「硬さ調節」のデメリットにも注目しましょう
この記事では、「硬さ調節」などの寝心地をカスタマイズできるマットレスの特徴や注意点をご紹介します。
結論から言うと、当サイトでは基本的に硬さ調節マットレスは強くおすすめしていません。
なぜなら、硬さ調節できるマットレスは寝心地を犠牲していることが多く、特に硬さ調節後(多くは硬くした場合)の寝心地が悪いからです。
以下より、詳しくご紹介します。
当サイトではレビュー記事を作成するにあたり、撮影スタジオを作り、セットの中で商品を徹底的に体験・検証しています。一般的な家の雰囲気と異なるのはそのためです。
この記事を書いた人
※この記事にはアフィリエイトリンクが含まれ、発生した広告収入をサイトの運営費に充てています
目次
硬さ調節マットレスとは
硬さ調節マットレスとは、マットレス内部のレイヤー(層)を入れ替えることによって、寝心地(硬さ)が調節できるマットレスのことです。※下の動画は音声なし・4倍速
硬さ調節マットレスのレイヤー(層)は2~4ほどで、それぞれ硬さが異なり、入れ替えることで硬さを変える仕組みが中心です。
硬さ調節マットレスの注意点・デメリット
本記事のメインテーマです。
一見、硬さ調節マットレスは『硬さが自分好みに調節できるから失敗しにくい!』と、大きなメリットに感じるかもしれません。
しかし、以下のような大きなデメリットもあるため、購入は慎重にお考えください。
- 適切な層構造を崩すことで、落ち込みやすい・圧力を感じやすい
- 寝心地の及第点の設定数が多くなるほど、寝心地を追求しにくい
- 結果的にコストパフォーマンスが良くない
1. 適切な層構造を崩す
ここが一番大事です。
基本的に、寝心地が良いマットレスはいろいろな素材を積み重ねて作ります。
これは、マットレスに期待する役割が、層(の深さ)によって変わるからです。
具体的には、
- 表層は、体にかかる圧力を軽減する「体圧分散性」
- 中間層は、沈み込みすぎないようにする「寝姿勢保持性」
- 下層は、衝撃をふんわり吸収する「荷重分散性」
といった感じです。
これを硬さで表現すると以下のとおりです。
層 | 役割 | 適切な硬さ |
---|---|---|
上層(A層) | 体圧分散 | ソフト(または、フィット感) |
中間層(B層) | 寝姿勢保持 | ハード(または、反発力) |
下層(C層) | 荷重分散 | ソフト(硬度というよりもクッション性) |
このバランスこそ「マットレスの生命線」と言えますが、硬さ調節タイプの多くは層(バランス)をひっくり返してしまうので、寝心地が破綻しやすいのです。
硬さ調節マットレスでよくあるのが、層(レイヤー)をひっくり返して寝心地をカスタマイズするタイプです。
たとえば、デフォルト(標準)設定に多い「上層がソフト、下層(中間層)がハード」という場合は、寝心地に違和感を感じません。
しかし、硬く調節するために、「上層をハード、下層(中間層)をソフト」にした場合、以下の現象が起きます。
- 荷重が重い場所が深く沈み込む(ペコっとする感じ)
- 深く沈み込む反動で、荷重の軽い場所は圧力を感じる(つっぱる感じ)
まず、マットレスに荷重をかけると、やわらかい素材(=ソフト層)が一番先に潰れます。
以下のアニメーションは、硬さ調節タイプの表層レイヤー(ウレタンフォーム)の荷重分散性をテストしたものです。
この場合、下層(スリットが入ることでやわらかくなっている仕様)が先に潰れます。
すると、特に重い荷重の場所だけ(仰向きなら臀部など)がグッと深く沈み込みます。
別の言い方をすると、上層(ハード層)が荷重に適切に反応できていない状態です。
となると、上層は荷重のテンションを逃がすことができないため、横方向に突っ張るような力が働き、圧力を感じやすくなります。※上の画像の商品では荷重がかかっていない場所が浮いているのがわかりますね
当サイトではこの現象を「いびつなサポート性」と呼んでいます。
いびつなサポート性 | 適切なサポート性 |
---|---|
- いびつなサポート性(左):硬→柔と、適切な硬さが逆転することによる「違和感ある寝心地」
- 適切なサポート性(右):柔→硬で、スムーズに沈み込む「なめらかな寝心地」
いびつなサポート性は、腰がグッと落ち込んで、背中あたりに変な圧力を感じる寝心地です。なめらかに支えられていない感じもします。
2. 寝心地を追求しにくい
硬さが調節できるマットレスは、カスタマイズ(調節)できる数ほど、寝心地の及第点の設定数が多くなり、結果的にいろいろな制約が生まれ「たったひとつの最高の寝心地」が作りにくいです。
たとえば、上層は体圧分散に適するように「やわらかめ」であるべきですが、中間層は逆に寝姿勢を保持するために「硬め(または、高い反発性を持つ素材)」が適しています。
最下層は衝撃をふんわり吸収するように「クッション性が豊かな素材」が理想です。
要するに、硬さと柔らかさ(または反発力や衝撃吸収)といった様々な矛盾を解決するために、マットレスはいくつかの層でアプローチしていく必要があります。(上でご紹介した「弾性の三層構造」にもつながる話です)
一方、硬さ調節タイプのマットレスは、寝心地よりも、いかに硬さを変えられるか?という視点で開発が進められることもあります。
筆者の感覚では、カスタマイズ数と寝心地は反比例の関係と感じます。
要するに、カスタマイズできる数が多いほど、寝心地は悪くなっていくという関係性です。
これは、すでのご紹介したとおり、「カスタマイズ数=寝心地の及第点の設定数」になるため、カスタマイズ数が多いマットレスは、標準設定(最も寝心地が良い設定)でも、「平凡レベル」の寝心地になりがちです。
3. 結果的にコストパフォーマンスが良くない
何をもって「コストパフォーマンス」とするかで評価は変わりますが、マットレスにおけるコストパフォーマンスとは、基本的に「寝心地対価格」と考える人が多いと思います。
上でご紹介したとおり、硬さ調節タイプのマットレスは寝心地が追求しにくいため、「感動的な寝心地!」というレベルの商品が少ないです。
また、「寝心地がすごくいい!」と感じたとしても、基本的には標準設定の場合で、カスタマイズで寝心地が悪化することが中心です。
要するに、寝心地の良さで評価する場合、カスタマイズ機能は不要な機能とも言えます。
さらに、硬さ調節マットレスは、硬さ調節のための特別仕様を施すことも多いため、その分価格が高くなることもあります。
結果的にコストパフォーマンスが抜群に優れたマットレスは生まれにくいのです。
しかし、寝心地の良さは人それぞれです。
硬さ調節した寝心地がとても気に入る人もいると思いますし、硬さ調節自体に価値を感じる人もいるはずです。
この記事で書いていることは、あくまで「マットレスの仕様から寝心地を評価した場合」とお考えください。
・
・
・
それでもマットレスの「硬さ選び」が不安な場合は
マットレスの硬さ選びは、とても難しく、不安に思う人も多いですよね。
参考までに、フランスベッドやシモンズ(一部)のショールームでは、年齢や性別、体型(身長・体重)や、体のラインなどを計測し、自分の体型に合った硬さが分かる「寝姿勢測定機」というものも導入されているので、試してみるのもおすすめです。
ただし、このような寝姿勢測定機も万能ではありません。
他にも「今までの慣れ」や「好み」といった問題もあるため、「あなたにはこの硬さが絶対合う」と完璧に客観的に判断できるシステムは存在しないのです。
よって、どうしても硬さ選びに不安が人は、多少の寝心地(コストパフォーマンス)を犠牲にする覚悟で、硬さ調節タイプのマットレスを選ぶのもありです。
一方、寝心地(コストパフォーマンス)を妥協したくない人は、次の手順で選ぶと良いでしょう。
1. 自分が考えるより「少し硬め」を選ぶ
ある程度、自分の好きな硬さがわかっている人は、自分が考えるジャストな硬さよりも「少し硬め」くらいの寝心地を選ぶのがおすすめです。
理由は、後から調節しやすいからです。
マットレスは後から柔らかく調節できますが、逆に硬く調節するのは難しいです。(すでのご紹介した「いびつなサポート性」になってしまうからです)
よって、もし硬すぎたら、あとから敷きパッドやトッパーなどで調節しやすいという点で「少し硬め」が無難なのです。
また、マットレスは基本的に経年変化でやわらかくなっていくものなので、はじめは「少し硬めかな?」くらいの方が、体の慣れも含めて、馴染みやすいと思います。
2. 守備範囲が広いマットレスを選ぶ
実は、マットレスによって、硬さ(好み)に対しての「守備範囲」の広さ・狭さが違います。
要するに「守備範囲が広いマットレス=幅広い好みに合いやすいマットレス」とお考えください。
守備範囲を決めるのは「ストロークのなめらかさ」です。
ストロークがなめらかなマットレスとは、荷重をかけた時になめらかに沈み込んで、戻るときも同様になめらかに反発するマットレスです。
ストロークがなめらかなマットレスは、急に硬さを感じたり、沈み込んだままになりにくいため、様々な硬さの好みにも合いやすいです。
- スプリングコイル:ある程度コイル高(巻き数)や、詰め物がしっかりしている
- ウレタンマットレス:多層構造(3層以上)の高反発タイプ
守備範囲の広さは、ある程度「価格の高さ」と関係します。
要するに、激安マットレスは良質な素材は使われないため、ストロークのなめらかさを感じない単調な(守備範囲が狭い)寝心地が多いです。
硬さ選びが失敗しにくい!守備範囲が広いマットレス4選
「守備範囲(=ストロークのなめらかさ)」は当サイトの概念であり、客観的なデータなどはありません。
ここでおすすめしているマットレスは、実際の体験・検証のもと「多くの人に合いやすいだろう」と評価したものを選定しています。
1. 源ベッド「咲夜レアル」
これ以上のコスパの高さは、たぶんない。
咲夜(さくや)レアルは、広島県の老舗ベッドメーカー「源ベッド(チヨダコーポレーション)」のポケットコイルマットレスです。
同社人気モデル「夜香ハイグレード」を超えるマットレスとして開発され、高級ホテルにも採用される、巻き数の多い「8.5巻き(6.7インチ)のスプリング」が搭載されました。
それでいて、価格が4万円台からというとんでもないコストパフォーマンスで、実際に寝た瞬間に「本当にこれが5万円以下で買えるの?」と驚きを隠せませんでした。
とにかくスプリングの性能が良いので、幅広い体型や好みにも合いやすいと思います。マットレス選びに迷っていたら、ぜひ一度チェックして欲しいイチオシモデルです。
サイズ | シングル~クイーン |
---|---|
硬さ | フィット、ジャスト、キープ(3種類) |
反発性 | 高め |
クッション材 | 6.7インチ ポケットコイル |
価格 (Sサイズ) | 44,990円 |
その他 | 8.5巻き、日本製、両面仕様 |
予算が許す人は、源ベッドの最高グレード「咲夜No Way!」もおすすめです。
源ベッドの社長さんが試作品で寝た時に「まさか!(No Way!)」と感じたことから名付けられたという逸話を持つ最高傑作マットレスです。
2. 快眠タイムズ「快眠タイムズ マットレス」
抜群のバランス感!失敗しにくい寝心地
愛知県に本社がある株式会社篠原化学が展開する寝具ブランド「快眠タイムズ」の基幹マットレス。寝具のプロによって計算されつくされた3層構造のウレタンフォーム+高機能カバーによる寝心地・使用感は多くの人に合いやすいでしょう。
芯材のウレタンフォームは低反発+高反発(反発弾性率60%)仕様。沈み込んだらグッと押し返し、滑らかな寝返りが打てます。通気性も抜群なので、睡眠時の蒸れが気になる人にもおすすめ。さらに60日のお試し期間付きです。この仕様で5万円台~はコスパが優秀です。
サイズ | シングル~クイーン |
---|---|
硬さ | やや柔らかめ |
反発性 | 低反発+高反発 |
クッション材 | 3層ウレタンフォーム |
価格 (Sサイズ) | 50,000円 |
その他 | 片面仕様、高反発、返金・返品保証あり |
3. エマ・スリープ「エマ・ハイブリッド V2」
世界中で600万人が愛用(シンプルな返金保証あり)
エマ・スリープはドイツ発の海外マットレスブランド。2015年に欧州で発売以降、数々のアワード(表彰)を獲得していて、世界的な高評価を得ています。2021年よりついに日本でも販売開始されました。
本商品(エマ・ハイブリッドV2)は、高反発フォーム×低反発フォーム×ポケットコイルのハイブリッド仕様で、反発性が高いため寝返りがしやすく、ストロークの深い、高級マットレスのような寝心地がリーズナブルに味わえる点が魅力です。
100日間のお試し期間も付いています。お試し期間付きのマットレスは他のメーカーでもありますが、エマ・マットレスはその中でもシンプルかつ親切な仕組み(全国規模での送料無料・梱包材が不要・運送会社の手配不要)なので、気軽に試せることも魅力です。
サイズ | シングル~キング |
---|---|
硬さ | ふつう |
反発性 | 高反発 |
クッション材 | ウレタンフォーム×ポケットコイル |
価格 (Sサイズ) | 133,000円 |
その他 | 片面仕様、返金・返品保証 |
4. フランスベッド「ライフトリートメント LT-7700」
フランスベッドといえばコレ
豊富すぎるラインアップが特徴のフランスベッドのマットレスシリーズの中で「ライフトリートメント」は基幹的な位置づけのシリーズです。
この「LT-7700」は高衛生の除菌糸(アグリーザ®)を使用した生地に加え、プロ・ウォール®(両端が落ち込みにくい構造)や、高反発ファイバー素材「ブレスエアー®」など、フランスベッドが持ち合わせている機能性を集約した代表的なマットレスです。
沈み込みすぎないので寝返りがしやすく、通気性も抜群、まさに多くの日本人体型に受け入られやすい寝心地と言えるでしょう。
サイズ | セミシングル~クイーン ※ロングサイズあり |
---|---|
硬さ | やや硬め |
反発性 | 高反発(ブレスエアー面) |
クッション材 | 高密度連続スプリング® |
価格 (Sサイズ) | 231,000円 →クーポン利用で10%OFF |
その他 | 高衛生、高耐久、高通気性 |
・
・
・
まとめ
いかがでしたか。
硬さ調節タイプのマットレスの特徴と注意点をご紹介しました。
硬さ調節マットレスの多くは、マットレスの層(レイヤー)を入れ替える(ひっくり返す)ことで、硬さを調節します。
自分に合ったマットレスの硬さ選びは難しく、そうした悩みに対して非常に素晴らしい取り組みだと思います。
ただし、マットレスの層(レイヤー)を入れ替えるという手段は、マットレスの性能や寝心地が落ちるリスクもあります。
よって、硬さ選びに迷ったら、自分が思うよりも「少し硬め」を選んで、硬すぎた場合、あとから敷きパッドやトッパーなどで微調節していく方が、最終的には寝心地が良いマットレスが出来上がりやすいでしょう。
しかし、(すでに書きましたが)寝心地の良さの感覚は人それぞれです。
この記事で書いている内容はあくまで当サイトによる意見なので、ご参考程度にお考えください。
実際に、硬さ調節マットレスの口コミを見ていると、硬さ調節機能に満足しているユーザーさんも多いようです。
なお、硬さ調節タイプのマットレスは、お試し期間付きのマットレスも多いです。
例えばコアラマットレス KOREや、IWONUマットレスなどは長期のお試し期間が付いているので、硬さ調節タイプのマットレスが気になった人は、実際に試していただくのもおすすめです。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。