三層構造のマットレス

マットレスの「層構造」をチェックしてみよう

マットレスの寝心地は、体に触れたときのやさしさ、沈み込んだ後に体を支える力、体重を受け止めるクッション性などのバランスが影響されます。

こうしたバランスを考えるうえで参考になるのが「弾性の三層構造」という考え方です。

少し専門的な言葉ですが、簡単に言えば、「表面はやさしく、沈み込んだらしっかり支え、下層で荷重を受け止める構造」のことです。

この記事では、専門知識がない人にもわかりやすいように、マットレスの層構造と選び方のポイントを解説します。ぜひご参考にしてくださいね。

著者情報 椚大輔 椚 大輔(くぬぎ だいすけ) ベッド・マットレス専門家。ベッドメーカーに勤務後、当サイトを開設。国内・海外メーカーへの取材を重ね、100商品以上のレビューを続ける。専門家としてTBS「ラヴィット!」、ビジネス誌「プレジデント」、楽天市場「マットレスの選び方」などの出演・監修も行う。> プロフィールはこちら
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弾性の三層構造って何?

三層構造のマットレス

寝心地が良いマットレスとは「やわらかさ」と「硬さ」という矛盾する要求に上手く応えられるマットレスです。

寝姿勢においては、体に直接触れる表層には「やわらかさ」が求められますが、やわらかいだけのマットレスは沈み込み過ぎて寝姿勢が崩れます。

そこで、沈み込んだときにしっかりと寝姿勢を保持できるよう、「硬さ」のある素材が必要になります。

最後に、マットレスにかかる衝撃を分散するために、ふんわりと「クッション性」がある素材を用いることで、

体当たりはやさしく、寝姿勢を保持しながら、ふんわり支える

という理想的な寝心地を作ることができるのです。

簡単に言うとこれが「弾性の三層構造」のコンセプトです。

弾性の三層構造

上の図のとおり、上から「柔・硬・柔」の構造で、A層・B層・C層にそれぞれ適した素材を採用することで、寝心地が良いマットレスを作るという人間工学的なアプローチです。

※参考:インテリアの人間工学(監修:小原二郎)

椚大輔
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なお、C層には採用されやすいスプリングコイル(ボンネル・ポケットなど)は、素材自体は硬めですが、動きとしてはふわっと上下するクッション性があるので、基本的には「柔」に該当するとお考えください。

三層構造なら必ず良いマットレスなのか?

三層構造のマットレス

三層構造は、寝心地を考えるうえで参考になる考え方です。ただし、三層構造だから必ず良いマットレスというわけではありません。

人によって合う寝心地は千差万別なので、最終的には好みの問題になるでしょう。

「単層」と「三層構造」の違い

ゼロギャップ(36D)

単層マットレスは、主に1種類の素材で作られたマットレスです。代表的なのは、1枚もののウレタンマットレスです。

素材そのものの特徴がシンプルに感じやすく、寝心地は比較的硬めの傾向があります。特に「ハッキリとした硬めの寝心地が好き」という人に合いやすいです。

また、構造がシンプルな分、価格を抑えやすく、取り扱いやすいタイプも多いです。

一方、多層(三層)のような寝心地の奥行き・豊かさは感じにくいです。

もし、単層マットレスで物足りなさを感じる場合は、マットレストッパーなどを重ねることで、表面(A層)にやわらかさが追加され、多層構造のような寝心地へのアレンジも可能です。

「弾性の三層構造」と「他の多層構造」との違い

HEC-360 LUXURYの内部構造

マットレスには三層構造以外にも「二層構造」や「四層以上」などの多層構造タイプがあります。

基本的に多層になるほど、様々な素材を統合して寝心地を作るので、感触が豊かになったり、複雑で奥行きがある寝心地に感じることが多いです。

しかし、その多層構造のマットレスが「弾性の三層構造」を採用しているかは話が別です。

なお、弾性の三層構造とは、あくまで「柔・硬・柔」というひとつのコンセプトです。

一方、ブランドによって寝心地のコンセプトも大きく異なるので、三層構造が絶対というわけではありません。いろいろと試してみて、自分の体に合うマットレスを見つけていただければと思います。

(補足)「B層なし」でも三層構造に近い役割が得られやすい仕様

細かい話ですが、補足します。

弾性の三層構造におけるB層は「沈み込みを防ぎ、寝姿勢を保つための中間層」として考えます。

しかし、実はA・B・C層の中で、一番省略されやすいのがB層です。

源ベッド「国産ポケットコイルマットレス」

このマットレスの場合、チップウレタン(カラフルなウレタン)がB層

そもそもマットレスの内部構造はあまり注目されることがなく、その中でB層は地味な存在(アピールしにくい存在)のせいか、コストダウンのため省かれることが多いです。

B層なし B層あり
B層なし B層あり

B層なしのマットレスは「支持層」がないため、寝姿勢が崩れやすい傾向があります。

ただし、実際のマットレスでは、はっきりとしたB層がなくても、素材や構造によってB層に近い役割を果たすことがあります。

代表的なのは、「高圧縮のポケットコイル」と「高反発ウレタンフォーム」です。

高圧縮のポケットコイル

ポケットコイル

高圧縮のポケットコイルとは、バネをポケットに入れるときに、大きく圧縮して入れたポケットコイルのことです。目安としては、圧縮率30%前後以上のものが高圧縮タイプです。

高圧縮 低圧縮
高圧縮のコイル 低圧縮のコイル

ポケットコイルは、圧縮率が高いほど、硬さや反発力が出やすくなります。

表面の詰め物がA層、ポケットコイルがC層というシンプルな構造であっても、高圧縮ポケットコイルの場合は、コイル自体がB層+C層のように働くことがあります。

ただし、圧縮率が高いほど必ず寝心地が良くなるわけではありません。硬さが出やすいため、体重が軽い人や柔らかめの寝心地が好きな人には、硬く感じる場合もあります。

高反発(高弾性)ウレタンフォーム

高反発(高弾性)ウレタン

高反発(高弾性)ウレタンフォームは、強い反発力によって体を押し返しやすく、沈み込みすぎを防ぎやすい素材です。

特に硬めの高反発ウレタンフォームは、素材単体でも体を支える力が出やすいため、B層+C層のような役割を果たすことがあります。

一方で、柔らかめの高反発ウレタンフォームは、表面の当たりをやわらげながら、反発力によって体を支えるため、A層+B層のような役割を果たすことがあります。

まとめ

弾性の三層構造のマットレス(快眠タイムズ マットレス)

以上、マットレスの「弾性の三層構造」についてご紹介しました。

マットレスの硬さ(やわらかさ)選びは重要ですが、単純に硬いだけでは体が痛いですし、柔らかいだけでは寝姿勢が歪んでしまいます。

要するに、快適な寝心地を作るには硬さとやわらかさという相反する要求を満たしてあげる必要があります。

弾性の三層構造は「表面は柔らかく、沈み込んだら硬く、最後に衝撃をふんわり吸収する」という理想的な敷き寝具を作るうえで大切なコンセプトです。

なお、初めてこの考えを提唱したのが人間工学の巨匠である小原二郎氏で、創案されて数十年が経過された現在でも変わらない、要するに「マットレス作りの定石」といっても過言ではないコンセプトと言えるでしょう。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

椚大輔
椚大輔
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