マットレス

マットレスを買う前に、ぜひご一読いただきたい

マットレスの販売ページや特集記事などには間違った説明をされていることがあるので、注意が必要です。

良いことばかり書いてある販売ページに惑わされることなく、あなたのマットレス選びが満足いくものになるよう、ベッドメーカーに勤めていた筆者がマットレス選びの「真常識」をご紹介します。

この記事ではマットレスの販売ページでよくセールスポイントとされている以下の4つの誤解しやすい罠について詳しく解説します。

マットレス選びの4つの誤解

  1. 体圧分散性が高い=良い寝心地
  2. 並行配列は通気性が良い
  3. 高価=良い
  4. 口コミ評価

・・・これらをまともに信じてしまうとマットレス選びを失敗する可能性があります

この記事を書いた人

管理人椚大輔(株式会社悠デザイン代表)。ベッドメーカーに7年ほど勤めた後、当サイトを運営。国内・海外メーカーへの取材を重ね、レビューした商品は100を超える。ベッド・マットレスの専門家としてビジネス誌「プレジデント」や「gooランキング(NTTグループ)」などの記事監修・情報提供も行う。

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間違い① 体圧分散性が高い=良い寝心地

体圧分布図(某小売店)
体圧分布図(某小売店より)
体圧分散の説明
↑右上の説明文の拡大図

マットレスを探していると必ずと言っていいほど「体圧分散(たいあつぶんさん)」という言葉を見かけると思います。

そして、「このマットレスは体圧分散性が高いから寝心地が良いです」などとアピールするお店が多いですが、まずこれが間違いのひとつなのです。

結論から言うと、「体圧分散の主張は、寝心地の良し悪しを語るものではないので、無視して良い」です。

体圧分散とは?

体圧とは「マットレスから体にかかる圧力」のこと。そして、マットレスからの圧力を分散させることを「体圧分散」と言います。

体圧と体圧分散

なぜ体圧分散が必要か?

体圧分散が必要な理由は、体圧がきちんと分散されていない状態を考えるとわかりやすいでしょう。

例えば、コンクリートの上に裸で寝てみるとします。これはほぼ体圧分散されていない状態です。

体圧が分散されないと、大きな圧力がかかる背中やお尻の部分の血液が滞り、うっ血状態となります。

そして、うっ血状態を防ぐために人は寝返りを打つのですが、大すぎる圧力は寝返りの回数を増やし、結果として睡眠が妨げられるのです。

つまり、余計な寝返りを減らすことが体圧分散が必要な理由のひとつなのです。

「だったら、寝返りしないように完璧に体圧分散をさせるマットレスが、良いマットレスなのではないか?

という発想が誤解のもとなのです。

体圧分散が高すぎるとどうなるか?

(完璧な体圧分散は現実的には考えにくいので、例え話になります)

例えば、特大のお餅の中に寝てみるとしましょう。これはかなり体圧分散性が高い状態です。するとどうなるでしょう?

たしかに血液の滞りは少なくなりますが、体感としては気持ち悪くて眠れません。

体圧分散されすぎると気持ち悪い

人間の体は敏感なところと鈍感なところがあり、圧力がかかりやすいところは鈍感にできています。

そして、感度が違うのにも関わらず、均一に圧力を分散してしまうと感覚的には気持ち悪くて眠れないということになります。

また、極限に体圧分散性を高めたマットレスは重たい所が沈み込むので寝姿勢としてもグズグズになります。

よって、圧力を適度に分散する体圧分散性が好ましいのです。

体圧は人によって違うし、同じ人でも状況によって変わる

体圧は人によって違います。

しかも、同じ人(自分自身)でも精神状態や疲れ等によって、体圧は刻一刻と変わっていくことが実験でわかっています。

つまり、これは何を意味するかというと、

「万人におすすめのマットレスなんかない」

ということです。

大切なのは「調整できる」こと

自分自身でも体圧分散が変わるとなると、いくら試して購入しても本当に自分にぴったりのマットレスを選ぶのはとても難しいですよね。

そのため、マットレス選びで大切なのは「調節できる」ことです。

「少し硬め」が無難

あとから硬さを調節できるため、少し硬めのマットレスがおすすめです。

硬いと感じたらベッドパッドなどで簡単に調節が可能です。

やわらかいマットレスは調節困難

逆にやわらかすぎるマットレスは後から硬く調節することが困難です。

店舗で試して高級なマットレスを買ったのに実際寝てみたらやわらかすぎた、でも調整ができなくて苦労したという人の話はよく聞きます。

よって、後から調整できる少し硬めのマットレスを選ぶことが無難なのです。

マットレスの層の役割

ポケットコイルなどのスプリングコイルマットレスの断面は上から

  • 側地(ガワジ)
  • 詰め物
  • クッション層

になっています。(メーカーによって呼び方は変わります)

スプリングコイルマットレスの構造
スプリングコイルマットレスの構造

この中で体圧分散を主に担っているのは真ん中の「詰め物」層です。

コイルなどのクッション層部分は体圧分散ではなく、主に荷重分散を担っています。

マットレスの断面と機能

荷重とは「マットレスにかかる体の重さ」のことです(体圧と逆向き)。

荷重分散性は主にマットレスの耐久性や反発性に影響があります。例えば、コイルの数が少ないマットレスは部分的な耐久性が低く、ヘタリやすいのです。

また、クッション層が薄いマットレスは底付き感を感じやすいでしょう。

メーカーによって見解は異なる

一方、「クッション層で体圧分散を行う」という理論を展開しているメーカーもあります。たとえば超有名メーカーである「シモンズ」がそのひとつです。

シモンズは世界で初めてポケットコイルマットレスの商業化に成功した伝統あるメーカーです。

ポケットコイルの品質が良いため、詰め物をできるだけ薄くし、ポケットコイルで体圧分散をさせるという理論を展開しています。

一般的に詰め物の方が、相当早くヘタると言われるため、ポケットコイルで体圧分散ができるのはメリットが高いです。故にシモンズは数あるベッドメーカーの中でも高級な価格設定になっています。

理想的な体圧分散性とは?

実は「どれくらいの体圧分散性が身体に良いか?」というメカニズムまで踏み込んだエビデンスは存在しません

よって、体圧分散性のアピールは単なるセールスロジックと思った方が良いでしょう。

ただ単に「こういう体圧分散のデータの人がこういうマットレスで寝たらこうだった」というだけのことで、当たり前ですがそのデータは全員には当てはまりません

本当に良いマットレスとは、「自分にとって適度な」体圧分散をするマットレスです。

なので、後から調節できるよう少し硬めを選んだり、無料で試せるマットレスを選ぶことがおすすめです。

間違い② 並行配列は通気性が良い

並行配列と交互配列

ポケットコイルマットレスのコイルの配列は「並行配列」と「交互配列」があります。

並行配列のメリットを「隙間があるから通気性が良い(だからカビにくい)」という説明をよく見ますが、「交互配列」がカビやすいということは実用上ありません。

なぜ、このように並行配列をアピールしているかというと、交互配列は高密度になりやすく、故にたくさんコイルを使用するハイグレードマットレスになる傾向があるからです。

そのため、低価格商品に採用されている並行配列のメリットを苦し紛れにひねり出した訴求のように思えます。(「あえて並行配列が良い」ということを伝えるための)

並行配列と交互配列の特徴

並行配列と交互配列の特徴を正確にまとめると下記の通りです。

並行配列

並行配列
並行配列
  • やわらかい寝心地になりやすい
  • バネの動きが出るため、寝返りのサポート力がある
  • 部分的な耐久性が低い

交互配列

交互配列
交互配列
  • 硬めの寝心地になりやすい
  • 高密度で作れるため、体にフィットしやすい
  • 部分的な耐久性が高い

なお、マットレスの硬さについては、配列の方法以外にもバネの線径や高さ、詰め物の質・量などによって大きく左右されます。

ポケットコイルマットレスの仕様の違いや特徴、おすすめ商品は以下の記事でご紹介しているので、よければご参考くださいね。

間違い③ 高価=良い

高いお金を払えば最高のマットレスが手に入るかといえばそうでもありません。

大切なのは「自分にとって良いマットレスとは何か?」を考えることです。

高価格なマットレスはソフトタイプが多い

有名マットレスメーカーのラインアップをよく見ると、高級ラインはソフトな寝心地のタイプが多いです。

なぜかというと、コイルを二重(ダブルスプリング)にしたり、詰め物の量を増やしたり(ピロートップなどに)することで、値段が高くなるからです。

日本人には硬め、欧米人にはやわらかめが好まれる

マットレスの硬さを選ぶときに、基準となるのは体型です。

男性より女性の方がソフトタイプが合いやすいと言われますが、その理由は女性の方が体のラインがはっきりしているからです。

そして日本人より欧米人の方が体のラインがはっきりしている(ふくよかな人が多い)ので、欧米人にはソフトタイプが好まれる傾向があります。

つまり、あくまで一般論ですが、日本人の標準体型の人はハイグレードなマットレスでなくても(ないほうが)自分に合った寝心地のマットレスになる可能性が高いのです。

間違い④ 口コミ評価

マットレスは実際に睡眠し、且つ数週間使ってみないと体に合うかどうか判断が難しいので、実店舗で寝て試しても失敗するリスクがあります。

そこで頼りになるが(通販サイトなどで掲載されている)口コミです。

口コミも見方によってはとても参考になりますが、単に評価が良いだけだと失敗するリスクがあるので注意が必要です。

自分と同じような体型の人による口コミか

星の数だけで評価をするは危険です。

例えばあなたが身長190cm・体重100kgの大柄な男性だとしましょう。

そこで下記のような口コミを見たとします。

商品:○○マットレス

 

評価:★★★★★

 

口コミ:

  • 包まれるような寝心地で子どもが大満足!(37歳・主婦)
  • 雲の上のような寝心地で疲れも取れます!(23歳・女性)
  • 満足ですが、もう少し硬い方が良いかも(28歳・男性)

お察しのとおり、大柄な男性の設定であるあなたにとっておそらくこのマットレスは合わない可能性が高いでしょう。

口コミは評価の点数だけを見てすぐ判断してしまう人も多いのではないでしょうか。

しかし、特にマットレスを買おうとしてる場合、その口コミを書いている人がどんな体型の人なのか、少し想像力を働かせて見ることをおすすめします。

この口コミがあるマットレスは避けた方が良い

寝心地の好みは人それぞれなので、口コミから読み解くのは難しいですが、いくつか絶対的に避けた方が良いワードがあります。

避けるべき3つのワード

「底付き感がある」

底付き感とは、寝た時に床を感じることです。コイルの数が極端に少なかったり、薄すぎるマットレスはこの傾向があり、当然寝心地は悪くなります。

経年劣化で底付き感を感じることは安価なマットレスに多いですが、買ってすぐに底付き感を感じるマットレスはやめた方が良いでしょう。

「バネを感じる」

寝たときにバネの存在を強く感じることを「バネ当たり」と言います。

詰め物が極端に薄かったり、バネ自体の品質が悪いとバネ当たりを感じることがあります。

バネ当たりを感じると寝心地があまり良くないのでおすすめできません。

「やわらかすぎる」が多数

硬さの好みは人それぞれですが、「やわらかすぎる」という口コミがあまりに多数だと注意が必要です。

一般的な日本人の体型・寝姿勢においては、やわらかすぎるマットレスは合いにくいです。

自分はやわらかいマットレスがすごく快眠できるんだ!と確信している人以外はあまりおすすめできません。

最後に

自分にぴったり合ったマットレスを選ぶのはとても難しいことです。

あまり低価格すぎるマットレスには特にご注意ください。

ざっくりですが、予算で考えるとシングルサイズで、2~3万円台くらいから満足できる寝心地の商品が増えてきます(1万円以下では稀。5万円くらいから安心感がでてきます)。

当サイトではメーカー各社へ取材させていただいり、多くのマットレスのレビューを行っております。

こんな環境でマットレスのレビューを行っています
こんな環境でマットレスのレビューをしてます

そうした経験を元に、失敗しないマットレスの選び方、および予算ごとのおすすめ商品を以下の記事でまとめているので、ご参考いただけますと幸いです。

最後までお読みいただき誠にありがとうございました。