アイリスのポケットコイルマットレスシリーズ
この記事ではアイリスオーヤマの「シープマットレス(厚さ25cm)」をご紹介します。
今回はレビューのために、商品を自費購入しました。
実際の体験・検証・調査を踏まえて、良いところだけでなく、悪いと思ったところも素直に書いているので、ぜひご参考くださいね。
当サイトではレビュー記事を作成するにあたり、撮影スタジオを作り、セットの中で商品を徹底的に体験・検証しています。一般的な家の雰囲気と異なるのはそのためです。
この記事を書いた人
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目次
シープマットレス(PMTS25N)の基本情報
メーカー | アイリスオーヤマ |
---|---|
サイズ | シングル~ダブル |
クッション材 | ポケットコイル ※圧縮梱包 |
価格 | 27,800円~ |
Sheep(シープ)とは
Sheepとは、アイリスオーヤマのスプリングコイルを使用したマットレスシリーズです。
なお、アイリスオーヤマにはもうひとつ「Airy(エアリー)」というマットレスシリーズがあります。
エアリーは芯材にファイバー素材を使用していることが特徴です。
シリーズ | Sheep | エアリー |
---|---|---|
画像 | ||
芯材 | ポケットコイル | ファイバー(エアロキューブ®) |
特徴 | ベッドマットレスが中心 | 薄型マットレスが中心 |
シープマットレスの種類
シープのマットレスは全部で9種類で、「かため」「ふつう」「ピロートップ(やわらかめ)」の3つ硬さから選ぶのが基本です。
そして、「かため」「ふつう」「ピロートップ(やわらかめ)」には、それぞれ代表的な基準となるモデルがあるので、まずは以下の3つから検討しましょう。
硬さ | かため | ふつう | ピロートップ |
---|---|---|---|
基準モデル(型番) | PMTS30H | PMTS25N(本記事のモデル) | PMTS23PN |
画像 | |||
詳細 | 公式通販 | 公式通販 | 公式通販 |
上の表のとおり、本記事でレビューする「PMTS25N」は、「ふつう」の硬さの基準モデルのため、すべてのシープマットレスで基準になるモデルと言えるでしょう。
要するに、PMTS25Nは、まず最初に検討するモデルとも言えるので、この記事で特徴を理解したうえで、自分の好みを考え、決めていくことがシープマットレスの失敗しない選び方だと思います。
シープマットレスの選び方はこの記事の後半で詳しくご紹介しています。
【まず結論】このマットレスの評価は?
当記事では以下のような項目をチェックし、商品を評価しております。
- 寝姿勢による寝心地は?(仰向き・横向き)
- 寝返りのしやすさは?
- 通気性が良いか?(ムレを感じないか)
- クッション材の品質はどうか?
- 詰め物の質感・ボリュームはどうか?
- バネ当たりや底付きがないか?
- 価格相応の寝心地と言えるか?
始めに結論からお伝えすると、体験を通じ本商品を以下のように評価させていただきました。
▼ シープマットレス(PMTS25N)の評価 | |
---|---|
総合評価 | 3.44 |
仰向き寝 | 3.0 |
横向き寝 | 3.5 |
端の沈み込み | 4.0 |
通気性 | 1.5 |
寝返り | 4.0 |
底付きのなさ | 3.0 |
バネ当たりのなさ | 4.0 |
耐久性 | 3.0 |
衛生面 | 4.0 |
取り扱いやすさ | 2.0 |
価格 | 3.79 |
硬さ | ふつう |
※目安は「3.50」以上が高評価です。
【総評】横向きが快適(蒸れやすいが、コスパは優秀)
本商品(PMTS25N)は、中間的な硬さ(「ふつう」のど真ん中)を目指したモデルです。
実際の寝心地としても、まさに「ふつう」で、中間的な硬さが表現されています。
ただし、芯材のポケットコイルがしなやかすぎる(沈み込みやすい)ため、荷重が重い場所(背中や臀部)がグッと落ち込むような感覚がありました。
こうした感覚は、仰向きでは少し違和感を覚えますが、(適度に圧力を分散してくれるため)横向きでは圧迫感が少なく快適です。
また、詰め物層が分厚く、高反発素材のラテックスが入っていることで、寝姿勢保持性も良く、滑らかで安定感がある寝心地でした。
ただし、ラテックスは水分をほぼ吸収しない素材のため、蒸れやすさが最大のデメリットです。
本商品でも同様のデメリットは感じられ、5~10分寝ていると、蒸れが気になるようになっていきました。
近年、ラテックスマットレスは、ウレタンマットレスにシェアを奪われ減少傾向です。
その理由は原料不足(高騰)と聞いていますが、「蒸れが回避しにくい」という点も、人気が下火の理由だと思います(特に日本は高温多湿なので、蒸れやすいマットレスは選ばれにくいでしょう)。
とはいえ、ボリューム感がある詰め物を使ったポケットコイルマットレスで、2万円台で買えるのはコストパフォーマンスとしては優秀です。
シープマットレス(PMTS25N)の特徴・メリット
1. ポケットコイル
シープマットレスはクッション材にポケットコイルを使用した「ポケットコイルマットレス」です。
ポケットコイルは、スプリング(バネ)をひとつひとつ不織布で包んでいる構造をしています。
ひとつひとつのコイルが独立した動きができるため、振動が伝わりづらいことや、体のラインに細かくフィットすることで寝姿勢が整いやすく、体圧分散性も高いです。
「静かな寝心地」と評され、特に日本人はポケットコイルの寝心地が好きと言われています。
ポケットコイルを詳しく解説本当におすすめのポケットコイルマットレス13選 | コスパ抜群モデルや人気メーカー商品もご紹介
2. 天然ラテックス入り
シープ(PMTS25N)では、詰め物にラテックスを使用しています。
ラテックスは、ゴムの木の樹液を使った素材のこと。
ゴムならでは高い弾力性が特長で、体当たりはやわらかいながら、スプリングコイルのような跳ね感を得られます。
見た目はウレタンフォームに似ていますが、ゴムのように多方向への反発力が働くため、寝返りのしやすさは抜群です。
ラテックスは通気性を少しでも高めるため、穴あけ加工(ピンホール加工)をすることが基本です。※上の画像参考
3. 外周強化(エッジサポート)
シープ(PMTS25N)は、外周2列のポケットコイルのバネを太くした「エッジサポート」仕様です。
エッジサポートがあることで、外周が沈み込みにくく、端部分まで快適に寝られるため、ワンサイズ上の寝心地を味わえます。
また、2台並べて使う際にも、連結部分(中央)の寝心地が変わりにくいので、ファミリーにもおすすめです。
エッジサポートはマットレスの「ゾーニング」のひとつです。
【もっと知りたい人のために】ポケットコイルの仕様を解説(読み飛ばしてもOKです)
ポケットコイルの仕様は商品によって異なります。
細かい話なので、詳しく知りたい人はご参考ください。(よって、ご興味なければ読み飛ばしてOKです)
- 線種
- 密度(いくつコイルを使っているか)
- 配列(並行か交互か)
- 線径(バネの太さ)
- 圧縮率(バネ高÷コイル高)
シープ(PMTS25N)で使っているポケットコイルの仕様は以下のとおりです。
▼ PMTS25Nの仕様 | |
---|---|
線種 | 非公表 |
密度 | 578個 ※Sサイズ |
配列 | 並行配列 |
線径 | 1.8mm・2.3mm |
コイル高/圧縮率 | 約20cm/約9%・約2% |
線種
シープ(PMTS25N)の線種は非公表です。
線種とは、スプリング(バネ)自体の仕様・品質を現す「記号」のこと。
ポケットコイルのバネは主に硬鋼線(こうこうせん)と呼ばれる素材で作られ、その仕様はメーカーや商品によって差があります。
例えば上記のような「SWRH 72 B C」という表示は以下の通り解釈します。
表示例 | 意味 |
---|---|
SWRH | マットレスのコイルは基本的に硬鋼線(SWRH)を使用 |
72(反発性) | 数値が高くなるほど反発性の継続する力が強い |
B(耐久性) | マンガン含有量(AよりもBが多く、耐久性がある) |
C(強度) | A<B<Cの順で強度が高い |
ちなみに、2017年に品質表示法の改正があり、線種などの表示義務はなくなりました。これは「バネの品質は実際の寝心地や耐久性を知るうえでそこまで重要な情報ではない」ということが示されたと言えます。
ただし、バネ自体が高品質であればそれだけ長持ちしやすいですし、シモンズやサータ等の有名メーカーもバネの品質には相当こだわりをもっているので、依然としてマットレスを選ぶ上で気に留めておくべきポイントとも考えられます。
密度
ポケットコイルマットレスにおける密度とは「コイルの量」で、シープ(PMTS25N)の密度は578個(シングル)です。
メーカー各社でコイルの量(密度)をセールスポイントにすることが多いですが、密度のレベルの違いを大雑把にまとめると以下の通りです。
密度 | 意味合い |
---|---|
300個台 | 低密度(耐久性が不安&バネ当たりも感じやすいので避けた方が良い) |
400~600個台 ★本商品 | 中密度(バネの動きが出やすく寝返りサポート性が得られる) |
600~1,000個 | 高密度(線径が細く、コイル高も高くなるので、ふんわりとした寝心地) |
1,000個以上 | 超高密度(ジェル的で静かな寝心地・バネを感じにくい) |
基本的にポケットコイルマットレスは、密度が低いほどコイルひとつあたりにかかる負荷が高くなるため、特に300個レベルの低密度タイプでは実用上の耐久性に支障が出る可能性も高くなります。
とはいえ高密度であるほど良いというわけではなく、耐久性としての適切な密度レベルは450個以上です。
よって、基本的に密度は寝心地の違いを表現するものとお考えください。
シープ(PMTS25N)の578個は、中密度タイプの中では、コイル数が多いです。
よって、きめ細やかに体をサポートし、フィット感がある寝心地が得られます。
配列(並行配列)
ポケットコイルマットレスの配列は「並行配列」か「交互配列(「千鳥配列」とも言います)」のどちらかです。
並行配列 | 交互配列 | |
---|---|---|
画像 | ||
硬さの傾向 | ソフト | ハード |
跳ね感 | 強い | 弱い |
特徴 | 寝返りしやすい | 静かな寝心地 |
耐久性 | △ (部分的には弱め) | 〇 |
価格 | 安価に作りやすい | 高価になりやすい |
配列の違いもそのマットレスが「どのような寝心地を目指しているか?」で決められます。
シープ(PMTS25N)は並行配列を採用。
並行配列はバネの動きが出やすいため、寝返りのサポート性があり、豊かなクッション性を感じられます。本商品でもそのような特徴的な寝心地が感じられました。
なお、圧縮タイプのマットレスの場合は、基本的に並行配列です。(交互配列は圧縮しにくいため)
線径(1.8mm・2.3mm)
線径とは「バネの太さ」のこと。
太いほど反発力が高まり、しっかりとした寝心地になります。逆に細いほど荷重に対してしなやかに反応するという特徴があります。
寝心地の目安としては以下の通りです。
線径と寝心地(目安)
- 線径1.9mm以下:しなやかな寝心地
- 線径2.0mm以上:しっかりとした寝心地
シープマットレス(PMTS25N)の線径は、基本が1.8mm、外周2列が2.3mmです。
基本のバネ | 外周のバネ |
---|---|
基本的には細いバネ(1.8mm)でしなやかな寝心地を作り、外周の太いバネ(2.3mm)によって、端部分が沈み込みにくい仕様となっています。
本商品は、すぐ下でご紹介する「圧縮率」が一般的なレベルよりもかなり低い数値のため、線径の仕様以上にやわらかく感じます。
コイル高と圧縮率
「コイル高」は高くなるほどふんわりとした感触になり、「圧縮率」は高くなるほど沈み込みにくく、耐久性にプラスに働きます。
本商品の仕様は以下のとおりです。
仕様 | 高さ | 圧縮率 |
---|---|---|
コイル | 19.6cm | – |
バネ(1.8mm) | 21.6cm | 約9% |
バネ(2.3mm) | 20.1cm | 約2% |
この仕様は、
- コイル高は「高め」
- 圧縮率は「かなり低め」
です。
要するに、引っ張ったバネをほとんど圧縮していないため、コイルが高くなっている仕様です。※これは低価格帯のポケットコイルマットレスに多い傾向です
なお、一般的な圧縮率は20%前後くらいが多く、ある程度圧縮しないと耐久性として心配が増えます。(特に中密度タイプの場合)
よって、本商品は、バネをほとんど圧縮していないため、「やわらかい寝心地に感じやすいが、コイルの耐久性としては不安が残る仕様」とお考えください。
読み飛ばしOKなのはここまで!
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シープ(PMTS25N)のデメリット・注意点
1. 片面仕様
シープ(PMTS25N)は、裏面に詰め物がない「片面仕様」です。
片面仕様は両面仕様に比べて、「表裏のローテーションNG」「荷重分散性が低い」という点で、耐久性が劣ります。
3万円以下のポケットコイルマットレスは、片面仕様が中心です。
2. 販売ページと実際の仕様が違う
以上が、公式通販の販売ページで掲載されている仕様ですが、実際は以下のとおり、ポケットコイルから下の仕様が違います。
公式通販上の仕様 | 実際の仕様 |
---|---|
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大事な点は、実物はポケットコイルの下に詰め物がないことです。
ポケットコイル下の詰め物が少ない場合、荷重分散性が低くなり、ポケットコイルへの負荷が高まります。
いちおう、上記の公式通販サイトでの画像には小さく「※イメージ」と掲載しているので、嘘ではありません。
ですが、マットレスの仕様は、寝心地や耐久性の判断につながる大切なものなので「※イメージ」で片づけてしまうのは不誠実だと思います。
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【体験レビュー】アイリスオーヤマ「シープ マットレス(PMTS25N)」を実際に試してみた
実際のお届け時の様子や具体的な使用感をレビューします。
開梱・設置
こちらはシングルです。
ロール状に圧縮され、段ボールに入っています。
中身はマットレス本体のみです。
重量は約28.5kg(シングル)なので、かなり重いタイプです。
マットレスを開けていきます。
まずは外側のビニール袋を引っ張るように取ります。
内側のビニール袋の中に取扱説明書がありました。
内側のビニール袋はハサミで切ります。
開封の様子は以下の動画をご参考ください。(音声なし・4倍速)
上の動画のとおり、ビニールにハサミを入れると膨張が始まり、元の形への復元されます。
外観
開封直後のマットレスがこちら。
説明書には『約1日で元の厚みを取り戻します』とのことでしたので、2日経過した状態を比較したアニメーションを作りました。
このとおり、本来のボリュームが完全に復元されます。
厚さはこのくらいです。
公表値どおり約25cmの厚さが確認できました。
かなり分厚いタイプで、底付きを感じにくいです。
キルティングはダイヤ型のデザインです。
表面の生地はポリエステル100%を使用。サラッとした触り心地です。
生地のアップはこんな感じです。
ニット生地なので、伸縮性が高いです。
伸縮性が高い生地は、フィット感と寝返りのサポート性が高まります。
生地の下にはウレタンフォームと天然ラテックスが入っていて、ふっくら・モッチリとした感触が楽しめます。
表面の角(かど)に「Sheep(シープ)」のラベルが付いてます。
側面もポリエステル100%のサラッとした肌触りです。
側面生地はベンチレーター(通気孔)やメッシュ生地を使うなどで、通気性を高めているマットレスも多いですが、本商品はそうした工夫はありません。
シープ(PMTS25N)は表面のみに寝られる「片面仕様」です。※裏面には詰め物がありません
表面 | 裏面 |
---|---|
裏面は硬めの不織布です。
比較的しっかりしているので、コイルが飛び出てくる心配も少ないでしょう。
品質表示はこちらです。
内部構造
内部構造をチェックするために、一部解体してみます。
断面はこちら。
シープ(PMTS25N)の構造は以下のとおりです。
- ニット生地
- ファイバー綿
- 不織布
- ウレタン 30mm
- 天然ラテックス 20mm
- ウレタン 20mm
- 不織布
- ポケットコイル
- 不織布
- パッド
- 不織布(裏生地)
詰め物は約7cmほどで、かなり分厚いです。
シープ(PMTS25N)の特徴的な寝心地を作るのが、中間層の天然ラテックスです。
芯材のポケットコイルです。
外周2列が太いバネを使ってるので、端の落ち込みが少ない仕様です。
ポケットコイルの下には、厚手の再生フェルトがあります。
再生フェルト自体は、あまり良質な素材ではないのですが、このフェルトがあるおかげでポケットコイルにかかる衝撃を緩和したり、底面にバネが飛び出しにくくなります。
片面仕様のマットレスでは、底面の仕様はあまり注目されない(&注力されない)傾向があるので、注意が必要です。
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【詳細解説】このマットレスの評価について
この記事の冒頭で評価した以下のポイントを詳しくご紹介します。
▼ シープマットレス(PMTS25N)の評価 | |
---|---|
総合評価 | 3.44 |
仰向き寝 | 3.0 |
横向き寝 | 3.5 |
端の沈み込み | 4.0 |
通気性 | 1.5 |
寝返り | 4.0 |
底付きのなさ | 3.0 |
バネ当たりのなさ | 4.0 |
耐久性 | 3.0 |
衛生面 | 4.0 |
取り扱いやすさ | 2.0 |
価格 | 3.79 |
硬さ | ふつう |
※目安は「3.50」以上が高評価です。
1. 仰向き寝は?(底付き・バネ当たりもチェック)
仰向き寝は沈み込みが少なく接触面積が広いという特徴があるので、満遍なく荷重を受け止め、体圧を分散させることが重要です。また、寝返りに力が必要なので、寝返りサポート性も大切です。
なお、日本人の約60%が仰向き寝と言われているので、最もオーソドックスな寝姿勢と言えます。
評価は「3.0」。
ボリューム感がある詰め物層のおかげで豊かな体圧分散性が得られ、圧迫感がない寝心地です。
ラテックス(高反発素材)によって、体が持ち上がり、寝姿勢保持性も良好です。
詰め物が分厚く、コイルも高めなので、バネ当たりや底付きはありません。
一方、基本が線径1.8mm(さらに低圧縮率)ということもあり、集中した荷重がかかる臀部(おしり)部分が支え切れず、ややグッと沈み込む感じがありました。
しっかり硬めの寝心地が好きな人には物足りませんが、ある程度フィット感があり、ふんわりとした寝心地が好きな人には合うと思います。
2. 横向き寝は?(底付き・バネ当たりもチェック)
横向きの寝姿勢は肩や臀部の沈み込みが深くなることと、接触面積が少なく、荷重が集中しやすいため、底付きなどを感じやすいという特徴があります。
つまり、深く沈み込んでも無理のない寝姿勢になることと、荷重による圧迫・底付きを感じないようなクッション性が大切です。また、不安定な寝姿勢でもあるので、揺れ過ぎないような衝撃吸収性もポイントです。
評価は「3.5」。
適度にやわらかくフィット感がある寝心地のため、仰向きよりも横向き寝の方が快適に感じました。
仰向きでデメリットに感じた線径1.8mm(低圧縮)が、横向きではしなやかさを発揮して、肩や臀部(おしり)の圧迫感も少なかったです。
バネ当たりや底付きもありません。
仰向きでも最低限の寝心地が実現できているので、イメージとしては横向き:6、仰向き:4くらいのバランスで寝る人に合いやすいと思います。
また、後述する「通気性の悪さ」という点でも、横向き寝では体の接触面が少ないため、仰向きよりはストレスを感じにくいです。
3. 寝返りのしやすさは?
クッション材や詰め物で使われている反発性によって、体の動きやすさが変わってきます。少ない力で寝返りを打てた方がストレスは感じにくいですが、寝返りがしやすい=良い寝心地とは限りません。
寝返りの大変さにストレスを感じている人は高反発タイプなどの寝返りしやすいマットレスが良いですが、逆に寝返りが多すぎることで中途覚醒が多い人は、寝返りの回数を抑えるような低反発タイプを選ぶと良いでしょう。
評価は「3.5」。
ラテックスは反発力が高い素材ですが、表層のソフトウレタンや、沈み込みの深さから、ラテックスのダイレクトな反発力は感じにくいです。
とはいえ、ストレスを感じるレベルではなく、比較的かんたんに寝返りが打ちやすいタイプのマットレスと言えるでしょう。
4. 端の沈み込みは?
一般的にマットレスの端部分はそれ以上荷重を分散できないので落ち込みやすいです。端部分の落ち込みが少ないマットレスは全面を目いっぱいに使えるので、それだけで使用感が良いものになります。
なお、高級モデルなどでは落ち込みを解消するように端部分にワイヤーを入れたり、コイルを硬めにしたりすることもあります。
評価は「4.0」。
2.3mm(極太)の外周強化ですが、圧縮率の低さ(約2%)という点で、そこまで期待していなかったところ、かなりしっかりサポートされ、沈み込みにくかったです。
圧縮率が低くても、2.3mmくらいの太さであれば、エッジサポートとしては機能するようです。
なお、数千円で買える激安マットレスなどでもエッジサポートはありますが、線径は2.0mmくらい(バネが細い仕様)が多く、外周強化としてはあまり意味がない場合もあるので注意が必要です。
5. 通気性は?
睡眠中は汗や体温を放出するので、蒸れやすいマットレスはストレスを感じることも。メッシュ生地や、側面から排気できる構造など、通気性に工夫があるかどうかをチェックします。
なお、スプリングコイルならポケットコイルよりもオープンコイル(ボンネル・高密連続スプリング)の方が通気性が優れていると言われますが、実用上そこまで変わりません。
評価は「1.5」。
シープ(PMTS25N)の最大のデメリットは通気性の悪さで、これはラテックスによるものです。
ラテックスは水分をほぼ吸収しない素材のため、湿気の逃げ場がありません。
筆者の場合、寝てから5分くらいで蒸れを感じ、10分くらいから違和感(ストレス)があるレベルにまで達しました。
良く言えば「暖かい」ので、冬場などには快適にも感じるかもしれませんが、年中通してこのレベルの蒸れは、心配に思うところです。
6. 耐久性は?
保証期間や耐久試験をベースにチェックします。また、両面仕様で表裏のローテーションが可能な商品は加点します。一方、詰め物が多い商品は減点します(詰め物で多く使われてる綿やウレタンフォームはクッション材よりも早くヘタリやすいため)。
評価は「3.0」。
耐久試験については非公表です。
また、スプリングの線種やウレタンフォームの密度(復元率)なども非公表のため、耐久性の判断が難しいです。
ポケットコイルの圧縮率や密度・線径、片面仕様といった点を考えると3~5年くらいの耐用年数と想定します。
7. 衛生面は?
抗菌防臭や防ダニなどの加工の有無やそのレベルなど、衛生面に工夫があるかどうかをチェックします。
評価は「4.0」。
表生地(ニット生地)に、抗菌防臭・防ダニ加工が施されています。
なお、抗菌性の強さは非公表です。
また、低ホルムアルデヒド仕様なので、安全性もあります。
8. 取り扱いやすさは?
持ち運びのしやすいか、市販のボックスシーツ(多いのは30cmマチ)が入るサイズ感か、お届け時の梱包状態はどうか、捨てやすいかなどをチェックします。
特に力の弱い人は、厚すぎるマットレスを選んでしまうと移動するときに苦労することも多いです。
評価は「2.0」。
本商品の重量はシングルサイズで約28.5kgで、「重いタイプ」のマットレスです。
重さの主な理由はラテックスです。
ラテックスはウレタンフォームなどに比べると重いので、詰め物などに使うとマットレス全体の重量が重くなりがちです。
また、線径2.3mmという極太の外周コイルも重さに影響を与えています。
なお、スプリングコイルマットレスは、粗大ごみでも回収NGの自治体が増えてきているので、購入前にお住いの地域のゴミ捨てルールをご確認されることをおすすめします。(回収NGの場合は、自身で分解して焼却施設などに持っていく必要があります)
9. 価格は?
絶対的な価格と、マットレス市場の全体的な相場からチェックします。価格に応じた寝心地が実現されているかも大切なポイントで総合評価値につながります。
評価は「3.76」。
本商品の価格はシングルサイズで27,800円で、ベッドマットレス市場全体で考えると、「安め」の価格です。
しかも、しっかりとした詰め物と厚さがある立派な仕様でこの価格は、コストパフォーマンスとしてはかなり良いと思います。※通気性さえ良ければ、当サイトの総合評価値的にも3.50以上(おすすめできる)の評価になります
10. 硬さは?
ウレタンフォームのN(ニュートン)数、綿のボリューム感、ポケットコイルの線径・巻き数等の仕様から客観的な硬さと、実際に寝たときに感じた主観的な硬さをお伝えします。
本商品(PMTS25N)は硬さは「ふつう」くらいの寝心地です。
詰め物はウレタンフォーム+ラテックスで構成され、それぞれが似たような硬さ(ふつう程度)で支え、厚さが計7cmほどあるため、基本的な寝心地はこの部分で作られます。
なお、体の重い場所(背中や臀部)は、ポケットコイルの影響も受けるため、1.8mm(低圧縮率)によってやわらかめに感じます。
よって、基本的には「ふつう程度」の硬さですが、体の重い場所は「やわからめ」に感じやすいというのが本商品の硬さの特徴です。
以上のため、仰向きよりも横向きの方が快適に感じるのです。※仰向き時の「沈み込みやすさ」というデメリットが、横向きでは「圧迫感の少なさ」というメリットになります
主観的な硬さの評価としては10段階中(10が最も硬いとして)「5くらい」の硬さだと思いました。
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シープマットレスの選び方
シープには全部で9種類があります。
グレード | かため | ふつう | ピロートップ |
---|---|---|---|
エントリー | PMTS21H | PMTS20N | – |
スタンダード | PMTS23H | PMTS22N | PMTS23PN |
ハイグレード | PMTS25H | PMTS25N(当記事モデル) | – |
プレミアム | PMTS30H | PMTD30N | – |
「かため」「ふつう」「ピロートップ(やわらかめ)」に分かれていて、さらにその中にグレードがあるというイメージです。
型番の「PMTS」は、「Pocketcoil MaTtreSs(ポケットコイルマットレス)」から由来しているので、基本的にそのあとの文字列で判断するとわかりやすいです。※なぜか「PMTD30N」だけ違います
グレード | かため | ふつう | ピロートップ |
---|---|---|---|
エントリー | 21H | 20N | – |
スタンダード | 23H | 22N | 23PN |
ハイグレード | 25H | 25N (当記事モデル) | – |
プレミアム | 30H | 30N | – |
このとおり、厚さと硬さで型番が分かれます。
「25N」なら、【厚さ25cm・硬さがふつう(Normal)】といった感じです。※ピロートップの「23PN」は厚さ「23cm」のピロートップ(Pillow top)、硬さが「ふつう(Normal)」です
特徴の差は、以下のとおり、基本的に詰め物によってグレードが分かれるとお考え下さい。※芯材(コイル)の仕様も多少変わりますが、メインは詰め物です
グレード | かため | ふつう | ピロートップ |
---|---|---|---|
エントリー | ウレタン | – | |
スタンダード | 厚手ウレタン | 低反発ウレタン | |
ハイグレード | ラテックス入り | – | |
プレミアム | 2層コイル | – |
おすすめは?
今回体験したPMTS25Nは、ラテックスによる蒸れやすさが最大のデメリットに感じました。よって、当サイトとしてはラテックス入りのモデルは基本的に避けた方が良いと考えます。
また、「ふつう」シリーズの線径1.8mm(PMTS22Nは1.7mm)という仕様も、沈み込みやすいため好みが分かれそうです。
結論、「万人に受けやすい」という点で、かための一番安いモデル「PMTS21H」を最もおすすめしたいと思います。
PMTS21Hの仕様 | |
---|---|
厚さ | 21cm |
詰め物 | ウレタン20mm(計) |
コイル数 | 528個/S |
線径 | 1.9mm(外周2列は2.3mm) |
価格 | 17,800円/S |
リンク | 公式通販 |
懸念点は詰め物の薄さによるバネ当たりですが、もし気になったら厚手のパッドかトッパー(マットレストッパー)で寝心地を調節しやすいです。
PMTS21Hは仕様的に最もクセが少なく、ニュートラルな寝心地だと想定します。
似た商品との比較
同じ価格帯のポケットコイルマットレスとして、比較すべきは源ベッド「夜香スタンダード」と「夜香ハイグレード」です。
メーカー・商品 | ①シープ(PMTS25N) | ②夜香スタンダード | ③夜香ハイグレード |
---|---|---|---|
画像 | |||
生産 | 中国 | 日本 | |
厚さ | 25cm | 18cm | 23cm |
重量 | 約28.5kg | 約19kg | 約26kg |
詰め物 | ウレタン、ラテックス | ウレタン | |
コイル数 | 578個 | 465個 | |
線種 | 非公表 | SWRH 82 B C種 | |
線径 | 1.8mm(外周:2.3mm) | 2.1mm | 2.1mm(外周:2.2mm)※レギュラー |
衛生加工 | 抗菌防臭・防ダニ | × | 抗菌防臭・防ダニ |
仕様 | 片面 | 両面 | |
価格 | 27,800円 | 27,900円 | 30,900円 |
リンク | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※重量・価格はシングルサイズ
本当におすすめしたいのは「夜香ハイグレード(源ベッド)」
「シングルサイズで3万円前後」という条件の場合、源ベッドの夜香ハイグレードを最もおすすめします。
源ベッドは広島県の老舗マットレスメーカー「チヨダコーポレーション」の直営店で、夜香シリーズは同社が作る純国産のポケットコイルマットレスシリーズです。
中でも夜香ハイグレードは、源ベッドの代表的なマットレスです。
国内最高品質の硬鋼線(バネ)を、高圧縮(約34%)した耐久性が抜群のポケットコイルが特徴で、安定感があるしっかりとした寝心地が得られます。
シープ(PMTS25N)よりも寝心地がかなり硬めなので、方向性がやや違いますが、3万円前後という同等の価格帯で、夜香ハイグレードは頭一つ抜きでたコストパフォーマンスと評価しています。
ちなみに夜香ハイグレード2は硬さがソフト・レギュラー・ハードの3つから選べますが、ソフトでもシープより硬めです。
より寝心地にこだわりたい人は「咲夜レアルマットレス」がおすすめです。
高級ホテルに採用される、巻き数の多い「8.5巻き(6.7インチ)のスプリング」が搭載し、なめれらかなストロークによる極上の寝心地が得られます。
5万円以下からこの寝心地が手に入るのは、並外れたコストパフォーマンスの高さです(当サイトNo.1の高評価です)。
次におすすめは「夜香スタンダード(源ベッド)」
夜香スタンダードは、夜香ハイグレードの廉価版的な位置づけです。(片面仕様・詰め物が少ない・外周強化がない など)
とはいえ、源ベッド(チヨダコーポ―レーション)ならではのポケットコイルの品質の高さは体感できるので、できるだけ価格を抑えたい場合、夜香スタンダードもおすすめできます。
なお、夜香シリーズ中、スタンダードのみ「簡単分解構造」という仕組みが採用されています。
上の画像のとおり、ポケット(不織布)とバネが簡単に分解できるので、廃棄しやすいです。
やわらかさが大事なら「シープ」
夜香(スタンダード・ハイグレード)とシープの大きな違いはやわらかさです。
シープは、詰め物にボリュームがあり、スプリングも沈み込みやすいので、ふんわりとした寝心地が得られます。
よって、「ふんわりとした寝心地が好き」「横向き寝が中心」といった場合はシープがおすすめです。
個人的には、マットレス自体はなるべく高品質・高耐久のものを選び、硬さに違和感を感じたら、敷きパッドやトッパーなどで微調整をしていくというアプローチが良いと思っています。
ただし、いろいろ寝具を買い足すとその分、お金がかかってしまうので、できるだけ予算を押さえたい人は、最初から自分の好みにぴったりあった硬さのマットレスを選ぶのが良いでしょう。
しかしながら、マットレスの硬さ選びはかなり難しいので、迷ったときは少し硬めくらいの寝心地を選んだほうが失敗は少ないです。(あとから硬さを調節しやすいので)
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アイリスオーヤマはどこで買うのがお得?
アイリスオーヤマの商品は公式サイトと以下のモール店舗で買えます。
価格や条件に特に差はありません(価格差に多少バラつきがある場合もあります)。
強いて言えばモールごとにポイントバック率やキャンペーンに差が出る場合あるので、すべてをチェックしてみた方が良いかもしれません。
ただし、カスタマーサポートのスムーズさを考えるとやはり、公式サイトがおすすめです(購入時のトラブルなどがあった際に安心です)。
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まとめ
いかがでしたか。
アイリスオーヤマの「シープマットレス(PMTS25N)」をご紹介しました。
厚さ25cmレベルのしっかりしたベッドマットレスで3万円を切るコストパフォーマンスの高さが魅力です。
ボリュームがある詰め物としなやかなスプリングコイルによって、体圧分散性が高い寝心地で、特に横向き寝に合うと思います。
懸念点は、詰め物で使われてるラテックスの蒸れやすさで、暑がりな人には不向きでしょう。
本商品(PMTS25N)は、シープマットレスシリーズの中では中間的な「ふつう」の硬さを目指して作られています。
よって、このレビューを読んで、『もっと硬めが良い』『もっとやわらかめが良い』と思った人は、シープの他モデルもご検討いただければ幸いです。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。