マットレスに荷重をかける

ヘタリにくさは、仕様と価格で選ぶ

ヘタリとは、使い続けるうちに厚さが元に戻らないことです。

特に、荷重が集中する背中やお尻はヘタリやすい場所です。厚さが戻らないと寝心地の低下につながります。

この記事では、ベッドメーカーで働き、マットレスを寝比べ、中身まで確かめてきた経験から、ヘタリにくい商品の見分け方をご紹介します。ぜひ参考にしてくださいね。

著者情報 椚大輔 椚 大輔(くぬぎ だいすけ) ベッド・マットレス専門家。ベッドメーカーに勤務後、当サイトを開設。国内・海外メーカーへの取材を重ね、100商品以上のレビューを続ける。専門家としてTBS「ラヴィット!」、ビジネス誌「プレジデント」、楽天市場「マットレスの選び方」などの出演・監修も行う。> プロフィールはこちら
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まず覚えてほしいのが「復元率」

マットレス

復元率とは、繰り返し圧縮したあと、元の厚みに対してどれくらい厚さが残ったかを示す数値のこと。ウレタンマットレスでは、JIS規格(JIS K 6400-4)に基づく8万回の圧縮試験で計測します。

たとえば、厚みが3%減れば、復元率は97%。要するに、何度も押したあとに、どれだけ厚みを保てたか。ヘタリにくさを比較するときの、わかりやすい判断材料です。

主にウレタンマットレスで使われ、ファイバーでも公表している商品があります。

一方、スプリングコイルマットレスは、バネと綿、ウレタンなどを組み合わせたもの。詰め物のウレタンに復元率があっても、それだけで完成品全体のヘタリにくさは判断できません。

長く使いたい人は、安さだけで選ばない

コアラマットレス

復元率は重要ですが、この数値だけで何年使えるかまではわかりません。

復元率の試験は、決められた条件で集中的に圧縮するものです。長年使う間の温度や湿度、汗、素材の経年劣化まで、そのまま再現しているわけではありません。

そこで私は、素材や構造に加えて、価格も見ます。経験上、価格と耐久性にはある程度の関係があります。数千円の商品を、復元率97%以上だからと長く使えるつもりで買うのは、慎重に考えたいところです。

ヘタリにくい仕様を備えたうえで、長く使うなら最低でもシングルで3万円以上が目安。仕様と価格の合わせ技。 これが、私が考える失敗を減らしやすい選び方です。

【結論】ヘタリにくいマットレスの特徴はこの2つ

価格以外に、私が考える「ヘタリにくいマットレス」の特徴は次の2点です。

  • 復元率が高く、密度もしっかりしたウレタンマットレス
  • 詰め物の品質にも配慮した、両面仕様のスプリングコイルマットレス

ウレタンは「復元率と密度」を見る

高密度ウレタンフォーム

私は、復元率97%以上を一つの目安にします。合わせて確認したいのが、ウレタンの「密度」です。

密度は、同じ大きさのウレタンがどれくらい重いかを表す数値。たとえば30Dは、1立方メートルあたり30kgという意味です。基本的に、同じ種類なら高密度ほどヘタリにくい傾向があります。

普段使いは30D以上、耐久性重視なら40D以上が私の基準です。

多層タイプでは、全層が40D以上かではなく、各層の密度や厚さ、役割を見ます。体を受ける表層と、その下で支える層の組み合わせで判断する、ということです。

→ウレタンの密度について

スプリングは「詰め物と両面仕様」を見る

詰め物

スプリングコイルマットレスは、基本的に、バネの上に綿やウレタンなどの詰め物を重ねた構造です。

私がバネより先に気にするのが、この詰め物。バネが丈夫でも、表面のクッションがへたれば、寝心地が低下します。

そこで注目したいのが、表裏のどちらでも寝られる「両面仕様」です。定期的に裏返すことで、同じ面の詰め物を使い続けずに済み、消耗の偏りを抑えやすくなります。

両面仕様と片面仕様

両面仕様と片面仕様

もちろん、バネ自体の品質も、寝心地を長く保てるかに関わります。ポケットコイルなら、線材の品質や圧縮率なども確認したいところ。バネの支える力が変われば、詰め物が傷んでいなくても寝心地は変わります。

ただし、コイル数やバネの太さなど、一つの仕様だけで耐久性の優劣は決められません。私は、詰め物の品質と両面仕様をまず確認し、バネの仕様も合わせて判断しています。

ヘタリにくいマットレスとして基準になる3モデル

薄型ならSOMRESTA、スプリングなら夜香ハイグレード2、厚みのあるウレタンならコアラプラス。この3商品を比較の基準にしてみてください。

商品 注目したい点
SOMRESTAマットレスPREMIUM 密度50D、24万回圧縮後の復元率99.6%
夜香ハイグレード2 両面仕様、詰め物とバネの品質
コアラマットレス PLUS[2nd Gen] 復元率99.23%、120日トライアル付き

1. SOMRESTAマットレスPREMIUM

ソムレスタマットレス

JIS規定の3倍でも復元率99.6%

厚さ10cmの薄型ウレタンマットレスです。一枚ものですが折りたためるため、敷布団のように扱いたい人にも候補になります。

最大の特徴は、密度50Dの芯材。さらに、JIS規定の3倍にあたる24万回の圧縮試験で、復元率99.6%という結果です。これは、私が知る限りトップレベルの復元率の高さです。

寝心地は、ふっくらしたカバーの奥で芯材がしっかり支える感触。薄型でも、安定した支えと寝返りのしやすさを求める人に合いやすいと思います。

芯材 ウレタンフォーム
復元率 99.6%(24万回※JISの3倍)
硬さ やや硬め
価格
(Sサイズ)
49,900円

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2. 源ベッド「夜香ハイグレード2」

源ベッド「日本製ポケットコイルマットレス(夜香ハイグレード2)」

高品質なバネと、両面仕様

源ベッドが国内の自社工場でバネから作る、ポケットコイルマットレスです。硬さはソフト・レギュラー・ハードの3種類から選べます。

評価したいのは、両面仕様に加え、詰め物にも日本製の高密度ウレタンを使っていること。表裏を使えるだけでなく、目立たない中身にも配慮されています。

バネには品質の高い硬鋼線を使い、圧縮率も約34%と高めです。圧縮率は、バネをどれくらい縮めて袋に入れているかを示す数値。バネがしっかり押し返す寝心地にもつながっています。耐久性は、詰め物を含めた作りで評価しています。

すべての硬さを体験しましたが、レギュラーは「これぞスタンダードな寝心地!」という印象でした。

芯材 ポケットコイル
復元率 -
硬さ 選べる(ソフト・レギュラー・ハード)
※レギュラーで「やや硬め」
価格
(Sサイズ)
38,990円

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3. コアラマットレス PLUS[2nd Gen]

コアラマットレス PLUS [2nd Gen]

高い復元率で120日トライアル付き

コアラは、トライアル付きマットレスを日本で広めたパイオニア的なブランド。その基準となるモデルがコアラマットレス PLUS[2nd Gen]です。

ヘタリにくさで注目したいのは、トッパー層のウレタン。私の推定では約50D、その下の層も30D程度です。体に近い層を高密度にし、下層で支える組み合わせを評価しています。

ただし、商品だけで比べると割高に感じるかもしれません。コアラは、基本的に返品送料がかからない120日トライアルまで含めて選ぶマットレスです。

寝心地は、振動が伝わりにくく、モチモチした静かな感触。トッパーを裏返せば硬さも変えられます。自宅で試せる。硬さを変えられる。合わなければ返品できる。 素材の作りに加え、購入後の失敗を減らす仕組みも魅力です。

芯材 ウレタンフォーム
復元率 99.23%
硬さ ふつう~やや硬め
価格
(Sサイズ)
99,900円

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逆に、ヘタリが心配な仕様とは?

ヘタリにくいものを探すときは、「ヘタリが心配な作りを避ける」という考え方もあります。私が慎重に見るのは、次の3つです。

詰め物の品質が気になる、片面仕様のスプリング

格安のピロートップマットレス

低価格帯のピロートップマットレスなどは、購入時のふかふか感だけで決めない方がよいでしょう。表面に綿やウレタンをたっぷり重ねた商品では、その素材の品質が重要です。

詰め物が厚いこと自体は悪くありません。しかし、ヘタリやすい素材をふんだんに使い、裏返せない作りなら、表面の変化が寝心地に出やすくなります。

復元率と密度が低いウレタン

ウレタンフォーム

私の経験上、復元率96%以下になると、長く使ううえで気になる商品が増えます。密度も低い場合は、特に慎重に見たいところです。

ただし、96%と97%で品質が明確に分かれるわけではありません。数値ひとつで切り分けず、密度や価格も合わせて判断します。

ファイバーは、「ヘタリにくさ」の第一候補にしない

ファイバー

私が知る限り、ファイバーはウレタンより復元率が低めの傾向があります。そのため、ヘタリにくさが最優先なら、私は第一候補にはしません。

一方、通気性や反発性の高さというメリットはあります。蒸れにくさや寝返りの打ちやすさを重視する人には、候補になる素材です。

ヘタリにくさと耐久性の違い

ポケットコイル

ヘタリは耐久性の一部です。マットレスの劣化には、硬さや反発性の低下、バネの擦れ、ポケットコイルの袋の傷みなどもあります。

たとえば、厚みが残っていても、以前よりやわらかくなれば、体の支え方は変わります。つまり、復元率が高いだけで、寝心地まで長く保てるとは限りません。

だからこそ、私は価格も見ます。経験上、素材や構造にコストをかけた商品ほど、こうした劣化にも配慮した作りが多いと感じるからです。

5~10年といった長いスパンで使いたいと考えた場合、私ならシングルサイズで3万円以上という予算を目安にして選びます。

→【1~3万円台】マットレスのおすすめ

→【5~10万円前後】マットレスのおすすめ

まとめ

安めのマットレス

ウレタンは「復元率と密度」、スプリングは「詰め物やコイルの品質と両面仕様」。そこに「価格(シングルで3万円以上が目安)」を合わせて判断する。これが、私のヘタリにくいマットレスの選び方です。

ただ、ヘタリにくくても、寝にくければ意味がありません。使っている間の寝心地と耐久性も重要です。長持ちしそうか、気持ちよく寝られそうか。この両方を見て選んでくださいね。

→私のおすすめマットレスはこちら