1万円台のマットレスの解体

安いマットレスを選ぶ基準

「マットレスは安く買いたい。でも、寝心地が悪いのは困る。」数千円の商品でも大丈夫か、迷いますよね。

私は、1万円※という価格に、寝心地の境界線が引かれていると感じています。つまり、あと数千円足すだけで、選べる作りが変わるので、慎重に考えたいところです。※シングルサイズの場合。サイズが大きくなるほど価格は高くなります。

しかし、とにかく安く買いたい人にも選び方はあります。

この記事では、多くのマットレスを分解し、寝比べてきた経験から、安いマットレスの弱点とおすすめの商品をご紹介します。ぜひ参考にしてくださいね。

著者情報 椚大輔 椚 大輔(くぬぎ だいすけ) ベッド・マットレス専門家。ベッドメーカーに勤務後、当サイトを開設。国内・海外メーカーへの取材を重ね、100商品以上のレビューを続ける。専門家としてTBS「ラヴィット!」、ビジネス誌「プレジデント」、楽天市場「マットレスの選び方」などの出演・監修も行う。> プロフィールはこちら
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【先に結論】予算が許すなら、1万円台から

バリューポケットコイルマットレスの寝心地

ハッキリ言うと、数千円で寝心地も耐久性も求めるのは難しいです。

私にとっては、安かろう悪かろうが中心。自分が毎日使うマットレスとして、1万円以下のマットレスは選ばないと思います。

その理由は、優先順位が「価格」と「見た目」だからです。要するに「こんなに安いのに立派そう」という印象を持ってもらうことが目的になりがちです。

一方、1万円を超えてくると、詰め物や内部に使われる素材のボリュームも徐々に増えます。

最安値で選ぶなら1万円台。これが私の基準です。

とはいえ、これはあくまで私の感覚です。マットレスが数千円で買えるのは企業努力の賜物だと思いますし、寝心地が合う人もいます。

しかしながら、注意して選ぶ必要がある価格帯ということも確か。以下より、安いマットレスの特徴をコイル・ウレタンに分けて紐解いていきましょう。

安いコイルマットレスの寝心地と耐久性

安いコイルマットレス

コイルマットレスは、芯材にバネを使ったマットレスの総称です。

1万円前後なら、バネが一つずつ袋に入った「ポケットコイル」と、バネ同士がつながった「ボンネルコイル」が主な候補です。

ポケットコイル ボンネルコイル
ポケットコイル ボンネルコイル

寝心地:バネの存在が強く、バイーンとした感じ

安いコイルマットレスは、基本的に詰め物が薄いです。詰め物とは、コイルの上に敷くウレタンや綿などの素材。体への当たりをやわらかくする役割があります。

1万円以下のマットレスの例 3万円台のマットレスの例
1万円以下のマットレス 3万円台のマットレス

詰め物は、あまり目立たない存在のせいか、1万円以下のマットレスでは、かなり省略されがちです。結果的に、バネの存在感を強く感じるようになる。これは、一般的にあまり寝心地がいいものではありません。

また、安いポケットコイルには、バネの巻き数を減らし、あまり縮めずに袋へ入れて高さを出すものもあります。※バネをどれだけ縮めて袋に収めるかを「圧縮率」と言います

モデル 1万円以下のマットレスの例 4万円台のマットレスの例
画像 1万円以下のマットレス 4万円台のマットレス
巻き数 少ない 多い
圧縮率 低い 高い

巻き数や圧縮率は、多い(高い)方が良いわけではなく、寝心地を作り込む上での手段です。

しかし、安いポケットコイルの場合、寝心地の作り込みというよりは、「なるべく少ない材料を引っ張って厚さを見せる」という方向性が基本です。その結果、寝心地は二の次になりがちです。

  • 厚さはあるが、支えがなく、安定感がない
  • 動くたびにバイーン、バイーンと揺れる

これが安いコイルマットレス特有の寝心地につながります。

椚大輔
椚大輔
ボンネルコイルは、バネ同士がつながったタイプなので、さらに揺れやすい寝心地です。

耐久性:構造が簡素で、バネに負担がかかりやすい

1万円以下のコイルマットレスは、寝る面だけに詰め物を入れた片面仕様が中心です。

1万円以下のマットレスの例(片面仕様) 3万円台のマットレスの例(両面仕様)
他メーカー製の例(コイルの下に詰め物がないため、コイルの負担が高まり、中のバネが生地を突き破って外に出てくることも) コイル下の詰め物

さらに、裏面の処理も簡素な場合があり、こうしたマットレスは、バネに負担がかかりやすいです。

私が試した商品では、バネが袋(ポケット)から突き破って、裏面の生地から出てきた例もありました。

裏面の生地が破けてバネが出てきた

裏面の生地から出てきたバネ(ポケットコイル)

すべての安い商品に起こるわけではありませんが、販売ページなどでバネの下に保護材があるかも確認してみてください。

安いウレタンマットレスの弱点

内部構造のチェック

ウレタンマットレスは、芯材にスポンジのような素材を使ったマットレスです。

1万円以下では、「薄型・三つ折り」が主な候補になります。

1万円前後に多い「薄型・三つ折り」 高価格帯に多い「ベッドマットレス」
薄型・三つ折り ベッドマットレス

寝心地:単に硬いだけ

1万円以下のウレタンマットレスは、厚さ10cm以下のものが中心です。薄くてやわらかいと、体が沈んで床の硬さを感じる「底付き」が起きやすい。そのため、硬めに作られがちです。

厚さ10cmのウレタンマットレスの例(やわらかいと底付くため、硬めが基本)

厚さ10cmのウレタンマットレスの例(やわらかいと底付くため、硬めが基本)

「硬いマットレス」自体、何の問題もありません。好きな人もいると思います。しかし、私が懸念しているのが、1層の単に硬いウレタンで支えるため、体への当たりが強く、圧力を感じやすいこと。人によっては、腰が浮くような寝姿勢になることもあります。

耐久性:密度が低く、ヘタリやすさに懸念

ウレタンフォームの密度とは「体積当たりの重さ」のこと。単位はD(Density=密度)で表します。大雑把に言うと、密度が高いほどたくさんの材料を使うため、耐久性が高くなります。

毎日使うなら30D程度は欲しいところですが、1万円以下の場合は、25D前後の商品もあり、耐久性としては懸念が残ります。

1万円以下のウレタンマットレスの例

25Dのウレタンマットレスの例(開封後も復元しきらない)

なお、お付き合いのあるメーカーさんの話では、低密度のウレタンマットレスは、圧縮開封後、膨らみ切らない個体も増えやすく、不良品(ハズレくじ)に当たるリスクも高まるそうです。

椚大輔
椚大輔
特に「薄型・三つ折りのウレタンマットレス」というジャンルはレッドオーシャンです。価格競争が激しく、低価格に買いやすい反面、中身は寝心地や耐久性を犠牲にしている場合もあるので注意が必要です。

とにかく安く買うなら、三つ折り+ベッドパッド

三つ折り+ベッドパッド

先ほど「激安の三つ折りには注意」と書きましたが、ベースマット(土台)として割り切るなら、選択肢になります。

硬めの三つ折りの上に、クッション性のあるベッドパッドを敷く。上はふっくら、下はしっかり。この2層で寝心地を整える方法です。さらにやわらかさが欲しい場合は、マットレストッパーも候補になります。

種類 ベッドパッド マットレストッパー
画像 ベッドパッド トッパー
中身 綿や羊毛など ウレタンフォームなど
洗濯 洗える商品が多い 洗えない商品が多い

一方、安いポケットコイルマットレスは、大きな沈み込みや不安定さがあるため、土台としては不向きな場合も多いです。

三つ折りウレタンはたためるので運びやすく、コイル入りの厚いマットレスより処分もしやすいです。短期間だけ使う人にも適した組み合わせでしょう。※処分方法は自治体によって異なります。

「パッド代が余計にかかる」と思うかもしれません。しかし、マットレスは汗や汚れを防ぐため、ベッドパッドとシーツを合わせて使うのが基本です。

椚大輔
椚大輔
この場合、なるべくクッション性のある(厚みがある)ベッドパッドを選ぶことがポイントです。それでも体への当たりが気になるならトッパーを検討するとよいでしょう。

買う前に、星2以下のレビューを見る

ウレタンフォームの歪み

特に1万円を切るような激安モデルは、品質のバラつきが出やすく、不良に当たる心配もあります。

そこで、参考になるのは、ユーザーレビューにおける低評価(目安として星2以下)の傾向と内容です。

タンスのゲンの低評価レビュー

例:タンスのゲン「純高反発マットレス」の低評価レビュー の割合

「一部が膨らまない」「すぐにへこんだ」など、同じ声が複数ないかを見ます。

ただし、低評価には硬さや配送、納期などの「不良以外の評価」も含まれます。また、最近の内容・傾向の方が重要の場合もあります。

低評価レビューの分析方法については、以下の記事で詳しくご紹介しています。

1万円以下・1万円台で検討したいマットレス4選

椚大輔
椚大輔
私が今まで体験した中で、特におすすめの低価格マットレスを選びました。
商品 タイプ シングル参考価格
アイリスプラザ 厚さ20cmポケットコイル コイル 9,900円
モダンデコ 高反発マットレス(三つ折り・10cm) ウレタン 5,999円
neruco バリューポケットコイル コイル 12,990円
快眠タイムズ エコラテエリート10cm三つ折り ウレタン 19,990円

1.アイリスプラザ「厚さ20cmポケットコイルマットレス」

アイリスオーヤマ「圧縮ロールポケットコイルマットレス」

1万円以下で厚型を探す人に

シングルサイズで1万円以下の価格帯ですが、その中では比較的ポケットコイルの動きが感じられる寝心地の良さを感じました。

裏面にも厚手のフェルトが入っているため、バネが底面を突き破る心配も少ないです。ただし、バネ当たりはかなり感じるので、厚手のベッドパッドを合わせるのがおすすめです。

タイプ ポケットコイル
サイズ シングル~ダブル
硬さ やや硬め
価格
(Sサイズ)
9,900円

このマットレスを見る

2.モダンデコ「高反発マットレス(三つ折り・10cm)」

モダンデコ「高反発マットレス(三つ折り・10cm)」

ベースマットとしての候補

安いマットレスを探している人は「高反発・三つ折り・厚さ10cm・硬さ190N・密度25D」という構成の商品をたくさん見たことがあるのではないでしょうか。そう、この構成こそ、レッドオーシャンのど真ん中。多くの商品がひしめき合っています。

その中でもタンスのゲン(純高反発マットレス)は、特に人気ですが、私が比べた時にはこちらのモダンデコの方が寝心地が良かったです。ということで、激安マットレスのおすすめとして挙げましたが、それでも単品では寝心地はあまりよくありません。

よって、先ほど紹介した「安く買うなら、三つ折り+ベッドパッド」という使い方の「土台のマットレス」として検討していただくのが良いです。

タイプ 三つ折りウレタン
サイズ セミシングル~キング
硬さ 硬め
価格
(Sサイズ)
5,999円

3.ネルコンシェルジュ neruco「バリューポケットコイル」

neruco「バリューポケットコイルマットレス」

私が考える低価格マットレスの基準

このマットレスが良いところは、最安値からワンランク寝心地を引き上げていること。

数千円で買えるポケットコイルマットレスよりも巻きが多いスプリングを使うことで、なめらかなクッション性を味わえます。さらに、内部の詰め物のバランスや、カバーの動き方など、寝心地を高める工夫が随所に見られます(詳しくはレビュー記事を見てください)。

1万円を少し超えてしまいますが、私の中ではこの商品が低価格マットレスの基準です。

タイプ ポケットコイル
サイズ セミシングル~キング
硬さ やや硬め
価格
(Sサイズ)
12,990円

4.快眠タイムズ「エコラテエリート10cm 三つ折りマットレス」

エコラテエリート10cm三つ折りマットレス

高品質でトライアル付き

一言でいうなら「安いのに真面目な三つ折りマットレス」です。その理由は密度32D・復元率98%というしっかりした耐久性の仕様に現れます。構造としては凹凸ウレタンフォームなので、体当たりも適度にやわらかです。

さらに、この価格にして60日間のトライアルが付いています。購入後合わなかったら返品ができる点も安心感があります。※返送料は購入者負担です。

タイプ ウレタンフォーム
サイズ シングル~クイーン
硬さ やや硬め
価格
(Sサイズ)
19,990円

まとめ

格安マットレス

シングルサイズで1万円前後。私が低価格マットレスを寝比べてきた中では、このあたりに寝心地の境目を感じます。毎日使うなら、まずは1万円台から探すのがおすすめです。

できるだけ安く済ませたいなら、硬めの三つ折りを土台にして、厚手のベッドパッドで体への当たりをやわらげる方法もあります。

コイルなら詰め物と裏面の作り、ウレタンなら厚さと密度。低評価レビューも見ながら、パッドやシーツを含めた予算で選んでみてください。

ご参考いただけたら幸いです。