をまっすぐ伸ばします。
すると、たくさんの細い棒が伸びてきて、体に触れるとその場所で止まり、これが自分の体のラインを形どります(もちろん全然痛くありません)。
そうして出来上がった筆者の体のラインがこちら。
この体のラインと、自分の年齢・性別・BMI(身長・体重)を掛け合わせて、「自分に最適な硬さ」が診断され、フランスベッドの中で合うとされるモデルが提案されます。
所要時間は全部で5分くらいなので、気軽に試せることも魅力ですね。
なお、フランスベッドでは基本的に全国すべてのショールームに寝姿勢測定機があるので、お近くにショールームがある人はぜひ試してみてはいかがでしょうか。
シモンズの場合
シモンズは1870年創業した世界で最も老舗のマットレスメーカー。
ポケットコイルマットレスの商業化に初めて成功したことでも有名です。
シモンズの寝姿勢測定機は、近未来的な外見をしていて、寝て測定します。
なお、シモンズでは寝姿勢測定機のことを「寝姿勢測定システム(シモンズアジャスタブルメジャーベッド)」と呼びます。
このシステムは信州大学と共同開発し、2018年10月のシモンズギャラリー東京オープン時に初めて導入しました。
測定方法
測定機(マットレス)の上に寝て開始。マットレス自体の硬さが次第に変わっていきます。
硬い~やわらかいの4つの硬さパターンの寝姿勢を計測します。
こちらが寝姿勢の計測画面。ある硬さにおける自分の寝姿勢のラインを横から見た図です。
青いラインがテストしたマットレスの硬さにおける自分の寝姿勢で、赤いラインが信州大学が導き出した理想的な寝姿勢です。
この場合、もっと沈み込んだほうが良い寝心地が得られるという診断になります。(つまり今テストしている硬さでは筆者の体型にしては硬すぎるという診断です)
この測定結果に基づいて、シモンズの代表的な4モデルの中で適しているかマットレスが導き出され、そこから寝心地の好みなどを加味し、最適なモデルを決めていくという流れです。
筆者の寝姿勢に最も適合したのは「ゴールデンバリュー ピロートップ」です。
ゴールデンバリュー ピロートップは中間くらいの硬さで、たしかに自分にとって無理のない寝心地と感じました。
なお、計測機による診断は10~15分くらいで終わります。
シモンズでは寝姿勢測定システムが導入されているショールームは限られるので、公式サイトよりご確認ください。
※取材時(2019年7月)の情報のため、更新されている可能性があります
シモンズの寝姿勢測定機の体験をギャラリーでご希望の方は、WEB予約(東京のみ)をご活用ください。満席になることも多いので事前に予約を取ることおすすめします。
硬さ選びのコツ
もし、近くにショールームがなく、寝姿勢測定機が試せない人のために、超ざっくりですが硬さ選びのコツをお伝えします。
硬さは、ずばり「性別」と「寝姿勢(仰向き・横向き など)」で大体決まります。
これはマットレスに接地する体のラインが平坦か、カーブが多いかの違いで、平坦気味の場合は「硬めのマットレス」が合い、カーブが多い場合は「やわらかめのマットレス」が合いやすいです。
条件 | 平坦気味 | カーブが多い |
---|---|---|
性別 | 男性 | 女性 |
寝姿勢 | 仰向き | 横向き |
合いやすい硬さ | 硬め | やわからめ |
つまり、「男性・仰向き」の条件であれば、硬めが合いやすく、逆に「女性・横向き」であればやわらかめの寝心地合いやすいです。
仰向き寝 | 横向き寝 |
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どっちの寝姿勢かわからない場合、「電気を消して寝ようとするとき、まずどっち向いて寝るか」がひとつの目安です。
フランスベッドの実験によると「無意識にとる最初の寝姿勢が睡眠時間の過半数(60-70%程度)となる」と聞いています。
つまり、自分がベッドに入って寝ようとしたときの自然な姿勢が、基本的な寝姿勢とお考え下さい。
とはいえ「硬め」が無難
もし、硬さ選びに不安があるようでしたら、自分が考えるよりも「少し硬め」の寝心地を選ぶのがおすすめ(というか無難)です。
理由は、「あとから調節しやすい」からです。
もし、実際に寝てみて硬すぎた場合は、敷きパッドやトッパー(マットレストッパー)を敷くことでやわらかく調節できます。
逆に、初めからやわらかすぎるマットレスを硬く調節するのは困難なので、「迷ったら硬め」というのがマットレス選びの鉄則です。
一般的に、日本人は仰向き寝が多く、欧米人に比べて体のラインが平坦なことも「硬め」をおすすめする理由です。
ただし、極端に硬すぎるのも人を選びますので、10段階中6~8くらいの硬さが失敗しにくいでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
自分に合う硬さを知るおすすめの方法「寝姿勢測定機」についてご紹介しました。
なお、実際に体験したところ、筆者は男性(171cm・58kg)ですが、両メーカーとも「ふつう~やわらかめが合う」という診断になりました。
測定前は「自分は男だからマットレスは硬めが合うかな」となんとなく思っていたので、意外な結果です。
筆者の場合は、男性にしては体の曲線が多いため、「ふつう~やわらかめが合う」と診断されたようです。
「男は硬め」「女はやわらかめ」が合うと思いがちですが、性別や体重でひとくくりにできないということですね。
近くに寝姿勢測定機が置いてあるショールームがあるようでしたら、ぜひ測定してみてはいかがでしょうか。(測定したからといって、マットレスを必ず購入する必要はありません)
「お試し期間付き」のマットレスもおすすめ
ただし、もちろん寝姿勢測定機は万能ではありません。
「自分にとって良い寝心地」とは、自分の好みや慣れなども大きく影響します。
そこで、マットレス選びに不安がある人は、「お試し期間(返金・返品保証)」が付いたマットレスを選ぶこともおすすめです。
最近では海外ブランドをはじめ、オンライン限定モデル中心にお試し期間付きのマットレスが増えてきました。
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ご参考いただけましたら幸いです。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。