詰め物

「詰め物」って何?

この記事では、マットレスの構造のひとつである「詰め物」についてご紹介します。

マットレス選びでは芯材(ポケットコイルマットレスなど)が注目されがちですが、実際の寝心地を大きく左右しているのが「詰め物」です。

詰め物の種類や厚みを調整することで、やわらかさや反発力、フィット感などを細かくコントロールしています。

そのため、詰め物について理解すると、「なぜこのマットレスはやわらかいのか」「なぜ蒸れにくいのか」といった違いが見えやすくなり、マットレス選びがグッとわかりやすくなるでしょう。

著者情報 椚大輔 椚 大輔(くぬぎ だいすけ) ベッド・マットレス専門家。ベッドメーカーに勤務後、当サイトを開設。国内・海外メーカーへの取材を重ね、100商品以上のレビューを続ける。専門家としてTBS「ラヴィット!」、ビジネス誌「プレジデント」、楽天市場「マットレスの選び方」などの出演・監修も行う。> プロフィールはこちら
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詰め物とは?

マットレスの詰め物

詰め物とは、「クッション材(芯材)とカバーの間に詰めている物」のことです。

例えば、ポケットコイルマットレスの場合、ポケットコイルとカバー(側地)以外の素材が詰め物ということになります。

スプリングコイルマットレスの構造

スプリングコイルマットレスの構造

たとえば、ポケットコイルマットレスの場合、内部にはポケットコイル(バネ)が入っていますが、そのままでは感触が悪いため、上に詰め物(ウレタンフォームや綿など)を施します。

綿

詰め物の綿

つまり、詰め物は「寝心地を整えるための層」です。

もし詰め物がほとんど入っていないポケットコイルマットレスだったら、バネの感触がダイレクトに伝わり、体が痛く感じるでしょう。

椚大輔
椚大輔
「詰め物」は主にスプリングコイルマットレスで採用される構造ですが、ウレタンマットレスファイバーマットレスなどでも、詰め物が施されている場合があります。

詰め物の役割

シープマットレス(PMTS25N)の断面

以下のとおり、詰め物の役割は芯材だけでは不足する機能性を補うことです。

詰め物の役割 意味 素材の例
体圧分散 体にかかる圧力を軽減する ウレタンフォーム、綿
寝姿勢保持 沈み込みすぎないよう支える 高反発素材、硬質素材
寝返りサポート 反発力で体を動かしやすくする 高反発素材
衛生強化 抗菌・防臭などを高める 機能綿
通気性強化 蒸れにくくする ファイバー素材、ウール

詰め物の最大の役割は体圧分散で、比較的ソフトなウレタンフォームと綿(機能綿を含む)が使われることが多いです。

ウレタンフォームと綿(体圧分散)

ウレタンフォームと綿(体圧分散)

沈み込みを抑える(寝姿勢保持の)素材として、ハードなウレタンフォームやフェルトなどが詰め物の最下層に使われます。

フェルト(寝姿勢保持・バネ当たりの軽減)

フェルト(寝姿勢保持・バネ当たりの軽減)

最近では通気性や反発性を強化する目的でファイバー素材(エアウィーヴなどでお馴染み)を入れるマットレスも増えてきました。

ファイバー素材

ファイバー素材(高反発・高通気)

椚大輔
椚大輔
他にもいろいろな素材が詰め物で使われるので、気になったマットレスが合ったらよくチェックしてみてくださいね。もし素材の特性がわからなければ私にお問い合わせいただければと思います。

詰め物はどう選べばよい?

詰め物

実際のところ、マットレスの寝心地は「芯材との組み合わせ」で決まります。そのため、「この詰め物なら必ずやわらかい」「この素材なら絶対に寝返りしやすい」と単純には言い切れません。

ただし、ある程度の傾向はあります。

以下では、詰め物を見るときのポイントをまとめます。

かたさ(やわらかさ)

HEC-360 LUXURYの内部構造

詰め物によって最も変わりやすいのが、「硬さ」の感じ方です。単純にいうと、詰め物が厚いほど、やわらかく感じやすいです。

薄い(かたい) 厚い(やわらかい)
薄い詰め物 厚い詰め物

特に、詰め物の厚みが8cm以上あるマットレスは、比較的ソフトな寝心地が多い印象です。

また、「ピロートップ仕様」のマットレスも、やわらかく感じやすい構造です。

ピロートップ

ピロートップは、表面にかかるテンションを緩和できるため体圧分散性が高い

ピロートップとは、詰め物部分を独立したクッション層として縫い付けた構造のことです。荷重が逃げやすくなるため、包み込まれるようなフィット感が得られます。

通気性の高さ

ファイバー

通気性も、詰め物によって大きく変わります。特に重要なのが「詰め物の量」です。

一般的に、詰め物が多いほど体が沈み込み、フィット感が高まるため、蒸れやすくなる傾向があります。つまり、「やわらかい=蒸れやすい」は、ある程度つながっているのです。

また、「素材自体の通気性」も重要です。たとえば、以下のような素材は比較的通気性が高いです。

  • ファイバー素材
  • ウール(羊毛)
  • マイクロコイル
マイクロコイル

マイクロコイル(小さいポケットコイル)

一方で、低反発ウレタンフォームは熱がこもりやすく、蒸れを感じやすい傾向があります。

低反発ウレタンフォーム

低反発ウレタンフォーム

そのため、暑がりの人や湿気が気になる人は、「詰め物が少なめ」「冷却素材などを使っている」マットレスを選ぶと快適に使いやすいでしょう。

冷却ジェル入りの低反発ウレタンフォーム

冷却ジェル入りのウレタンフォーム

片面仕様か両面仕様か

両面仕様と片面仕様

マットレスには、

  • 表だけに詰め物が入った「片面仕様」
  • 表裏両方に詰め物がある「両面仕様」

があります。

一般的には、片面仕様の方が低価格帯に多いです。裏側の詰め物を省略できるため、コストを抑えやすいからです。

大きな違いは「ローテーションできるかどうか」です。両面仕様は、表裏をひっくり返して使えるため、ヘタリを分散しやすく、長期間寝心地を維持しやすいメリットがあります。

マットレスのローテーション

マットレスのローテーション

また、あまり知られていないことですが、荷重分散性の違いによって、寝心地の感じ方も異なります。

片面仕様 両面仕様
片面仕様の芯材の動き 両面仕様の芯材の動き
反発力が強い寝心地 なめらかな寝心地

片面仕様は、床からの圧力を感じやすく、やや反発感の強い寝心地になりやすいです。

一方、両面仕様は、芯材の下(裏)でも荷重を分散できるため、急激な硬さを感じにくく、「なめらかな寝心地」になりやすい傾向があります。

耐久性の高さ

ピロートップの内部構造

一般的に、マットレスは「芯材よりも詰め物の方が先にヘタる」ことが多いです。

理由は単純で、詰め物には芯材ほど耐久性の高い素材を使いにくいからです。(芯材並みに高耐久な素材を詰め物に使うと、マットレスが重くなりすぎたり、価格が極端に高くなったりして、全体のバランスが悪くなってしまいます)

とはいえ、詰め物があまりに貧弱だと、ヘタリによって、寝心地の劣化を早期に感じるでしょう。

耐久性の目安としては、詰め物の場合、ウレタンフォームなら「密度20D以上・厚さ3cm以上」あると安心感があります。(密度について

もちろん、素材によって基準は異なりますが、「耐久性への配慮がされているか」は確認しましょう。

もしスペックを見てもよく分からない場合は、私にお問い合わせいただければと思います。

詰め物がヘタったらどうする?

エマ・プレミアム V2

基本的に、マットレスは芯材よりも詰め物の方が早くヘタります。しかし、詰め物だけがヘタった段階でマットレス全体を買い替えるのは、少しもったいないですよね。

そんなときにおすすめなのが「マットレストッパー」です。

マットレストッパー

マットレストッパー

マットレストッパーは、今使っているマットレスや布団の上に敷いて、寝心地を調整(改善)するためのアイテムです。

もし現在のマットレスが「高反発ウレタン系」なら、同じ方向性の高反発トッパーを組み合わせると違和感が出にくいでしょう。

椚大輔
椚大輔
トッパーを上手に活用すると、マットレスをより長く快適に使いやすくなります。

まとめ

詰め物

以上、マットレスの「詰め物」をご紹介しました。

詰め物は、芯材では不足する「体圧分散」「寝返りサポート」「通気性」「衛生性」などを補う重要な役割があります。

また、詰め物の厚みや素材によって、やわらかさ・蒸れやすさ・反発力なども大きく変わります。

特に、マットレスは芯材だけではなく「詰め物とのバランス」で寝心地が決まるため、スペック表を見るときは、ぜひ詰め物にも注目してみてください。

詰め物への理解を深めることで、マットレス選びはもっとわかりやすくなるでしょう。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。