
ピロートップを選ぶ基準
体に触れた瞬間はふんわり。でも、沈んだところではしっかり支えてほしい。そんな人は、ピロートップのマットレスを検討してみてください。
ピロートップは、「マットレスの表面にクッション層を加えた仕様」です。ただし、付いていれば寝心地が良いとは限りません。中の素材と、その下にあるコイルによって寝心地は変わります。
私はベッドメーカーで100を超える商品の企画に関わり、独立後は多くのマットレスを検証してきました。実際に寝るだけでなく、中身を取り出して構造まで確かめています。
この記事では、ピロートップの寝心地や注意点、選び方、おすすめ商品をご紹介します。ぜひ参考にしてくださいね。
椚 大輔(くぬぎ だいすけ) ベッド・マットレス専門家。ベッドメーカーに勤務後、当サイトを開設。国内・海外メーカーへの取材を重ね、100商品以上のレビューを続ける。専門家としてTBS「ラヴィット!」、ビジネス誌「プレジデント」、楽天市場「マットレスの選び方」などの出演・監修も行う。> プロフィールはこちらピロートップは必要?

ピロートップを選ぶ基準は、シンプルな構成のマットレスでは寝心地に物足りなさを感じるかどうかです。「もっとボリューム感がほしい」と感じるなら、ピロートップから探すのは有効です。
ピロートップは、どちらかというと、ふんわりと包まれる寝心地の商品が多いです。体への当たりがソフトで、厚みのある寝心地が好きな人なら選ぶ価値があります。
| タイトトップ(一般的) | ピロートップ |
|---|---|
![]() |
![]() |
一方、しっかり硬めの寝心地が好きな人は、ピロートップがない「タイトトップ仕様(一般的な仕様)」の方が合いやすいでしょう。
ピロートップとは?特徴とメリット

ピロートップとは、マットレス本体の上にクッション層を重ねた仕様です。横から見ると、薄いマットレスがもう一枚載っているように見えます。
ピロートップは、簡単に言うと「詰め物をたくさん入れられるための仕様」です。
一般的なコイルマットレスでは得にくい「リッチな寝心地」
ピロートップは基本的に、スプリングコイルマットレスに使われます。スプリングだけでは作りにくい、ふんわり感やもっちり感、反発性などを加えるための仕様です。
触れた瞬間はふんわり。沈む途中では体に沿い、最後はコイルが支える。感触が段階的に変わることで、寝心地に奥行きが生まれます。

ピロートップ
詰め物にはさまざまな素材が使われますが、代表的なのは「ウレタンフォーム+綿」で、ふんわり、ふかふかとした寝心地を目指した商品が多いです。
また、ピロートップが付くとマットレスに厚みが出ます。立派に見えるため、高級ラインにも採用されやすい仕様です。
肩やお尻への当たりをやわらかくできる
ピロートップは、ソフトな方向で作られることが多い仕様です。表面の詰め物が沈み、肩やお尻など、体の出っ張った部分を受け止めます。
特に横向きでは、肩やお尻に荷重が集中します。その部分が適度に沈めば、圧迫感を抑えやすくなります。

ピロートップは表面のテンションが緩和されやすいので、横向きとの相性も良い
ただし、深く沈めばよいわけではありません。肩が入りやすくても、腰まで沈みすぎると体がくの字になります。体への当たりと、姿勢を支える感覚を両方確かめることが大切です。
コイルの存在感が薄まる
体とスプリングの間に厚い詰め物が入るため、コイルの細かな動きや弾む感覚が直接伝わりにくくなります。その結果、落ち着いた寝心地に感じやすくなります。

詰め物がたくさん入れられるので、コイルの当たりが気になりにくい
これは良し悪しではなく、好みの問題です。スプリングらしい弾力が好きな人は、ピロートップなしの方が合うこともあります。反対に、コイル特有の動きが気になる人は、ピロートップの方が落ち着く場合があります。
ピロートップのデメリット
詰め物がへたると、寝心地が変わりやすい
綿やウレタンは、使ううちに厚みや弾力が落ちます。コイルがまだ使える状態でも、表面の詰め物がへたれば寝心地は変わります。
特にピロートップは、厚い詰め物で寝心地を作る仕様です。詰め物の変化を感じやすいうえ、縫い付け式では、その部分だけを簡単に交換できません。

サータのソフトスイート 7.7などのピロートップモデルは着脱式で交換も可能
ただし、サータ「ソフトスイート7.7 リムーバブル1トップ」のように、交換用のトッパーが販売されている商品もあります。へたりが心配な人は、交換できるモデルを選ぶのがおすすめです。
蒸れや動きにくさを感じることがある
体が深く包まれると、寝返りを打ちにくく感じる場合があります。試すときは寝るだけでなく、仰向きから横向きへ動いてみてください。
また、やわらかいウレタンや綿で体を深く包むピロートップマットレスは、熱がこもりやすい傾向があります。暑がりの人は、背中に熱がこもらないかも確認しましょう。
厚く、重くなりやすい
ピロートップが付くと、マットレスは厚く、重くなりがちです。立ち座りのしやすさや、シーツ交換、ローテーションの負担まで考えて選びましょう。
失敗しないピロートップの選び方
寝心地の特徴は「素材」を見る

ピロートップ選びの肝は、「中の素材」です。素材と組み合わせによって、やわらかさ、反発性、フィット感、通気性は変わります。
| 素材・構造 | 寝心地の傾向 |
|---|---|
| 高反発ウレタン | 押し返す力が強く、沈み込みにくい。寝返りも打ちやすい。 |
| 低反発ウレタン | ゆっくり沈んで体に沿い、安定感や体圧分散性を高めやすい。 |
| 高触感ウレタン | もっちり、ふわっとした感触を作る。比較的高密度のタイプが多い。 |
| 多層ウレタン | 薄いウレタンを重ね、緻密に体を支える。繊細な寝心地を作りやすい。 |
| ファイバー | 通気性と反発性が高く、硬めの感触になりやすい。 |
| マイクロコイル | 小さなコイルが細かく動いて体に沿い、空気も通しやすい。 |
| 綿(ワタ) | シリコン綿やポリエステル綿など。ふわっとした感触を作る。 |
実際には、複数の素材を重ねて寝心地を作ります。何が、どの順番と厚さで入っているかを見ると、その商品の方向性がわかります。
ふんわりした商品が多いものの、すべてではありません。高反発ウレタンやファイバーを使った商品は、「思ったより硬い」と感じることもあります。
支え感は「コイルの仕様」を見る

ピロートップの下で体を支えるコイルも重要です。しかし、線径、配列、巻き数、圧縮率などが関わるため、数値だけで判断するのは簡単ではありません。
たとえば、中密度タイプ(シングルサイズで450個前後)を例にすると、同程度のコイル数なら、線径1.8mm以下はしなやかで沈みやすく、1.9mm以上はしっかりして沈みにくい傾向があります。
ただし、硬さは線径だけでは決まりません。迷ったときは、同じブランドの同じスプリングを使った「ピロートップが付いていないモデル」の寝心地の説明や口コミなど確認しましょう。スプリングの特徴が読み取れることもあります。
両面仕様か片面仕様か

両面・片面で違うのは、ローテーションと寝心地です。低価格帯では片面仕様、高級価格帯では両面仕様が多く見られます。
両面仕様は、表裏にピロートップがあり、どちらの面でも寝られます。定期的に裏返す(ローテーションする)ことで、詰め物のヘタリを均すことができ、長く使いやすいです。
また、私の経験上、両面仕様はコイルの上下にクッション性があるため、コイルに圧力がかかりにくく、なめらかな寝心地になりやすいです。
重量と厚さを見る

ピロートップマットレスは、詰め物をたくさん使う分、重くなりやすいです。現実的に移動ができるかも想定しておきましょう。ちなみに私の場合、一人で30kgまでなら、簡単な移動やローテーションにストレスは感じません。
厚さが30cmを超えてくると市販のボックスシーツが入らないこともあります。また、ベッドに載せたときの高さにも注意です。端に座ったときに足が床へ届くか、立ち上がりやすいかも大切です。
ピロートップとユーロトップ(ボックストップ)との違い
| ピロートップ | ユーロトップ(ボックストップ) |
|---|---|
![]() |
![]() |
| ボトムとの間にくびれがある | ボトムと一体的な仕上げ |
ピロートップは、表面にかかるテンションを緩和することが特徴のひとつです。

ピロートップやユーロトップは、表面にかかるテンションを緩和できる
ユーロトップ(ボックストップ)はピロートップよりもテンションが緩和しやすいです。これはボックスの高さや中身の詰め物の組み合わせの自由度が高いためです。
なお、シーリーなどでは、合わせ技で「ユーロピロートップ(EPT)」という仕様もあります。簡単に言えば、ユーロトップにピロートップのような本体の境目にくびれを作った構造です。
ピロートップは別売り・後付けできる?
ピロートップは、基本的に後付けするものではありません。 交換用として作られた一部の商品を除き、マットレス本体とセットで寝心地を作ります。
なお、ピロートップ風のマットレスを作るために、マットレストッパーを敷くという手段もあります。

マットレストッパー(マットレスの上に敷いて寝心地を調整するもの)
しかし、以下のとおり、そもそもの目的が異なるので、同じような一体感などは得にくいです。
| 比較項目 | ピロートップマットレス | 一般的なマットレス+トッパー |
|---|---|---|
| 目的 | 一般的なコイルマットレスでは作りにくい寝心地を表現する | 今のマットレスの寝心地を調整する |
| 設計 | コイルから表面の素材まで、一台として組み合わせる | 完成したマットレスに別の商品を重ねる |
| 寝心地 | ふんわり、ふかふか、もちもちした感触が代表的 | 素材と、下のマットレスとの相性で変わる |
| 交換 | 縫い付け式はピロートップだけを交換しにくい | トッパーだけを買い替えられる |
トッパーを使うなら、まず「何を変えたいか」を決めましょう。圧迫感をやわらげたいならフィット感の高い素材、押し返す力がほしいなら反発性の高い素材が候補です。
ただし、本体がへたっている場合は別です。トッパーを重ねても、土台のへたりは直りません。
おすすめのピロートップマットレス4選
| おすすめ商品 | 寝心地の方向性 |
|---|---|
| HOLLOW | やわらかく包まれる感触 |
| 咲夜No Way! | ふんわり感と強い反発を両立 |
| ソフトスイート7.7 リムーバブル1トップ | ふんわりした感触と、交換できるピロートップ |
| ビューティレストセレクション・ゴールデンバリューピロートップ | しっかりした支えにクッション性を追加 |
エアリゾーム「HOLLOW」
約2万円で味わう、王道のふかふか感
HOLLOWは、「ピロートップといえば、こんな寝心地」と思える、ふんわりふかふか系のマットレスです。これが約2万円で買えることに驚きます。
使われている素材の品質は、低価格帯らしいものです。一方、綿やウレタン、ポケットコイルの組み合わせは悪くなく、やわらかさと支えのバランスが取れています。
デメリットは、高級なピロートップにある寝心地の奥行きや、素材の上質さまでは得にくいことです。耐久性や通気性を重視する人にも合いにくいでしょう。
ふんわり包まれる寝心地が好きで、価格はなるべく抑えたい。高級感より、わかりやすいふかふか感を求める人におすすめです。
| サイズ | シングル~クイーン |
|---|---|
| 詰め物 | ウレタンフォーム、綿 |
| 厚さ | 23cm |
| 仕様 | 片面 |
| 重量 (シングル) |
約21kg |
| 価格 (シングル) |
22,530円 |
源ベッド「咲夜No Way!」
押し上げて、ふわっと支える
咲夜No Way!は、源ベッドの社長さんが試作品に寝た瞬間、思わず「No Way!(まさか!)」と感じたという、同社史上最高傑作のマットレスです。
キーワードは「反発力の高さ」。ぎゅっと縮めた圧縮率の高いポケットコイルと、超高弾性ウレタンフォームが、体をグググッと押し上げます。さらに、表層の大量の綿が体をふわっと包む。この組み合わせが、特有の浮遊感を生みます。
一方、「包み込まれるような、ふんわりとした寝心地」をイメージすると、合わないかもしれません。ふわっとしているが、芯がある。そんな、しっかり系のピロートップが欲しい人にぴったりです。なお、硬さは「ジャスト」と「キープ」の2種類から選べます。
| サイズ | シングル~クイーン |
|---|---|
| 詰め物 | 高弾性ウレタンフォーム、抗菌綿 |
| 厚さ | 27cm |
| 仕様 | 片面 |
| 重量 (シングル) |
ジャスト:約33kg キープ:約36kg |
| 価格 (シングル) |
74,990円 |
サータ「ソフトスイート7.7 リムーバブル1トップ」

ピロートップを交換できる
ソフトスイート7.7 リムーバブル1トップは、珍しい脱着式のピロートップマットレスです。へたりが気になったら、ピロートップだけを交換できます。
基本的な寝心地は、「きめ細かでしなやか」という言葉がぴったり。ソフトな高弾性フォームを使い、細い線径のコイルで支えます。また、サータといえばゾーニングです。この商品も、体の部位に合わせた5ゾーンで支えます。こうした構造によって、きめ細かさとしなやかさを感じられます。
少し気になったのは、ピロートップを固定するファスナー部分に、やや違和感があったことです。端にあるため、一台で使うならそこまで気にする必要はありません。ただし、二台を並べて中央付近で寝る人は注意してください。
ピロートップのへたりが心配な人や、季節に合わせて寝心地を変えたい人におすすめです。
| サイズ | シングル~クイーン |
|---|---|
| 詰め物 | 高弾性ソフトウレタンフォーム、抗菌綿 |
| 厚さ | 34.5cm |
| 仕様 | 片面 |
| 重量 (シングル) |
非公表 |
| 価格 (シングル) |
264,000円 |
シモンズ「ビューティレストセレクション・ゴールデンバリューピロートップ」
ホテルで感じた寝心地を、選びやすい価格で
ビューティレストセレクション・ゴールデンバリューピロートップは、シモンズのスタンダードモデルをもとに、表面の生地や詰め物などを見直したモデルです。
6.5インチ・線径1.9mmのポケットコイルを使用。しっかりした支えに、両面のピロートップによるクッション性を加えています。私が試した印象では、ホテルに導入されているシモンズ製マットレスに近い、安定感とやわらかさのバランスを感じました。
一方、上位シリーズに比べると、側生地や表面の仕上げが簡素です。ホテルで寝たシモンズの寝心地が気に入り、同じような支えと包まれ感を求める人に合います。上位モデルより価格を抑えながら、シモンズらしい寝心地を楽しめることがメリットです。
| サイズ | シングル~クイーン |
|---|---|
| 詰め物 | 高弾性ソフトウレタンフォーム、抗菌綿 |
| 厚さ | 26.5cm |
| 仕様 | 両面 |
| 重量 (シングル) |
非公表 |
| 価格 (シングル) |
209,000円 |
まとめ

ピロートップは、コイルマットレスの上に厚みのあるクッション層を加えた仕様です。一般的なコイルマットレスでは作りにくい、ふんわり感やもっちり感、奥行きのある寝心地を表現できます。
ただし、ピロートップが付いていれば、必ずやわらかいとは限りません。寝心地は、詰め物の素材と、その下から支えるコイルによって変わります。特に、中に使われている素材をよく確認してください。
体への当たりがソフトで、ボリュームのある寝心地が好きな人にはおすすめです。一方、しっかり硬めの寝心地や、コイルの弾力を直接感じたい人には、タイトトップ仕様の方が合いやすいでしょう。
素材とコイルに加え、片面・両面仕様、重さ、厚さまで確認すると、自分に合うピロートップマットレスを選びやすくなります。








