エマ・スリープの良さを感じにくいマットレス
この記事ではエマ・スリープの「エマ・オリジナルV2」をご紹介します。
実際の体験・検証・調査を踏まえて、良いところだけでなく、悪いと思ったところも素直に書いているので、ぜひご参考くださいね。
当サイトではレビュー記事を作成するにあたり、撮影スタジオを作り、セットの中で商品を徹底的に体験・検証しています。一般的な家の雰囲気と異なるのはそのためです。
この記事を書いた人
※この記事にはアフィリエイトリンクが含まれ、発生した広告収入をサイトの運営費に充てています
目次
【最新】エマ・スリープのセール情報(12/30まで)
現在、セールで最大60%OFFです。
セール期間 | 12月24日(火)午前0時~12月30日(月)午後11時59分 |
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割引率 | 割引適用商品:
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メーカーの「エマ・スリープ」とは
エマ・スリープは、ドイツ発のマットレスブランド。基幹モデルはウレタンマットレスの「エマ・マットレス」です。
エマ・マットレスは2015年に欧州で発売され、今ではシリーズ全体で600万人のユーザーが愛用している世界的なマットレスブランドに成長しています。
そして、本記事で取り上げる「エマ・オリジナルV2」は、5つ目の新商品です。
エマ・スリープのマットレスシリーズ(5つ)の違いは?
エマ・スリープのベッドマットレスは以下の種類があります。
モデル | 画像 | タイプ |
---|---|---|
①オリジナルV2 | ハードウレタン×ポケットコイル | |
②ハイブリッドV2 | 3層ウレタン×ポケットコイル | |
③プレミアム | 低反発ウレタン×ポケットコイル | |
④プレミアムV2 | 4層ウレタン×ポケットコイル | |
⑤ラグジュアリー | ポリマー×多層ウレタン×ポケットコイル |
エマ・オリジナルV2は、最安値モデルです。
エマ・オリジナルV2の基本情報
メーカー | エマ・スリープ |
---|---|
サイズ | シングル~キング |
クッション材 | ポケットコイル&ウレタンフォーム |
硬さ | やや硬め |
重さ(Sサイズ) | 18.1 kg |
価格(Sサイズ) | 円 |
保証期間 | 10年 |
旧モデル「エマ・マットレス コンフォート」との違い
エマ・オリジナルV2は、「エマ・マットレスコンフォート」から商品名が変わったモデルですが、実は、以下のとおり、少しだけ仕様と価格が変更されています。
モデル | コンフォート(旧) | オリジナルV2(新) |
---|---|---|
画像 | ||
構造 |
|
|
価格 | 117,600円~ | 円~ |
赤い太文字の場所が最も変わった仕様です。
要するに、新モデルのオリジナルV2では、詰め物のウレタンフォームが硬く厚くなり、バネ当たりの心配が少ない仕様になりました。※ただし、下層のウレタンフォームがなくなっているので、荷重分散性が少し落ち、ポケットコイルの負荷がわずかに高まります
また、価格が安くなっていることもメリットです。
【まず結論】エマ・オリジナルV2の評価は?
当記事では以下のような項目をチェックし、商品を評価しております。
- 寝姿勢による寝心地は?(仰向き・横向き)
- 寝返りのしやすさは?
- 通気性が良いか?(ムレを感じないか)
- クッション材の品質はどうか?
- 詰め物の質感・ボリュームはどうか?
- 底付きや圧迫感がないか?
- 価格相応の寝心地と言えるか?(総合評価)
体験を通じエマ・オリジナルV2を以下のように評価しました。
▼ エマ・オリジナルV2の評価 | |
---|---|
総合評価 | 2.97 |
仰向き寝 | 2.0 |
横向き寝 | 2.0 |
端の沈み込み | 2.0 |
通気性 | 2.0 |
寝返り | 3.0 |
底付きのなさ | 3.0 |
バネ当たりのなさ | 3.0 |
耐久性 | 3.0 |
衛生面 | 3.0 |
取り扱いやすさ | 2.0 |
価格 | 3.13 |
※目安は「3.50」以上が高評価です
【総評】正直おすすめしにくい(安いだけ)
エマ・オリジナルV2は、簡単に言うと上位グレードのエマ・ハイブリッドV2の詰め物を減らしてダウングレードさせた仕様です。
モデル | エマ・オリジナルV2 | エマ・ハイブリッドV2 |
---|---|---|
画像 | ||
詰め物 |
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|
価格 (Sサイズ) | 円 | 133,000円 |
上記のとおり、エマ・オリジナルV2(左)は、エマ・ハイブリッドV2(右)から高反発ウレタンと低反発ウレタンを削り、ハードウレタンだけを残した仕様です。※ハードウレタンは1.5cm→2.5cmと少し厚くなっています
ダウングレードして価格を抑えること自体は悪くないですが、問題なのがダウングレードのアプローチで、エマ・オリジナルV2は、安易な引き算で仕上げたマットレスといった印象を受けました。
実際に寝た時の感想としては、荷重はポケットコイル層に到達しますが、ハードウレタンではしなやかさが足りず、マットレス表面が突っ張るような感じが強かったです。
ハードウレタンをもっとやわらかく(ソフトウレタンに)すれば、突っ張りは軽減されると思いますが、今度は沈み込み過ぎることによってバネ当たりが問題になるでしょう。(トレードオフの関係です)
要するに、バネ当たりが感じられないレベルの最低限の厚さ・硬さとして、2.5cmのハードウレタン(150N)が採用されたのだと推測します。
また、スプリングの品質もごく普通なので、「スプリングで勝負する」というような意気込みも感じられません。
一般レベルのポケットコイルに、(特別な機能性がない)薄いウレタンフォームを1枚付けただけの仕様で、シングルサイズが約10万円は正直高すぎです。(価格改定があり49,500円~に変更されましたが、それでも高いと感じます)
もちろん、エマ・スリープは100日のお試し期間付きという付加価値もありますが、それを加味してもコストパフォーマンスが良いとは言えないでしょう。
エマ・スリープといえば、人間工学的なアプローチを得意として、他のモデルでは、非常に考えられた構造をしています。
しかし、このオリジナルV2だけは、寝心地の良さというよりも「最安値グレードを作る」という目的から企画が出発しているような印象を受けました。
エマ・ハイブリッドV2をおすすめします
価格は高くなりますが、寝心地を重視したい人は、エマ・ハイブリッドV2がおすすめです。
高反発ウレタン×低反発ウレタン×ハードウレタン×ポケットコイルの奥行きある寝心地が楽しめ、ウレタンフォームの滑らかさとポケットコイルのクッション性・通気性の良さを両方味わえるハイブリッドなマットレスです。
当サイトとしては、オリジナルV2の評価は高く付けられませんでしたが、もちろん、寝心地の好みは千差万別なので、オリジナルV2が快適に感じる人もいると思います。
とはいえ、寝心地以外の、構造・仕様・価格といった要素的に考えても、強くはおすすめできないと考えます。
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エマ・オリジナルV2の特徴&メリット
1. ポケットコイル
エマ・オリジナルV2はクッション材にポケットコイルを使用した「ポケットコイルマットレス」です。
ポケットコイルは、スプリング(バネ)をひとつひとつ不織布で包んでいる構造をしています。
ひとつひとつのコイルが独立した動きができるため、振動が伝わりづらいことや、体のラインに細かくフィットすることで寝姿勢が整いやすく、体圧分散性も高いです。
「静かな寝心地」と評され、特に日本人はポケットコイルの寝心地が好きと言われています。
ポケットコイルを詳しく解説本当におすすめのポケットコイルマットレス13選 | コスパ抜群モデルや人気メーカー商品もご紹介
2. 11ゾーン仕様
エマ・オリジナルV2のポケットコイルは、線径(バネの太さ)を2種類(1.8mmと2.0mm)使い、場所によって硬さを変える「ゾーニング仕様」です。
なお、公式サイトによると「7つのゾーン」とありましたが、実物では以下のとおり「11個のゾーン」に分けられていました。
エマ・オリジナルV2のゾーニングは、荷重のバランスと体のライン、両方にアプローチするため、このように細かくコイル配列しています。
要するに、荷重が特に重い背中は沈み込み過ぎないようにし、起伏が大きい腰~臀部にかけては、圧迫感が少なくしつつ、体を支えるように細かく硬さを変えています。
こうした11ゾーンは基本的に「包み込まれるような寝心地」を目指して採用されることが多いです。
ちなみに、11ゾーンといえばサータのトラディションシリーズが有名です。
3. シンプルな返品システム(100日お試し期間付き)
エマ・オリジナルV2は購入してから100日間のお試し期間があります。
自分に合ったマットレス選びというのは本当に難しいものですが、これだけ長い期間試せるなら安心して購入することができるでしょう。
しかも、返品の仕組みはすごくシンプル、且つ良心的です。
返品手順は以下の通りです。
- サポートに連絡
- 製品の回収
- 全額返金(手数料なし)
お試し期間つきのマットレスはそこまで珍しくありませんが、メーカーによっては隠れた手数料があったり、自分で梱包して業者を手配しないといけない場合もあります。
その点、エマは手数料がかからず、基本的にサポートに連絡するだけで、あとはメーカー側で手配し回収に来てもらえるという、かなりシンプルな返品システムが大きな魅力と言えるでしょう。
回収(返品)当日の様子については以下の動画でご紹介しているのでご参考くださいね。※音声あり
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エマ・オリジナルV2のデメリット・注意点
1. 寝心地のバランスが悪い
【総評】でもご紹介したとおり、エマ・オリジナルV2の最大のデメリットは、安く作ろうとした結果、詰め物が簡素すぎることです。
構造的に突っ張りやすく、バランスが悪い寝心地に感じました。
また、せっかくの11ゾーン仕様(ポケットコイル)も、表層が突っ張るため、「包み込まれるような寝心地」には感じられません。
マットレスは、上から①体圧分散(やわらかい)②寝姿勢保持(かたい・持ち上げる力が強い)③荷重分散(豊かなクッション性)といったバランスで構成すると寝心地が良く感じやすいです。
他のエマ・スリープのマットレスではそうしたコンセプトで作られていますが、オリジナルV2だけ体圧分散(①)に適した層がありません。
2. 片面仕様
エマ・オリジナルV2は、詰め物が表面しかない「片面仕様」です。
片面仕様の場合、マットレスの表裏をひっくり返すローテーションができないため、ヘタリがならしにくいです。※エマ・オリジナルV2は上下の(頭・脚を回転させる)ローテーションは可能です
また、芯材(ポケットコイル)の下に詰め物がないことで、荷重がそれ以上分散できないため、芯材の負荷がかかりやすいです。
格安モデルのポケットコイルの場合は片面仕様が多いです。
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【体験レビュー】エマ・オリジナルV2を実際に試してみた
実際のお届け時の様子や具体的な使用感などをレビューします。
開梱・設置
こちらはシングルサイズです。
取扱説明書はなく、段ボールにマニュアルページ(オンライン)を読み込むQRコードが印刷されています。
マットレスはロール状に圧縮され、段ボールに入っています。
中身はマットレス本体のみです。
マットレスの重さは18.1kgなので、ほどほどの重さ(重すぎない)です。
マットレスには開封用のカッターが同封されていました。
ビニールをカッターに挟むようにして、開封していきます。
なお、今回は機材トラブルにより、開封の様子(動画)が撮影できませんでした。
参考までに、エマ・スリープの別商品「エマ・ラグジュアリー」の動画を掲載します(開封の流れはほとんど同じです)。
上の動画のとおり、ビニールが切れると膨張が始まり、元の形への復元されます。
外観のチェック
開封直後のエマ・オリジナルV2はこちら。
開封直後からほとんど元の状態まで復元されています。
マニュアルページでは『開封後、数分で元のサイズに膨らみます。』とあったので、5日経過した状態と比較したアニメーションを作りました。
このとおり、開封直後でほぼ復元されています。
マットレスの厚さはこのくらいです。
公表値どおり約22cmの厚さが確認できました。
マットレスの外観をご紹介します。
表生地はポリエステル100%のサラッとした触り心地です。
伸縮性が高めなので、フィット感や寝返りサポート性も高まります。
生地のアップはこんな感じです。
側面生地はサラッとしたポリエステル仕様です。
特に通気性などのプラスはありません。
カバー側面には取っ手がついています。
取っ手があることでマットレスの移動などがしやすく便利ですね。
取っ手の近くにエマスリープのロゴ(タグ)が付いています。
裏面はこちら。
カバー裏面は少量のポリプロピレンが配合されていて、ゴムのような感触があります。
滑り止めのような構造をしているので、ベッドフレームに置いた時にズレにくいです。(エマ・スリープ共通仕様です)
品質表示は以下のとおりです。
内部構造
芯材はファスナー付きのカバーで閉じられています。
ファスナーを開けて、内部構造をチェックします。
カバーは上下で分離できる仕様です。
分離できることで「汚れやすい表面カバーのみを洗濯する」といったことも可能なので便利ですね。
芯材を詳しくチェックしていきます。
芯材を覆っている保護カバーにはファスナーがないため、取り出せない仕組みになっていますが、芯材の様子を詳しく見るために、ハサミで切ります。
取り出した芯材はこちら。
芯材の構造は以下のとおりです。
- SupportCore フォーム (ハードウレタン)
- 不織布
- ポケットコイル(11ゾーン)
- 不織布
表層は150N(ニュートン)の硬めのウレタンフォームです。
断面を詳しくご紹介します。
こちらがエマ・オリジナルV2の断面です。
詰め物のウレタンは、公表値どおり、約2.5cmの厚さが確認できました。
この厚さは、ポケットコイルマットレスの詰め物としてのウレタンフォームは、最低限のレベルです。
なお、エマ・オリジナルV2のポケットコイルは、場所によって硬さが異なる「ゾーニング仕様」です。
体のライン(寝姿勢)と荷重のバランス、両方にアプローチするための、かなり細かいゾーニングです。
ポケットコイルの仕様(読み飛ばしてもOKです)
ポケットコイルの仕様は商品によって異なります。
細かい話なので、詳しく知りたい人はご参考ください。(よって、ご興味なければ読み飛ばしてOKです)
- 密度(いくつコイルを使っているか)
- 配列(並行か交互か)
- 線径(バネの太さ)
- 線種
- コイル高と圧縮率
エマ・オリジナルV2のポケットコイルの仕様は公式サイトでは非公開ですが、当サイトによる調査の結果は以下のとおりです。
▼ エマ・オリジナルV2の仕様 | |
---|---|
配列 | 並行配列 |
密度 | 480個/S |
線径 | 1.8mm/2.0mm(11ゾーニング) |
線種 | 不明(非公表) |
コイル高/圧縮率 | 約21cm/約10%・約3% |
なお、これらの仕様は基本的に優劣ではなく、そのマットレスが表現したい寝心地を作るためものです。
配列の特徴は?
ポケットコイルマットレスの配列は「並行配列」か「交互配列(「千鳥配列」とも言います)」のどちらかです。
並行配列 | 交互配列 | |
---|---|---|
画像 | ||
硬さの傾向 | ソフト | ハード |
跳ね感 | 強い | 弱い |
特徴 | 寝返りがしやすい | 静かな寝心地 |
耐久性 | △ (部分的には弱め) | 〇 |
価格 | 安価に作りやすい | 高価になりやすい |
エマ・オリジナルV2は「並行配列」を採用しています。
並行配列はバネの動きが出やすいため、寝返りのサポート性があり、比較的ふんわりとソフトな感触が特徴です。
なお、エマ・オリジナルV2のような圧縮梱包のポケットコイルマットレスは、基本的に並行配列です。(交互配列は圧縮しにくい仕様のため)
密度の特徴は?
密度とは「ポケットコイルの量」のことです。
エマ・オリジナルV2はシングルサイズあたり「480個」の密度です。
現在のポケットコイルマットレス市場はコイルの数量(密度)をセールスポイントにすることが多いですが、密度のレベルの違いを大雑把にまとめると以下の通りです。
密度 | 意味合い |
---|---|
300個台 | 低密度(耐久性が不安&バネ当たりも感じやすいので避けた方が良い) |
400~600個台 ★本商品 | 中密度(バネの動きが出やすく寝返りサポート性が得られる) |
700~1,000個 | 高密度(線径が細く、コイル高も高くなるので、ふんわりとした寝心地) |
1,000個以上 | 超高密度(ジェル的で静かな寝心地・バネを感じにくい) |
基本的にポケットコイルマットレスは、密度が低いほどコイルひとつあたりにかかる負荷が高くなるため、特に300個レベルの低密度タイプでは耐久性に支障が出る可能性も高くなります。
とはいえ高密度であるほど良いというわけではなく、耐久性の適切なレベルは450個以上です。
よって、基本的に密度は寝心地の違いを表現するものとお考えください。
エマ・オリジナルV2の密度(480個/S)は、耐久性的に問題ないレベルで、コイルの動きが出やすいような中密度仕様です。
線径とは?
線径とは「バネの太さ」のことです。
線径は、太いほど反発力が高まり、しっかりとした寝心地になります。逆に細いほど荷重に対してしなやかに反応するという特徴があります。
寝心地の目安としては以下の通りです。
線径と寝心地(目安)
- 線径1.9mm以下:しなやかな寝心地
- 線径2.0mm以上:しっかりとした寝心地
エマ・オリジナルV2は11ゾーニング仕様で、場所によって線径1.8mmと2.0mmを使用しています。
1.8mm | 2.0mm |
---|---|
エマ・オリジナルV2の11ゾーニングは、腰をサポートしつつ、お尻は圧迫感を抑えた仕様です。
こうしたゾーニングは、フィット感がある寝心地に感じます。
バネの品質は?(線種)
ポケットコイルのバネは主に硬鋼線(こうこうせん)という鉄線で作られ、その品質はメーカーや商品によって異なります。
エマ・オリジナルV2の硬鋼線の線種は非公表です。
なお、線種表示は以下のように解釈します。
表示例 | 意味 |
---|---|
SWRH | マットレスのコイルは基本的に硬鋼線(SWRH)を使用 |
72(反発性) | 数値が高くなればなるほど反発性の継続する力が強い |
B(耐久性) | マンガン含有量(AよりもBが多く、耐久性がある) |
C(強度) | A<B<Cの順で強度が高い |
ちなみに、2017年に品質表示法の改正があり、線種の表示義務はなくなりました。これは「バネの品質は実際の寝心地や耐久性を知るうえでそこまで重要な情報ではない」ということが示されたと言えます。
ただし、バネそのものが高品質であればそれだけ長持ちしやすいですし、シモンズやサータ等の有名メーカーもバネの品質には相当こだわりをもっているので、依然としてポケットコイルマットレスを選ぶ上で気に留めておくべきポイントとも考えられます。
基本的にエマ・スリープのような海外ブランドは線種を公開していません。
コイル高と圧縮率
「コイル高」は高くなるほどふんわりとした感触になり、「圧縮率」は高くなるほど耐久性にプラスに働きます。
エマ・オリジナルV2の仕様は以下のとおりです。
仕様 | 高さ | 圧縮率 |
---|---|---|
コイル | 20.8cm | – |
バネ(1.8mm) | 23.2cm | 約10% |
バネ(2.3mm) | 21.5cm | 約3% |
この仕様は、
- コイル高は「高め」
- 圧縮率は「かなり低め」
です。
要するに、引っ張ったバネをほとんど圧縮していないため、コイルが高くなっている仕様です。※これは低価格帯のポケットコイルマットレスに多い傾向です
なお、一般的な圧縮率は20%前後くらいが多く、ある程度圧縮しないと耐久性として心配が増えます。(特に中密度タイプの場合)
よって、本商品は、バネをほとんど圧縮していないため、「やわらかい寝心地に感じやすいが、コイルの耐久性としては不安が残る仕様」とお考えください。
読み飛ばしOKなのはここまで!
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【詳細解説】エマ・オリジナルV2の評価について
この記事の冒頭で星付けして評価した以下のポイントをここでは詳しくご紹介します。
▼ エマ・オリジナルV2の評価 | |
---|---|
総合評価 | 2.97 |
仰向き寝 | 2.0 |
横向き寝 | 2.0 |
端の沈み込み | 2.0 |
通気性 | 2.0 |
寝返り | 3.0 |
底付きのなさ | 3.0 |
バネ当たりのなさ | 3.0 |
耐久性 | 3.0 |
衛生面 | 3.0 |
取り扱いやすさ | 2.0 |
価格 | 3.13 |
※目安は「3.50」以上が高評価です
1. 仰向き寝は?(底付き・バネ当たりもチェック)
仰向き寝は沈み込みが少なく接触面積が広いという特徴があるので、満遍なく荷重を受け止め、体圧を分散させることが重要です。また、寝返りに力が必要なので、寝返りサポート性も大切です。
なお、日本人の約60%が仰向き寝と言われているので、最もオーソドックスな寝姿勢と言えます。
評価は「2.0」。
体圧分散に適した層がないため、フィット感がなく、突っ張ったような寝心地に感じます。
また、1層目(ハードウレタン)より、2層目(ポケットコイル)の方が、やわらかい仕様のため、荷重が重い場所だけグッと沈み込むことで、なめらかさがなく、違和感を感じやすい寝心地でした。
硬いウレタンだけの詰め物という構造的のため、せっかくの11ゾーンのポケットコイルを活かせていないようにも思いました。
2. 横向き寝は?(底付き・バネ当たりもチェック)
横向きの寝姿勢は肩や臀部の沈み込みが深くなることと、接触面積が少なく、荷重が集中しやすいため、底付きなどを感じやすいという特徴があります。
つまり、深く沈み込んでも無理のない寝姿勢になることと、荷重による圧迫・底付きを感じないようなクッション性が大切です。また、不安定な寝姿勢でもあるので、揺れ過ぎないような衝撃吸収性もポイントです。
評価は「2.0」。
横向きでは、肩がグッと沈み込むことで、周囲のハードウレタンのテンション(突っ張り)が高まり、脇腹あたりの圧迫感が強かったです。
体のラインへのフィット感も高くないので、やや不安定さもあります。
3. 寝返りのしやすさは?
クッション材や詰め物で使われている反発性によって、体の動きやすさが変わってきます。少ない力で寝返りを打てた方がストレスは感じにくいですが、寝返りがしやすい=良い寝心地とは限りません。
寝返りの大変さにストレスを感じている人は高反発タイプなどの寝返りしやすいマットレスが良いですが、逆に寝返りが多すぎることで中途覚醒が多い人は、逆に寝返りの回数を抑えるような低反発タイプを選ぶと良いでしょう。
評価は「3.0」。
反発力が高い素材を使っているわけでもなく、寝姿勢保持性もあまり良くなく感じましたが、沈み込み過ぎないため、寝返りには大きなストレスはありませんでした。
4. 端の沈み込みは?
一般的にマットレスの端部分はそれ以上荷重を分散できないので落ち込みやすいです。端部分の落ち込みが少ないマットレスは全面を目いっぱいに使えるので、それだけで使用感が良いものになります。
なお、高級モデルなどでは落ち込みを解消するように端部分にワイヤーを入れたり、コイルを硬めにしたりすることもあります。
評価は「2.0」。
エマ・スリープのマットレス全般のデメリットとも言えるのが、端の沈み込みやすさです。
外周強化はなく、圧縮率が低く、コイル高が高いポケットコイルを使っているため、荷重への反応が大きいため、端では大きく歪みやすいです。
さらに線径(バネの太さ)も1.8~2.0mmの太くないタイプです。
寝返りによって落ちそうになることもありましたので、ワンサイズ上の大きさを選ぶのがおすすめです。
5. 通気性は?
睡眠中は汗や体温を放出するので、蒸れやすいマットレスはストレスを感じることも。メッシュ生地や、側面から排気できる構造など、通気性に工夫があるかどうかをチェックします。
なお、スプリングコイルならポケットコイルよりもオープンコイル(ボンネル・高密連続スプリング)の方が通気性が優れていると言われますが、実用上そこまで変わりません。
評価は「2.0」。
スプリングコイルタイプで、沈み込み(フィット感)も少ないため、通気性は高いと想像していましたが、意外に蒸れが気になりました。
おそらく、表面(ウレタンフォーム)が突っ張ることで、体に圧力がかかり、荷重が重い背中や臀部あたりに蒸れ感が強く出たのだと思います。
6. 耐久性は?
保証期間や耐久試験をベースにチェックします。また両面仕様で表裏のローテーションが可能な商品は加点します。一方、詰め物が多い商品は減点します(詰め物で多く使われてる綿やウレタンフォームはクッション材よりも早くヘタリやすいため)。
評価は「3.0」。
耐久試験の結果・スプリングの線種・ウレタンフォームの復元率などの情報は非公表です。
また、片面仕様なので表裏のローテーションができないという点はデメリットですが、保証期間が10年も付いているのは品質への自信とも考えられます。
とはいえ、判断が難しいため、3.0(ふつう)程度と評価します。
7. 衛生面は?
抗菌防臭や防ダニなどの加工の有無やそのレベルなど、衛生面に工夫があるかどうかをチェックします。
評価は「3.0」。
生地や素材に衛生加工(抗菌防臭や防ダニ等)はされていませんが、カバーは洗濯可能です。
カバーは上下で2分割になり、コンパクトに折りたためるため、ご家庭でも洗濯しやすいでしょう。
マットレスのカバーはなかなか乾きにくいこともあり、上下分割仕様はメンテナンスしやすい工夫と言えます。
8. 取り扱いやすさは?
持ち運びしやすいか、市販のボックスシーツ(多いのは30cmマチ)が入るサイズ感か、お届け時の梱包状態はどうか、捨てやすいかなどをチェックします。
特に力の弱い人は、厚すぎるマットレスを選んでしまうと移動するときに苦労することも多いです。
評価は「3.0」。
エマ・オリジナルV2の重量はシングルサイズで約18kg。一般的なマットレスの中では「ふつう」くらいです。
しかしながら、カバーに取っ手が付いているという気配りが素晴らしく、取り扱いのストレスが少ないです。
ただし、捨てやすさについては、スプリングコイルを使用しているため、基本的には粗大ゴミ扱いなので、捨てにくいです。
9. 価格は?
絶対的な価格と、マットレス市場の全体的な相場からチェックします。価格に応じた寝心地が実現されているかも大切なポイントで総合評価値につながります。
評価は「3.13」。
エマ・オリジナルV2はシングルサイズで99,000円で、これはマットレス市場全体で考えると「ふつうくらい」の価格帯です。
ポケットコイルの品質や片面仕様などを踏まえると、正直コストパフォーマンスはイマイチです。
また、寝心地面のデメリットもあり、少し手を伸ばせばエマ・ハイブリッドV2もあるため、当サイト的には「積極的には選ばないでも良いマットレス」と評価します。
10. 硬さは?
ウレタンフォームのN(ニュートン)数、綿のボリューム感、ポケットコイルの線径・巻き数等の仕様から客観的な硬さと、実際に寝たときに感じた主観的な硬さをお伝えします。
エマ・オリジナルV2は「やや硬め」くらいの寝心地です。
その理由は、以下の構造(硬さ)のためです。
層(厚さ) | 素材 | 硬さ |
---|---|---|
1層(2.5cm) | ウレタン | ハード(150N) |
2層(約20cm) | ポケットコイル | ややソフト |
1層目のウレタンフォームは150Nなので「しっかり硬め」の寝心地です。
2層目のポケットコイルは「ふんわりやわらかめ」です。
よって、沈み込みが深い場所(ポケットコイル層に到達する場所)はやわらかさを感じ、そうでない場所はハードウレタンが中心となって支えます。
結果的に、「やや硬め」くらいの寝心地に落ち着きます。
主観的な硬さの評価としては10段階中(10が最も硬いとして)、6くらいの硬さだと感じました。
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似たマットレスとの比較
エマ・オリジナルV2の似た仕様・条件のモデルとして、冒頭の【総評】でお伝えしたとおり、エマ・ハイブリッドV2、およびエマ・マットレスと比較するのが良いでしょう。
モデル | ①オリジナルV2 | ②ハイブリッドV2 | ③エマ・マットレス |
---|---|---|---|
画像 | |||
芯材 | ポケットコイル | ウレタンフォーム | |
厚さ | 22cm | 25cm | |
重量 | 約18kg | ||
構造 |
|
|
|
コイル数 | 480個 | ー | |
線径 | 1.8mm・2.0mm | ー | |
トライアル | 100日 | ||
保証 | 10年 | ||
価格 | 49,500円 | 133,000円 | 99,000円 |
リンク | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※重量・価格はシングルサイズ
この記事で書いてきたように、エマ・オリジナルV2は、エマ・スリープの中ではおすすめしにくいので、ハイブリッドV2かエマ・マットレスのどちらかでご検討いただくのが良いと思います。
なお、他メーカー製で考えた場合、「お試し期間付きのポケットコイルマットレス」という条件ならNELLマットレスが競合に当たるでしょう。
お試し期間が必須でなければ、源ベッド「夜香ハイグレード2」が当サイトの中でイチオシのポケットコイルマットレスなので、併せてご検討いただけますと幸いです。
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【実際の流れ】エマ・スリープの返品はどんな感じ?
当サイトでは実際にエマ・スリープ(エマ・マットレス)の返品体験を行いましたが、結論、すごく簡単でした。
エマ・スリープの返品手順は以下のとおりです。
手順 | 方法 |
---|---|
①返品依頼 | メール(公式サイト) |
②アンケートへの回答 | フォーム |
③回収業者との日程調節 | メール |
④回収当日 | 玄関先でマットレスを引き渡し |
⑤返金(終了) | メールで案内 |
回収当日の様子については以下の動画でご紹介しています。
返品に関する一連の流れは、以下の記事をご参考くださいね。
まとめ
いかがでしたか。
エマ・スリープの「エマ・オリジナルV2」をご紹介しました。
エマ・スリープのスプリングコイルマットレスの最安値グレードを目的に作られ、寝心地よりも価格を優先させた仕様といった印象です。
エマ・スリープが得意とする人間工学的なアプローチによる寝心地は、残念ながらほとんど感じられず、ポケットコイルならではの寝心地の良さも感じられませんでした。
強いて良いところ(メリット)を上げるとすれば、100日のお試し期間があることくらいでしょう。
しかしながら、エマ・スリープではすべてのマットレスに100日のお試し期間が付いてるので、試すなら同等の価格帯(セール時)のウレタンマットレス「エマ・マットレス」や、スプリングコイルタイプのハイグレードモデル「エマ・ハイブリッドV2」がおすすめです。
よって、この記事でご紹介したオリジナルV2は、メリットらしいメリットが見つからないマットレスという表現が正直なところです。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。